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カテゴリ:文筆=林哲夫( 45 )

アピエ訪問

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京都大原のアピエさんを訪ねた。知人の彫刻家が近くにアトリエを構えている。そこを見せてもらえるというので、この機会にと足をのばした。と言っても車なら数分の距離。アピエさんでコーヒーとケーキ(本日のスペシャルは萩原朔太郎の鉱石ケーキでした!)をいただく。民家をリニューアルして、すっきりと渋く、それでいて艶やかに仕上げられた店舗にまず感心する。小物も過不足なく生かされている。

アピエのバックナンバーも揃っているし、自由に読めるライブラリーの本たちも店主の好みを写し出しているようで気持ちがいい。庭や土蔵も手入れされてうまく利用しておられる

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もし近所だったら、繰り返し訪れたい場所である。

APIED アピエ

by sumus2013 | 2019-04-28 19:54 | 文筆=林哲夫 | Comments(2)

大和通信111号

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『大和通信』第111号(海坊主社、2019年3月20日)。「父の仕事場」掲載。編集人の中尾務さんに昨年末の個展のときに配布した「父の仕事場」のペーパーをお送りしたところ、転載してくださることになったもの。『大和通信』に書かせて(載せて)もらえるというのは、たいへんうれしい。

中尾さんが「天牛書店均一台前のうらたじゅん」という追悼文を寄せておられる。これがいい。

大月健の死の前にも、うらたじゅん不調が耳に入ってきた。複数回だったと思う。たまたまかけていた〈仏性鬼心〉と揮毫した小島輝正の軸の写真を撮影、官製ハガキに貼りつけて〈鬼の心でガンをやっつけてください〉と書き送ったことがある。
 返信には、〈ちょっと極楽まで下見へ行ってきました〉〈川崎さん元気そうでした〉と記され、亡くなった川崎彰彦を主人公とする四コマ漫画が、五点。
 五点は、いずれもハンチングをかぶった川崎彰彦が「極楽ってええで」ないしは「極楽はええでー」と語るところからはじまる。うち一点は、「ちゃんと大和通信も届くし」とつづけられ、そのあと「ママさん呑み代のツケこれで」と『大和通信』を女性にわたしてコップ酒を手にする川崎彰彦が描かれていた。
 充分笑わせてもらったが、すごいな、うらたじゅんはという思いもあった。》

《寒い日だった。天牛を出ようとすると、均一台のところに乳母車にお孫さんをのせたうらたじゅんがいた。ちかくに娘さんの勤め先があって携帯に授乳の連絡が入ると、勤め先のそばの公園に乳母車をおしていくのだという。「ほな」「また」と別れ、矢野書房に入ろうとして振りかえると、うらたじゅんは、古書を片手にかざして赤ん坊をあやしているふうだった。》

うらたさんの姿が目に浮かぶ。小生がうらたさんと最後にお会いしたのは、去年の暑い(熱いといっていいくらいの)日だった。



by sumus2013 | 2019-03-11 19:51 | 文筆=林哲夫 | Comments(0)

マチマチグラフ

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マチマチ書店在庫目録』第貳号(マチマチ書店、平成三十一年三月一日)。第一号が昨年六月だった。新しい古書店の熱気を感じたものだが、第二号も「主に雑誌に見る 戦中戦後 暮らしと印刷物」というテーマでグラフィックな雑誌をズラリと取り揃え、元気なところを見せてくれている。

実は、一月に、特集のテーマで寄稿を依頼されていた。もちろん、それなら『花森安治装釘集成』でしょう、ということで「花森安治と暮らしの哲学〜『花森安治装釘集成』から見えてくるもの」と題して少々宣伝文、および花森がどうして「暮し」や「生活」にこだわる雑誌を始めたのか、という理由について個人的な意見を書かせてもらった。

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『それいゆ』のページ


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『暮しの手帖』関連書もズラリ出品されている


他に寄稿者はハコバカ氏と土屋貴司氏(東京くりから堂)。目録に三本のエッセイ(計4ページ)というのはできそうでできない編集だと思う(見開き二ページ堂々と使っているのはどなた?)。

