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林哲夫の文画な日々2
by sumus2013


矢向

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ウィキペディアより「矢向駅」


Twitterでnanaoさんが次のようにつぶやいておられる。

《成瀬巳喜男の「めし」を観ていて、原 節子が里帰りする実家のある駅名が「矢向」(やこう)だった。それにはげしく反応したのは『1930年代モダニズム詩集』(みずのわ出版)の矢向季子を思い出したからでしょう。》

ウィキペディア「矢向駅」によれば《矢向駅(やこうえき)は、神奈川県横浜市鶴見区矢向六丁目にある、東日本旅客鉄道(JR東日本)南武線の駅である。駅番号はJN 03。》である。「ぶらり矢向めぐり」によれば

矢向・江ヶ崎冊子作りの会の「わがまち 矢向・江ヶ崎」によると、矢向(矢口)は「川の合流する所」「川に面している所」などを意味し、多摩川と鶴見川に挟まれた低湿地であったことからその地名がついたと考えられている。

とのこと。「やこう・すえこ」?

# by sumus2013 | 2019-10-03 14:54 | 古書日録 | Comments(0)

ヘレンとギル

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名盤中の名盤だろうが、このところ繰り返し聴いている。

《1954年12月22日から24日にかけて、初のリーダー・アルバム『ヘレン・メリル・ウィズ・クリフォード・ブラウン』を録音。1956年に早世するトランペット奏者のクリフォード・ブラウンが全面参加し、クインシー・ジョーンズが編曲を担当。同作収録の「ユード・ビー・ソー・ナイス・トゥ・カム・ホーム・トゥ」(作詞・作曲はコール・ポーター)は、メリルの代表的なレパートリーとなった。》

クインシー・ジョーンズ(当時二十一)にとっても記念すべき一枚で編曲に精を出すことを決めた時期の仕事だそうだ。

もう一人、友人が勧めてくれたギル・スコット・ヘロン(1949-2011)、なかなかいいね。『ギル・スコット=ヘロン自伝』(スペース・シャワー・ネットワーク、二〇一三年)が出ているが、まずは詩集など読んでみたい(目下オリジナルで読むしかないみたいだが)。

ギル・スコット・ヘロン


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Small Talk at 125th and Lenox: A Collection of Black Poems
Scott-Heron, Gil
Published by The World Publishing Company,
New York and Cleveland, 1970


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The Vulture
Scott-Heron, Gil
Published by The World Publishing Company,
New York & Cleveland (1970)










# by sumus2013 | 2019-10-02 17:24 | おととこゑ | Comments(2)

全然大丈夫

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高橋輝次さんが「これ、面白いですよ。ほ、ほ、ほ」と言いながら貸してくれたDVD。藤田容介監督「全然大丈夫」(東北新社、2008)。荒川良良(あらかわよしよし)の初主演作だとか。

荒川良良の実家が古本屋という設定である。父親で店主は蟹江敬三が演じる。その父はなぜか無気力で、まったく商売に身が入らず、ふらりと旅に出てしまう。その後を息子や息子の親友(岡田義満)が紹介した女性(木村佳乃)が帳場に座る。常連にきたろう。この古本屋、実在するのだろうか。だとすればがどこなのか、気になるところ。東京かまたはその近辺だろうが、店内だけで店頭は登場しない。

高円寺の青木書店さんだとご教示いただいた。

「ふらり、お店探訪」第2回 青木書店

お話は、まあ、ラブコメディ。生きるのに不器用な人々が、それでもそれなりにたんたんと生きていく感じ。古本屋が舞台というほどではないが、重要な「場所」には違いない。ただ、古本屋がのんきな商売のように描かれているのは、少々、心外ではあった。

話変わって、先日、某古書店の階段のところで安い本を漁っていたら、男女の二人組が二階に上がって行った。どう見ても古本に興味がありそうもない様子。何かの営業かなと思いつつ、その後を追って(というわけではありません、たまには二階でも何か買おうと思って)二階の美術展図録の棚の前で物色していると、男女二人は店主に交渉を始めた。交渉というよりも、内容の説明である。 

昔、ある事件で死んだはずの男が、別の事件の発生によって、古書店主として名前を変えて生活していることが分かる・・・といったような筋です[え?]。その古書店のシーンをこちらで撮影させていただきたい[なるほど、そういうことか]。いかがでしょうか。ええ、いいですよ、昔はその番組よく見ていたんですよ。東映は高倉健の時代からファンです[京都が舞台のドラマ。制作は東映]。階段のところなんか、いい感じですね。撮影は半日くらいです。短くて三時間ほど。日程は改めてお知らせしますが、それまでにスタッフが下見にくると思いますのでよろしくお願いします。

というようなやりとりがあった。ふ〜む。

# by sumus2013 | 2019-10-01 16:39 | おととこゑ | Comments(0)

星の王子さま

星の王子さま_f0307792_12564251.jpg


サン=テグジュペリ『星の王子さま』(内藤濯訳、岩波書店、昭和三十九年六月二十五日第七刷、初版は昭和三十七年)と『Le Petit Prince』 (GALLIMARD, 1967版、初版は1946)。

