林哲夫の文画な日々2
by sumus2013
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阪神タイガース仕様

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# by sumus2013 | 2018-02-25 19:20 | おすすめ本棚 | Comments(0)

人と本

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平澤一氏には『人と本』(アルマス・バイオコスモス研究所、平成十一年一月十一日)という著作もある。じつはその装幀がちょっと淡白なので、自分で派手なジャケットを手作りしてみた。内容からすれば、もう少し渋い方がいいかもしれないが、小生の目下の気分ではこの抽象的なデザインになるのである。

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本書は第一部「絵本の中の少年」にエッセイ三篇。間奏曲「ホルトマンの娘たち」。第二部「人と本」では愛する書き手たちを論じて、というよりも著作を紹介するという形で人と作品を語っている。尾崎一雄、山口剛、狩野直喜、青木正児、奥野信太郎、岩本素白。この並びはかなりシブイだろう。選ばれているのも本好きな人たちばかりなので古書にまつわる話題も少なくないけれど、ここではすべて略して第一部から祖父の思い出を引いておく。

《父の留学している間、私は祖父に預けられ、三年間、祖父とともに暮らした。祖父は自分の生まれた村が医者のいないいわゆる無医村であることを残念に思い、勉強のよくできた末っ子の父を医師にしたてて、無医村を解消しようと考えた。その頃は、旧制中学校を卒業すれば入学できる四年制の医学専門学校もあったのに、祖父はこれに満足せず、旧制高等学校と帝国大学の医学部に学ばせて、本格的な医学教育を受けさせようと決心した。当時の稲作単作地帯の農家の収入では、その七年間の学費をだすことは到底できなかった。父の学資を作るために、祖父はラサ島燐鉱株式会社に出稼ぎに出かけた。》

《祖父は大正八年十月から大正十四年九月までラサ島でくらし、採鉱課鉱務係長として働いた。退職に当たり、報償金二千円を支給されている。》

《父は大学医学部に入学すると間もなく、大学に残って研究することを希望し、折角医学を学んだのに村に帰って医者になるのは割りが合わないと考えるようになった。卒業すると大学に残り、研究者として生活を始めたのであった。
 そして祖父の無医村を解消する夢は、実を結ばなかった。》

《その後、父は村に帰らなかったことを、いくらか気にしたかもしれないが、祖父の心をほぐしたり、失望の気持ちを慰めることはしなかった。祖父は長年抱いた大きな夢が実現できなかったことを、いつまでも愚痴るような素振りは、みせなかった。心を許していた私にも、このことについて、失望や不満を漏らすことはなかった。》(夜明けーー祖父の思い出)

あじかた村だより 平成元年八月十日号(号外)
名誉村民 故平澤興先生ご逝去特集号


手作りジャケットということで、告知を。ただいま、ヨゾラ舎さんで、拙作シングル盤ジャケット十点展示即売中。コラージュを中心にジョージ・ハリソンは油絵(+コラージュ)です。ちょっとのぞいてやってください。今後も追加する予定です。それぞれのレコード盤もちゃんと入ってますので。


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# by sumus2013 | 2018-02-24 20:54 | 装幀=林哲夫 | Comments(0)

「雪岱調」のできるまで

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『小村雪岱 「雪岱調」のできるまで 生誕一三〇年 小江戸文化シリーズ4』図録(川越市立美術館、二〇一八年一月二〇日、デザイン=安藤剛史)より雪岱のポートレイト、昭和十一年十一月、平河町の自宅にて、四十九歳。歿するのは昭和十五年十月十七日。

開館十五周年記念展。雪岱は川越出身である。

《本展では、多岐にわたる雪岱の画業から、とりわけ挿絵の仕事と、その中で育まれた「雪岱調」とよばれる独自の絵画スタイルに注目します。一堂に会した挿絵原画の数々を通して、美しい筆線や繊細な感性、そして雪岱調」が誕生する過程をお楽しみいただけましたら幸いです。》(ごあいさつ)

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白紙を生かしたスミ(墨)だけの図録の表紙がうつくしい。

雪岱調」とは、簡単に言えば、ビアズリーと春信の出会いという感じがするのだが、ビアズリーは明らかに浮世絵の影響を受けているので、大きく見れば、浮世絵の二十世紀的解釈のひとつと考えた方がいいのかもしれない(そんなこと、どうでもいいですけど)。