目玉というか、これ見てみたい、と思う雑誌は『ホーム・ライフ』43冊(大阪毎日新聞社、昭和十一〜十五年、18冊欠、10万円)である。『ホーム・ライフ』たしか一冊か二冊は持っているはずだが、なかなかのクオリティなのである。これだけまとめて眺めたら面白いだろうなあ・・・戦争へ向かう日本の様子がよ〜く分かるはず。

by sumus2013 | 2019-03-08 20:30 | 文筆=林哲夫 | Comments(0)

生活考察 vol.06

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辻本力氏編集の『生活考察』が四年半ぶりに刊行された。第六号。発行所は合同会社タバブックス、二〇一八年一一月二七日。

出版と編集 タバブックス

生活考察 vol.06

巻頭は、春日武彦✖️穂村弘✖️海猫沢めろんによる鼎談「僕らは大人になれたのか? これからの"成熟"考」。岡崎武志「油絵を描くと生活は」は絵を描くことについての情熱を語っている(先日の個展までの経緯も分かる)。小生は「好きなことだけして暮らしたい第六回 その日、音楽は死んだ」と題して身辺を取り巻く最近の音楽状況について、青春時代の音楽生活について書いてみた。

全体にかなり充実した仕上がりになっている。これは売れるかも、と思ったら、さきほど辻本氏より次のようなメールが届いた。

評判も上々で、昨日の文学フリマでは、60冊持って行ったものが終了2時間以上前に完売しました。

大変結構なことです。みなさまもぜひご一読を。

生活考察 vol.05

by sumus2013 | 2018-11-26 16:48 | 文筆=林哲夫 | Comments(0)

本の虫の本

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『Pen』2018年11月1日号誌上で紹介されました。



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赤井稚佳イラストより



本を食べる
 聖書には本を食べるという話が二度出ています。まずエゼキエル書第三章。

「我にいひ給ひけるは人の子よわが汝にあたふる此巻物をもて腹をやしなへ膓(はらわた)にみたせよと我すなはち之をくらふに其わが口に甘きこと蜜のごとくなりき」(1)

 有名なのはヨハネ黙示録第一〇章でしょう。

「われ御使のもとに往きて小き巻物を我に与へんことを請ひたれば、彼いふ『これを取りて食ひ尽せ、さらば汝の腹苦くならん、然れど其の口には蜜のごとく甘からん』われ御使の手より小き巻物をとりて食ひ尽したれば、口には蜜のごとく甘かりしが、食ひし後わが腹は苦くなれり。」(1)

 アルブレヒト・デューラーにはこの場面を描いた版画があります。それを見るとヨハネは冊子本を飲み込もうとしています。え? 引用した日本語訳では「巻物」と訳されてますけど……。英語版を当たってみますとエゼキエル書の方は「roll」で黙示録の方は「the little book」です(2)。さらにヴルガータ聖書のラテン語はどうなっているのか調べてみますと、エゼキエル書は「volumen」で黙示録は「librum」です(3)。「volumen」は「巻物」で、そして「librum」はデューラーの描くような書物とみていいのでしょうか?

 ところが、ある方にギリシャ語訳で黙示録の該当箇所は「biblaridion」となっており「a little book」の他に「a little papyrus roll」という意味もあると教えていただきました。そもそも黙示録の成立した時代(紀元後一世紀?)には冊子本はまだ一般的ではなかったはずですから、デューラーの絵が間違っているという可能性が高いように思われます(4)。
 エゼキエルやヨハネとちがって、世俗の王様から本を食へと言われた人もいました。[以下略]

(1)『旧新約聖書』米国聖書協会、一九一四年。
(2)『THE HOLY BIBLE』AMERICAN BIBLE SOCIETY, 1877.
(3)ヴルガータ聖書のサイト(http://www.drbo.org/lvb/)より。
(4)フランス語の聖書ではどちらも「livre」のようですが、「livre」も古くはパピルスでできた巻子の形をも意味したと言います(http://www.cnrtl.fr/definition/livre)。なお、現存最古の冊子本は四世紀に作られたとされるカイロのコプト博物館蔵の聖書『詩篇』。冊子本は一世紀後半から二世紀頃に現れたと考えられているようです。