高橋輝次さんとの『タイトル読本』出版記念トークイベントでは、誰でも知っている有名タイトルで明らかな誤訳だという例をいくつか挙げた。この『星の王子さま』に、チェーホフ『桜の園』(サクランボウまたはミザクラの園)、そしてサリンジャー『ライ麦畑でつかまえて』(野崎孝訳)などである。他に『危険な年齢』や『ライ麦畑の捕手』という訳もあるように、『ライ麦畑でつかまえて』は原題の言葉を残しつつ、誤訳は承知で、逆の意味を持たせた苦心のタイトル。村上春樹が『キャッチャー・イン・ザ・ライ』としたのもその翻訳の困難さをうかがわせる。しかし、率直に言えば、村上にも日本語で訳して欲しかった。

サン=テグジュペリ『星の王子さま』はおよそ半世紀の間このタイトルで親しまれてきた。二十一世紀になって岩波書店の独占版権が消失し、各社いっせいに新訳を出したが、いずれも「王子」は残している(『プチ・プランス』としたのが唯一の例外)。ただ、ずっと気になっているのだが、プランス(prince)は「王子」ではないのではないか? 「王子」の意味もあるが「君主」とか「公爵」「国王」という意味もある。むろん単純に考えれば「王子」としても間違いとは言えないだろう。なにしろ、作者自らが描いたプチ・プランスのこの絵柄があるので、誰だって「王子」としたくなる。

けれども、話の内容からすれば、タイトルはやはり「小さな王様」でなければならないような気がする。「小さな王様」すなわち「子供」の異名なのではないだろうか? 小さいが「王様」なのだ、そうでなくては面白くない。子供の心をもった王様だから意味が深まる、そのように小生には感じられる。

高橋輝次編『タイトル読本』左右社


# by sumus2013 | 2019-09-30 20:45 | 古書日録 | Comments(0)

タイトル読本出版記念イベント

満員御礼
無事終了いたしました。
みなさま有難うございました。
タイトル本発売中

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撮影:摘星書林さん


いよいよ28日土曜日夜の開催が近づいてきました。本もできました。
今回もお土産を用意しようかなと考えていますので
みなさま、ぜひともご参集ください。
古本市も見逃せません。

高橋輝次編『タイトル読本』左右社

高橋輝次氏の最新アンソロジーである。もうずいぶん前からこの企画について聞いてはいたが、なかなかの難産であった。しかし、その分、面白くでき上がっているようだ。

全五十一篇のうちには、既発表のタイトル・エッセイばかりでなく、書き下ろしも六篇含まれる。小生も高橋輝次氏の依頼で「フェルメールの娘は成長する……画題について」という少々長ったらしいタイトルでアート作品のタイトルについて書き下ろした。歴史的な考察もするにはしたが、論理の正確さというより、飛躍の面白さを追求したエッセイなので、あまり堅苦しく考えずに、気軽に読んでいただければと思う。

本年亡くなられた高橋英夫氏の最後の文章も掲載されている。「タイトルの定着ーー思考と言葉のかかわり」

《「今度の本のテーマは《タイトル》、諸家が《タイトル》について語った文章を集めています」ーーを知らされたとき、これは面白いと感じたが、同時に、今までこうした企画が出てこなかったのは不思議だと思った。
 執筆者が最も気をつかうだけでなく、編集者、新聞記者もああだこうだと頭を捻るのが、タイトルなのである。それほどに気を抜けない。タイトルとは何か?ーーこう新たに考え直すことが必要なようだ。》

まったく同感。小生も自分の原稿を書いているときに誰か参考になるような先行エッセイか論文はないかなと思ったものだ。高橋輝次氏の「編者あとがきに代えて」によって土門拳が「画題のつけ方」という長文のエッセイを残していると知った。また、同じく輝次氏によれば

《タイトルについて書かれた単行本と雑誌がすでに三冊出されていることが分かった。『現代詩手帖』(二〇〇六年、三号)の特集「タイトル論」、美学者、佐々木健一の『タイトルの魔力』(中公新書)、それにブルボン小林(=長嶋有)『増補版ぐっとくる題名』(中公文庫)である。[中略]
 私が今回編んだアンソロジーは、どうやら日本で三冊目に世に送る、タイトルに関する単行本ということになりそうである。》

ということで、タイトルに悩んでいる人も、悩んでいなくても、本や映画が好きなら面白く読めること疑いなし。


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高橋輝次編『タイトル読本』左右社
出版記念イベント

2019年9月28日
19:00開場 19:30開演

出演:高橋輝次+林哲夫
会場:花森書林
入場料:1200円
定員:20名

『タイトル読本』
出版記念古本市
9月27日、28日、29日

高橋輝次
ぺるデュ書店
百窓文庫
摘星書林
古書善行堂
書肆艀
季村敏夫



# by sumus2013 | 2019-09-27 22:45 | もよおしいろいろ | Comments(0)