装幀本や挿絵掲載雑誌などと本画・原画が対等に展示されている雰囲気が図録からもうかがえる。これはきわめて二十一世紀的な展示コンセプトだと思う。二十世紀においては、ほとんどの美術展があからさまな本画主義であって、装幀・挿絵などのマルチプルな仕事は歯牙にもかけられなかった。作品としての版画でさえ軽んじられてきた。ところが、今日では、印刷資料を展示しない美術展はないと言ってもいいくらい、それら複製作品に対する処遇は変化して、本画と遜色ない(とは言い過ぎかもしれませんけど)扱いを受けるようになった、というか、藤田嗣治の本の仕事で展覧会が企画できるほどの時代になった。古本好きとしては慶ばしいかぎりと思う。

そういう意味で、象徴的な事件がこの図録に勃発している。

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《作品番号一〇八は、紙本墨画とされていましたが、調査の結果、作品番号一と同一の版画である可能性が浮上したため、出品を取り止めました。》

こんな文言の訂正紙が挟み込まれている。木版画と墨画の区別さえつかなかったのか! と責めるなかれ。これは案外難しいのだ。むろんルーペで仔細に観察すれば、馴れている人ならすぐに分かるはず。しかし、この手の超絶テクニックの木版画に馴れてないと、ついうっかり墨絵の肉筆だと勘違いしてしまう。これは小生自身もしばしば体験するところである。失敗談は下記に。

芸誌〈アピエ〉』30号 「漱石の絵ごゝろ」

雪岱などは、木版の方がいいくらいだ。肉筆の線の震えのようなタッチが木版の刀によって無機質な線に変化している、ムラのあるベタもまさに均質なベタになっている、そこがなんとも言えない雪岱調」を生み出しているような気さえする。

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# by sumus2013 | 2018-02-23 20:25 | 雲遅空想美術館 | Comments(0)

戦争

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『雲遊天下』128(ビレッジプレス、二〇一八年三月一五日、表紙イラスト=山川直人、デザイン・誌名&特集ロゴ=小沼宏之)。毎度ながら頑張った誌面作りになっている。大川渉さんの詰将棋小説「詰むや詰まざるや(七)」をまず読む。つづいて中川五郎「ジャック・プレヴェールの「戦争」」が目にとまる。

プレヴェールの『Spectacles 見世物』に収められた「La guerre 戦争」を取り上げ、Vous(ヴー、二人称単数・複数「あなた/あなたがた」、単数の場合は敬称)の和訳について、冒頭の五行を比較しておられる。

小笠原豊樹訳『プレヴェール詩集』岩波文庫。

 きみら木を伐る
 ばかものどもめ
 きみら木を伐る
 若木をすっかり古斧で
 かすめ盗る


嶋岡晨訳『プレヴェール 愛の詩集』飯塚書店、一九七七年

 おまえたちは木を伐り払う
 ばかな奴ら
 おまえたちは木を伐り払う
 すべての若木を古い斧で伐り倒し
 そいつをごっそり持っていく


大岡信訳『アラゴン エリュアール プレヴェール詩集』新潮社、一九六八年。

 きさまたちは木を伐る
 ばかものめ
 きさまたちは木を伐る
 老いぼれた斧で若木をぜんぶ
 きさまたちはさらっていく


《そんな"Vous"を二人称の言葉の選択肢がいっぱいある日本語でどう訳せばいいのか。ぼくは同じひとつの詩を小笠原豊樹さん、嶋岡晨さん、大岡信さんの三者三様の訳で何度も読み比べ、そういう「古い木」たちを日本語で呼ぶには「きさま」という二人称がいちばんぴったりくるのではないかという結論に達した。》

たまたま『Spectacles』(le point du jour nrf, Librairie Gallimard, 1951)はパリで求めていた。初版と同年発行だが、なんと七十二版である。当時のプレヴェール人気が想像できる。

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中川氏の引用していない平田文也訳(『プレヴェール詩集』彌生書房、一九七二年)はこうなっている。