空飛ぶ本
 芥川龍之介の短篇小説「魔術」をご存知でしょうか? 主人公「私」は、ある時雨の降る晩、印度人ミスラ君に魔術の実演を見せてもらいます。ミスラ君がちょいと指を動かすと、書棚に並んでいた書物が一冊ずつ動き出しました。「夏の夕方に飛び交う蝙蝠のように、ひらひらと宙へ舞上」っては「うす暗いランプの光の中に何冊も自由に飛び廻って、一々行儀よくテエブルの上へピラミッド形に積み上り」すぐに「もとの書棚へ順々に飛び還って行く」ではありませんか。仰天した「私」はミスラ君にぜひとも魔術を教えて欲しいと頼み込みます(1)。

 コウモリのように、いや、まるで鳥のように自由に空を飛び交う本たち、それはウィリアム・ジョイスの短篇アニメ「モリス・レスモアとふしぎな空とぶ本」(2)にも描かれています。主人公のモリス・レスモアは読書中にいきなり襲ってきた突風に吹き飛ばされ、知らない土地に放り出されます。あてもなくさまよっていると、何冊もの空飛ぶ本に引っぱられて中空に浮かんでいる若い女性に出会います。すると、彼女の手に乗っていた一冊の本が、ピョンピョンとモリスのところへやって来て、彼をある石造りの建物へといざなうのです。そこは羽ばたく本たちの巣なのでした。モリスは本の守り人としてそこで一生を終ります。そして、彼もまた、空飛ぶ本とともに昇天していくのでした。

 アニメの冒頭シーンでは、強烈な風がモリスの持ったノートの文字を空中に吹き散らしてしまいます。これはカルロス・フエンテスの短篇SF「火薬を作った男」を連想させてくれました。フエンテスはもっと深刻にページから文字が消え去ってしまう光景を描き出しています。

「本という本の活字がインクの蛆のようになって床に散らばっていたのだ。あわてて本を何冊かひらいてみたが、どのページもまっ白だった。悲しげな音楽がゆっくりと、別れを告げるようにわたしを包んだ。文字の声を聞き分けようとしたが、その声はすぐにとだえ、灰になってしまった。このことがどんな新しい事態を告げるのかを知りたくて外に出た。空には蝙蝠たちが狂ったように飛びかっていた。そのなかを文字の雲が流れていた。ときどきぶつかりあっては火花を散らし、……《愛》《薔薇》《言葉》と文字は空で一瞬輝くと、涙となって消えた。」(3)

 妖しくも美しい情景です。作者が、紙の本の終りを、空を飛び交う言葉のスパークとして、表現しているとしたら、それは、ひっきりなしに電子データをやり取りする今日の世界を、クラウド(4)という概念にいたるまで、かなり正確に予言しているのではないでしょうか。[下略]

(1)『芥川龍之介全集3』ちくま文庫、一九八六年。明治時代の東京では市内でもふつうに蝙蝠が見られたそうです。
(2)ウィリアム・ジョイス著、おびかゆうこ訳『モリス・レスモアとふしぎな空とぶ本』徳間書店、二〇一二年。William Joyce『The Fantastic Flying Books of Mr.Morris Lessmore』Atheneum Books for Young Readers, 2012。アニメは短篇アニメ部門でアカデミー賞を受賞しています。
(3)カルロス・フエンテス著、安藤哲行訳『アウラ』エディシオン・アルシーヴ、一九八二年。「火薬を作った男」の初出は短篇集『仮面の日々』(一九五四)。
(4)雲、クラウドコンピューティング(英: cloud computing)とは「コンピューティングリソースの共用プールに対して、便利かつオンデマンドにアクセスでき、最小の管理労力またはサービスプロバイダ間の相互動作によって迅速に提供され利用できるという、モデルのひとつ」(アメリカ国立標準技術研究所)だそうです。

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本の虫の本 単行本 – 2018/8/27




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イラスト=赤井稚佳



ほんのまえがき

 本の虫って、どんな虫でしょう?
 英語ではブックウォームというくらいですから、くねくねと本の上をはいずって回る青虫でしょうか。蛍雪時代なんて言葉もあります。本を照らす薄明かりを放つホタルでしょうか。何をバカなこと言ってるの、本の虫っていうのは紙魚[ルビ:シミ]のことでしょ、と今思った方、あなたはもう立派な本の虫になっていますよ、きっと。本棚の陰に身をひそめると、この上もない幸せを感じませんか? 触覚が生えて肌が銀色につやつやと光りはじめていませんか?
 五匹の本の虫が寄り集まってこの本を書きました。オカザキフルホンコゾウムシ、オギハラフルホングラシムシ、タナカコケカメムシブンコ、ノムラユニークホンヤムシ、ハヤシウンチククサイムシ。それぞれ形態はもちろん、ジャーナリズム、古本屋、新刊書店、装幀など、活動する領域も異なっていますが、単に本が好きとか、本を愛する、というだけでなく、文字通り、本を食べて本とともに暮らしていると言ってもいいくらいのムシたちです。
 本の世界にまつわるテーマを、これらホンノムシレンジャーたちが、自由に取り上げました。項目ごとにひとつの独立した読み物になっています。皆が思い思いに選びながらも、ほとんど重なる話題はありません。調整しようね、と打合せのときには相談していたのですが、調整の必要はありませんでした。ときに、似たテーマを扱っているとしても、ムシそれぞれの捉え方は同じではありません。そのくらいバラバラ、いや、ヴァラエティがありながら、本に対する姿勢には共通するものがしっかりと流れている、この一体感もまた本書の特長です。本の本のブックガイドとしても楽しんでいただけますし、また、元本の風姿を生かしながら自在に躍動するアカイホンカキムシのブック・イラストレーションを眺めるのも贅沢なひとときとなるでしょう。
 草原に棲むナイキホンアミアツメムシの発案からこの本は始まりました。「本の用語集を作りたいんです」と蚊の鳴くような声で相談されたときには、正直、多少の不安を感じました。ところが、虫選が進み、徐々に姿がはっきりしてくるにしたがって、本の虫コロリのアイデアを蜘蛛の糸のように次々と繰り出してくれたのです。この本の仕上がりが読者の皆様に刺激と安らぎを与えられるとしたら、それはもう虫愛ずるナイキムシの読み通りだと言えましょう。
 読み終わったら、いえ、読んでいる最中にも、書店へ出かけたくてたまらなくなります、ぜったい。そして、そこで発見するでしょう、本に対する、本とともに生きている虫たちに対する、見方がすっかり変わっていることを。本を取り巻く空間が、すみずみまで意味をもってイキイキと感じられるようになっているはずです。これであなたも立派な本の虫です。触覚が生えて肌が銀色に……はなりません、たぶん。
   著者虫代表 ウンチククサイムシ


オカザキフルホンコゾウムシ  キンイツ科
Onajihon Nandodemokau Bakadeii
浪花ニ産ス。幼虫時ヨリ漫画ト文学ニ溺レテ生育ス。第三ノ新人、梶井基次郎、庄野潤三、開高健ラヲ好ム。詩ヲ愛シ荒川洋治ニヲ師トス。学生時代ヨリてぃっしゅぼっくす転用ノ文庫本箱ヲ愛用ス。映画、落語、音楽ニモ精通ス。多クノ著名人ニ取材シソノ養分ヲ吸ウ。本ガびっしり詰マッタ地下洞ニ棲ム。多数ノ著書ニ加エ、詩集『風来坊』アリ。

オギハラフルホングラシムシ  キョムシソオ科
Kiokuyori Kirokuninokoru Dokushoseyo
伊勢ニ産ス。小学生デ第三ノ新人ヲ愛読シ、喫茶店デ漫画ヲ貪リ、ラジオ投稿虫トナル。高校生デあなきすとヲ志望ス。古本屋・中古れこーど屋ニ日参スルコトヲ夢ミテ神保町ニ隣接スル大学ニ入ル。高円寺ヲ根城ニらいたートシテ活動ス。辻潤、吉行淳之介、鮎川信夫、男おいどん、野球、将棋、トリワケ昼酒ヲ好ム。巣ニハ窓ヨリモ壁ト廊下ヲ欲スル。