 きさまらは木を伐り払う
 ばかなやつらめ
 きさまらは木を伐り払う
 若い木をみんな 古い斧で
 きさまらはかっぱらう

けっこう平田訳がいちばんいいのかな、と思ったりもするが、好き好きであろうか。なお小笠原豊樹訳はユリイカ版(一九六〇年)を架蔵するので、参照してみると、岩波文庫と同じ訳のようで、七五調にまとめたのが工夫と言えよう。ただ、ちょっとどうかなというところもある(今回の引用部分では「きみら」とか「かすめ盗る」とか)。

この『雲遊天下』には先日ライブを見させてもらったカニコーセン氏も執筆している。氏が発行しているフリーペーパー「さざなみ」を入手したので第九号(二〇一八年一月一日)を公開しておく。なかなかの文章家だ。イラストは加藤亮太郎。

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# by sumus2013 | 2018-02-22 20:25 | 古書日録 | Comments(0)

もよおしいろいろ

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長友啓典と黒田征太郎が
面白がって造った広告物展

2018年3月3日〜4月8日

黒田征太郎"KAKIBA"
http://big-step.co.jp/shop/detail/61/




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本をめぐる美術、美術になった本

2018年1月20日〜3月18日

町田市民文学館ことばらんど
https://www.city.machida.tokyo.jp/bunka/bunka_geijutsu/cul/cul08Literature/




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戸田勝久・書物の仕事/挿絵、装釘

2018年3月1日〜12日

1003
https://1003books.tumblr.com





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磯根一晴 書展

2018年2月17日〜2月28日

カモメのばあばあ
http://kamomenobaabaa.web.fc2.com




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クリエイター100人からの年賀状展vol.13

2018年1月26日〜3月2日

竹尾見本帖店2F
http://www.takeo.co.jp/exhibition/mihoncho/





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色川武大と阿佐田哲也の世界
2018年3月3日〜3月25日

なのはなプラザ3階
http://www.chiikeys.jp/tenpon/29734-1.html





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小村雪岱展

2018年1月20日〜3月11日

川越市立美術館
https://www.city.kawagoe.saitama.jp/artmuseum/tokubetutenji/toku-index.html




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安部展也展

2018年3月23日〜5月20日

広島市現代美術館
https://www.hiroshima-moca.jp




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平井勝正プチ個展

2018年1月27日〜3月23日

サトリ珈琲店
https://tabelog.com/tokyo/A1323/A132303/13086660/





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消えゆく隣人たちのポートレート

2017年12月15日〜2018年5月6日

井の頭自然文化園
http://www.tokyo-zoo.net/zoo/ino/





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通崎睦美コンサート
今、甦る! 木琴デイズvol.9

2018年5月15

京都文化博物館別館ホール
http://www.bunpaku.or.jp/exhi_gallery_hall/exhi_hall/

通崎好み製作所
http://www.tsuuzakimutsumi.com

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# by sumus2013 | 2018-02-22 15:29 | もよおしいろいろ | Comments(10)

海雲抄

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平澤一『海雲抄』(龜鳴屋、平成二十三年五月三十一日)。書物航游』を取り上げたところ、こういう本もありますよ、とお教えいただいた一冊。渋い藍染めの布装になっており、いつも触っている本とは手触りが違う。この感覚をしばらく忘れていた。

身辺を見回してみても紙の本ばっかり。本棚になにかあるだろうと、探してみたが、意外に見当たらない。それでも、掘りに掘って(というほどではありません)、七冊ほど取り出した。漢詩の関係が多いのも偶然ではないのかもしれない。むろん、まだまだあるはずだが、すぐには出て来ない。

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一九七〇年代頃までは函入布装はまっとうな本なら当たり前の装幀だった。ただし一口に布装と言っても、布の種類によってさまざま(木綿が多いように思います)。必ずしも味わい深いものばかりではないが、それでも、洋書の布装などとはまた別種の趣味性が感じられる。

『海雲抄』の特装本は奥野信太郎の遺した和服一着から十部作られたそうである。それ以外の二百二十部には六種の布が用いられている(奥付にそう書いてあります)。

内容は、旧稿三篇、新稿四篇から成る。書物に関するエッセイ「徳永先生の手紙」(『リリオム』の翻訳者・徳永康元との往復書簡)、長谷川等伯に関する二篇「等伯の画山水に遊ぶ」「日通上人『龍之図書簡』考」、専門分野の「ダウン症児の笑い」、船舶についての二篇「コンテナ船航海記」「船長は語る」、そして雲の書物史とも言える考察「雲三題」。