タナカコケカメムシブンコ  リカジョシ科
Gikkurigoshi Yatte Ichininmaeninari
備中ニ産ス。幼虫時ヨリ運動ヲ好マズ学級文庫ニ入リ浸リ、アマリニ同ジ本ヲ繰リ返シ読ムタメ親虫ヲ心配サセル。高校デハ生物部、社会問題研究部ニ属ス。倉敷ニテ古書店「蟲文庫」ヲ開キ固着生活ニ入ル。苔、亀、星、猫、南方熊楠、木山捷平、原民喜ラヲ好ミ、「古本屋の少女」ヲ経テ「ガチの本屋」ヘト変態ス。

ノムラユニークホンヤムシ  ショテンイン科
Miwataseba Honyade Hitorikirigayoi
越前ニ産ス。文学全集・美術全集ニ囲マレテ育ツ。姉虫ノ影響少ナカラズ、学校図書館、近所ノ本屋ニテ座リ読ミス。『ぐりとぐら』ニ衝撃ヲ受ケ、少女漫画、山田風太郎、山田稔ラヲ愛ス。面接ニテ「三月書房が好き」ト書イテ恵文社一乗寺店ニ採用サレル。以来二十年、すぴんトすりっぷニハ過敏ナリ。

ハヤシウンチククサイムシ  カミキリキザミ科
Honwamita Megadaijito Omoitai
讃岐ニ産ス。瀬戸内ノ海ニ面シタ農村デ種々ノ虫トトモニのほほんト成育。幼虫時ヨリ漫画ヲ好ミ、漫画家ヲ夢ミルモ挫折、画家トナル。三十ヲ過ギテ文学ノ世界ヲ知リ同虫雑誌ニ混ザリ、著述、編集、装幀ノ業ヲ覚エル。京ノ都ニ飛来シテヨリ古書ニ塗レテ本ノウルワシサニ目ヲ開カレ、モッパラじゃけ買イニイソシム。


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by sumus2013 | 2018-10-17 16:12 | 文筆=林哲夫 | Comments(4)

詩誌「新年」への想い 第6号

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『詩誌「新年」への想い』第六号(市島三千雄を語り継ぐ会=新潟市東区桃山町2−127斎藤方、二〇一八年一一月二〇日、500円)が出来上がった。小生も「荒海や」という文章を書かせてもらっている。今年の四月に自家用車で新潟まで往復した話を、芭蕉の『おくのほそ道』にからめて書いてみた。

目次
・『両岸の散歩者』オートイユの思い出/アポリネール 冨岡郁子訳
市島三千雄に嫉妬する。 齋藤正行
・市島三千雄と「シュールレアリスム」 さとうまさお
・小樽への旅 鈴木良一
・無い図市島三千雄 齋藤健一
・進むを知り 齋藤健一

とくに「市島三千雄と「シュールレアリスム」」を興味深く読ませてもらった。ご希望の方は上記へ直接ご連絡いただきたい。

『定本市島三千雄詩集』(市島三千雄を語り継ぐ会)


by sumus2013 | 2018-10-06 21:34 | 文筆=林哲夫 | Comments(0)

ネットで絵を買う

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ギャラリー島田発行のフリーペーパー『Gallery SHIMADA & Art Support Center Kobe INFORMATION』(ギャラリー島田、二〇一八年一〇月)に「美の散歩道」というエッセイ・コーナーがある。テーマは自由とのことだったので「ネットで絵を買う」という短文を書かせてもらった。ここ何年かヤフオクで絵を買っている(古本をネットで買うことは非常にまれです)。もちろん高額な作品は手がでないので、お小遣い程度で買える範囲内で、である。そのへんのアレコレを。

上の写真は最近入手したなかでは多少自慢できるかなと思う一点。ジャック・カロ(1592-1637)の銅版画。しかも額付きだった。タイトルは上部に記入されている。「Entrée des sieurs de Vroncourt Tyllon et Marimont」。検索してみると一六二七年頃作。

《The engraving is part of "Le combat a la Barriere" by Hynry Humbert, a serie of 10 etchings made to celebrate the feast which took place on the 14th of February 1627 in honour of the Dutchess of Chevreuse.》

Hynry Humbertによる「バリエールの戦い」のための十点連作の内の一点のようだ。当然ながらネットオークションでは画像だけで判断するため、現物が届くまでは複製版画または印刷物じゃないかと心配だったが、これはまず間違いないもののように思う。額縁も絵に相応するレベルである。