「徳永先生の手紙」よりブダペストの古書店について。

《先生は昭和十五年から十七年まで、日本とハンガリーの交換留学生として、ブダペストに留学した。留学中よく訪ねた古本屋は二軒あった。その一つは大学のすぐ近くの横町にあるランシュブルグ老人の店であった。店にはハンガリー語の学術雑誌のバックナンバーが揃っていた。今一つはブダペスト中心街にあるラウフェル書店で、大学と学生寮の中間にあるので毎日のように立ち寄った。地下室の大きな書庫にはヨーロッパ諸国の文学・芸術・歴史などの本があった。終いには、ラウフェル家は家族のパーティにも招んでくれるほど親しくなった。》

本の横積みについて。

《「本の横積みのことは私のように狭い部屋に住んでいる人間は、戦後の生活では、はじめから諦めている次第です。」本は天を上にして背の書名が見えるように縦にならべておけば、一目でみつけることができる。横積みにすると、それができない。記憶している表紙の色や、本の厚さで探さねばならず、手間が掛かる。停年退職して、大学の研究室に置いていた本を家に持ち帰らねばならなくなり、その本をいれる書庫を造った。初めは全部の本を縦にならべるつもりであったが、やはりかなり横積みにしなくては収らなくなった。その嘆きを伝えたことに対する返事であった。私はこの便りで先生も横積みと知り、横積みは仕方がないと諦めがついた。》

これらの他に尾崎一雄、大岡龍男、岩本素白、西郷南洲などに関する話題が二人の間で交わされている。

平澤氏は美術もたいへんお好きだったようで、画集や画家(須田国太郎、入江波光)についての言及が『書物航游』にも随所に見られるが、本書では、長谷川等伯についてかなり突っ込んだ鑑賞というか研究を行っておられる。等伯は能登七尾の生まれということから、とりわけ興味をもたれたのでもあろう。医学者という立場から読み解く「日通上人『龍之図書簡』考」は非常に興味深い。

慶長四年(1599)京都の本法寺の本堂が完成した(秀吉に命じられて一条戻橋から小川通寺ノ内上ルに移転)。長谷川等伯はそこに龍の天井画を揮毫したのだが、日通上人の手紙は、その下図を見ました、素晴らしい出来ですな、さっそく足場を作らせますから見に来てください、という内容である。

長谷川等伯に関する資料に曲直瀬玄朔(まなせげんさく、一五四九〜一六三一)の医療記録『医学天正記』と『延寿配剤記』がある。傷寒の項に、等伯(七十余歳)は高いところから墜落して右手が不自由になり、最近、傷寒(インフルエンザ)にかかった、と書かれているそうだ。

医研会通信26号 『医的方』

この玄朔の記す「高きより墜ち」と日通上人の足場を作りましたの記事を関連づけられるかどうかについてこと細かに考察している。平澤氏の結論だけ引用すると、結びあわせることはできない、となる。

「雲三題」も、あまりこれまで注意してこなかった視点に啓発された。ざっと引用されている材料をメモしておこう。このテーマはいくらでも引き延ばせるように思う。

文学の中の雲
・幸田露伴「雲のいろいろ」
・森鷗外「雲中語」における幸田露伴「雲のいろいろ」評
・国木田独歩『武蔵野』
・夏目漱石『三四郎』

絵の中の雲
・仏画の中の雲
 文殊菩薩渡海図(醍醐寺光台院)
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 絵因果経(上品蓮台寺、醍醐寺報恩院)
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 来迎図の雲
  山越阿弥陀図(禅林寺)
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絵巻物の中の雲
  信貴山縁起絵巻(朝護孫子寺)
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水墨画の中の雲
  海北友松「雲龍図」(建仁寺)
日本画の中の雲
  小野竹喬「白雲悠々」他
写真集の中の雲
  飯田陸治郎『雲』山と渓谷社
  山本三郎『カラー雲』山と渓谷社
  湯山生[やどる]『くものてびき』クライム気象図書出版部
  鈴木正一郎『雲 写真集』講談社
  他


雲って、乗り物だったんだなあ……なるほど、觔斗雲もそうだった。

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# by sumus2013 | 2018-02-20 20:12 | 古書日録 | Comments(0)

世界の風

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福島あずさ 著、nakaban 絵『窓から見える世界の風』(創元社、二〇一八年二月二〇日)。世界を旅するイラストブックシリーズの最新刊。まさに風に乗って世界を旅する本だ。

関西でと言えば、まずは、六甲おろし、でしょう(?)。残念ながら、本書では立項されていない。しかし、ちゃんと言及はされている。イタリアのトリエステ、アドリア海沿岸に吹く「ボラ Bora」のところに

《この風はアルプス山脈やアドリア海の北東に位置するディナル・アルプスから吹き下ろす風で、吹いた後に気温が下がって寒くなるのが特徴。日本では六甲おろしに代表される「おろし風」が同じ現象にあたります。》

とある。そういえば、京都にも「愛宕おろし」があった。「嵐山」という地名は愛宕おろしで花々が吹き散らされるからとも言われているらしい。では、この「あらし」は?

《「あらし」とは、現代ではStormの訳語として低気圧や台風などに使われる言葉ですが、日本各地で山から平野、陸から海へと吹き出す局地風にも「あらし」という名がつけられています。》(肱川あらし 日本:愛媛)

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ボラ Bora


十九世紀半ば、悪天候をもたらすものはすべて嵐(ストーム)と呼ばれていたそうだ。そのストームの情報に興味を持ったのが、ダーウィンの乗ったビーグル号の船長だったロバート・フィッツロイ。

《当時、海で起る嵐の情報は船乗りたちにとって大変貴重でした。そこで彼は晩年、世界初の天気予報と暴風雨警報の事業に取り組みます。時代を先取りすることになるこの一大事業は、緻密な気象観測に基づく科学的な見立てを人々に伝えることでした。そのため「予測・予言(プレディクション)」ではなく、「予報(フォーキャスティング)」という言葉を使ったのです。》(アブロホロス Abroholos ブラジル東岸)

ストームの他に「ハリケーン」という言葉もある。

《明治時代以前の日本では、強い風は「大風[おおかぜ]」や「野分[のわき]」、激しい雨は「大雨」など、地上の「ある場所」で見られる現象とその被害だけが記録されていました。》《人類が俯瞰の目を手に入れ、初めて雲が渦を巻いている事実に気がついたのです。》

《ハリケーンの語源はマヤ神話に登場する風や嵐の神 Huracán[ウラカン]。世界各地で神々は地上の人間を「俯瞰」してきました。》(ハリケーン Hurricane 西半球:日付変更線より東の太平洋、大西洋、カリブ海、メキシコ湾)

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落山風[ルオシャンフェン] 台湾:恆春半島


おろし風の類語に「だし」がある。

《おろし風の一部が、狭い谷間で強められ、平野や海に向って吹き出す強風で、夏の日本海側で起こります。
 これらの風が「だし」と呼ばれるのは、漁師たちが船を「出す」のにふさわしい風だったから。漁師用語には、東風を表す「こち」、南風を表す「まじ」「まぜ」「はえ」、西風や北風を表す「ならい」、南東風は「こちまじ」など、今日あまり一般的に使われない言葉があります。》(だし 日本)

こち吹かば・・・

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キャッツ・ポウ Cat's Paw アメリカをはじめ英語圏


世界中から集めた風の名前、大半は初めて目にするものばかりなのだが(詳しくは本書にて)、それでも日本語になってしまっているような風の外来語も少なくない。ストーム、ハリケーンはもちろん、シロッコミストラル、ジブリ(本書ではギブリ Ghibli)そしてフェーン現象のフェーン(Föhn)もアルプスの山々から吹き下ろす風の名前だったのだ。

以上、引用したように丁寧で分りやすい説明がいい。また、nakaban のイラストも独特な雰囲気を持っている。どこか懐かしい、世界各地を旅しているはずなのに、ともすると過去へ遡っているような気分にさせてくれる。単純に、四十年近く昔になってしまった、スペインや地中海沿岸の宿屋を思い出させてくれるからかなあ……。それぞれの絵に付された詩のように長めのタイトルもいい。

 風が見えるという町がある
 そう教えられ 特急列車に乗ってやってきた
 駅前の大通りに面したカフェに入る
 明るくて広い店内に漂うコーヒーの高貴な薫り
 水を置きながらウェイターが
 窓の向こうを見るよう促した
 あ 遠くの山を越えた風が
 今しも駆け降りてくるところ
 (フェーン Föhn アルプス山脈)


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ボレアス Boreas ギリシア神話の北風の神


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# by sumus2013 | 2018-02-19 19:55 | おすすめ本棚 | Comments(3)

小児養育心得

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『小児養育心得改正』(石田勝信、明治十一年1878三月改正)。題簽は失せている。どうやら袋もあったらしい。序に

《弊家の脾肝薬玉圓ハ文化四卯年予の父鼎貫之を製し今の業を創[はじ]む而て小児養育金礎といふ書を著し其薬効と養生を人に告[しらせ]人々閲て是を可とし云々》

と石田勝信が書いているように父石田鼎貫の著書『小児養育金礎』を改訂したもので、丸薬を買うと無料でもらえるサービス冊子。子育て方のポイントや病気の対処法が書かれている。

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石田鼎貫翁、九十五歳肖像


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本家石田勝秀(京都五條橋東二丁目)。これが店舗名だろう。この名前で検索すると、「神壽散」のくすり看板がたくさんヒットする。しかし、注目したのは、なんと言っても、石田勝秀の左隣の一行。

〔印刷 烏丸三條上ル活版所點林堂〕

點林堂の印刷物だった! この頃は烏丸三条上ルにあったのか。點林堂については下記参照。

日政『衣裏宝珠鈔』

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挿絵は鼎貫肖像の他に二点挿入されている。その内の一点、子供の遊び。サインは「百僊」。三重県伊勢出身の画家・吉田百僊(一八五九〜?)だろうか。

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脾肝薬玉圓の売弘取次所


もうひとつ、オマケ。明治時代のしおり紐。

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本書にもともと付いていたとは考え難いが、このしおりは紙ではなく、細い糸を何本も平たく張り合わせてシオリ状にしている。水引に似ていなくもない(水引は和紙製ですが)。

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# by sumus2013 | 2018-02-18 20:23 | 関西の出版社 | Comments(0)

ガンバレたこ焼きタイガース

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西川のりお「ガンバレたこ焼きタイガース/北国へ」(Casablanca redord and filmwork, ポリスター、1982)。岡崎氏が先日《昭和歌謡」の次回用に「大阪」ものシングル盤を探す》と書いていたのを見て、思い出した一枚。ヨゾラ舎にて。

ご覧の通りイラストは永島慎二。そしてプロデューサーが美樹克彦(「花はおそかった」の!)ではないですか。

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# by sumus2013 | 2018-02-17 19:14 | おととこゑ | Comments(0)

Flying letters

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古本屋の均一棚に見慣れない本が何冊か出ていた。洒落たデザインなので買っておくことにした。

上の写真、右下、前田ジョン(John Maeda)『Flying letters』(翻訳=上田光永、デジタローグ、一九九六年二月二一日)。フロッピー・ディスク付き。本文は折帖になっている。

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そして左も同じく前田ジョン(John Maeda)『TAP, TYPE, WRITE』(翻訳=大野一生、デジタローグ、一九九八年二月二一日)。REACTIVE BOOK SERIES #4。リアクティヴ・ブックスについてはYouTubeに紹介ヴィデオが出ている。デジタル・アーティスト・ブックとでも言うべきもののようだ。

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John Maeda, Flying Letters interactive software; designed 1996



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いちばん上のもう一冊、というかCD-ROMが一枚はいっているだけの函である、は『Laboratory 001: 08/97: Greenfield and Rollestone: Urban Feedback』(Apple Computer, Inc. 1997)。コンピュータを使って音や映像をアッサンブラージュした一九九〇年代の実験映像。












こんなものまで古本屋に転がっている時代になったか。それもそうだ、二十年以上前のことなんだからねえ。あるいは、まだ二十年しか経っていないのかな・・・とにかく、まだ、この時代には、デジタルデータを本の形にしようという発想だったことは、これらの遺物が証明している。

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# by sumus2013 | 2018-02-16 19:58 | おととこゑ | Comments(0)