とは言え、こういう珍品に出会うことはほとんどない。ただし「ほとんどない」であって「決してない」ではないところが魅力というか魔力だろう。「他人の絵買ってどうすんの!」という声が近くから聞こえて来そうだが……。


by sumus2013 | 2018-09-12 20:11 | 文筆=林哲夫 | Comments(0)

本の虫の本

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『本の虫の本』(創元社)。岡崎武志、荻原魚雷、田中美穂、能邨陽子、林哲夫の五人が執筆。赤井稚佳さんのカラーイラストが入ります。店頭に並ぶのは八月中旬、お盆の後になるかと思います。予約好調のようです。お楽しみに。

本の虫の本


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by sumus2013 | 2018-07-11 15:24 | 文筆=林哲夫 | Comments(0)

続装丁家で探す本 追補・訂正版

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数日前、かわじもとたか『続装丁家で探す本 追補・訂正版』(杉並けやき出版、二〇一八年六月二〇日)がドカンと届いた。ドカンと行っても二冊。しかし、この厚さ。実は小生、序文を書かせてもらっている。

二〇〇七年に本書の正篇『装丁家で探す本 古書目録にみた装丁家たち』が発行され、好評を博した。

《その後九年がたったが細々と日々追加項目を増やし続けてきた。なにしろ古書目録を読むのは日常のことゆえついつい記録してしまうのだ。それがいつの間にかメモ用紙に書いたものが(新聞の折り込み広告の裏が多い)10cmを超える程の厚さになった。
 ここでは古本屋が開いているネット目録と紙の目録、そしていろんな人が開いているブログから拾ったものに、さらに国会図書館の在庫検索で調べたものを載せている。》

・・・というやり方で429名の装丁家(や画家など)が手がけた装幀本およそ9100冊(!)を網羅している。小生なども、もう大分前から装幀については注意してきたつもりなのだが、見たことも聞いたこともない画家の名前がバンバン出てくる(いちおう知っている人の方が多いには多いですけど)。この厚さになるのも当然か。

並の人間なら、これは紙の本では無理、ネット上で公開しよう、という判断をするはずである(訂正・追補も容易である)。実際、かわじ氏は上記のようにそういう方々の情報公開の恩沢に浴しているのである。しかし、それでも紙にこだわってこの大冊をものした、それがかわじ氏という人物のほとんど全てを物語っているような気がする。

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本文の組み方が一風変わっている。序文〜目次は右開きのタテ書き、つづいて、まえがき〜本文は右開きの……なんと呼べばいいのか、ご覧のような、右頁では前小口を天に、左頁ではノドを天にしたタテ書きで456頁まで組んである。次にカラー図版の「私は誰でしょう」装丁家をあててくださいクイズがあって、その裏が奥付。そこを越えた残りの頁は「装丁挿話」左開きのヨコ書き(裏表紙側から読み始めます)。

「装丁挿話」はこれがまたかわじ氏らしい率直さ、ユニークさがよく分る内容である。。「(2)片腕の装丁家五人」なんて、誰が思いつくだろうか!? 「(50)野中ユリ」(野中ユリはかわじ氏の愛する作家です)のくだりは面白すぎる。

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序文「がかさがしがさがか」の冒頭を引用しておく。

京都の古書善行堂でかわじ氏にお会いしたのは二〇一五年一一月だったか。その折り、氏の近著『月の輪書林古書目録を一考す。』を頂戴したが、なぜか案内役として同道しておられたのが神保町のオタさんだった。そう広くもない店内で奥に店主、中央に積み重ねられた古書の細長い山を挟んで両側の通路にかわじ氏とオタさん、小生は入口近くに居て、水島爾保布の話題などで盛り上がったのだった。情熱を傾けた水島本をすべて処分されたとおっしゃったのが印象に残る。そんな談話に興じながらも、内心「どうしてかわじ氏とオタさんは知り合いなの?」といぶかしく思っていたのだが、考えてみれば、並々ならぬ古書通のお二人である、交流があったとしても何の不思議もない。本書を読んでもらえば分るように、かわじ氏は疑問に思われたことをすぐ誰彼に対して質問される。意気投合するところがあったのだろう。神保町のオタさんはディープな古書ブログ「神保町系オタオタ日記」の主ながら、今もってその正体は不明のままである。そのときも善行堂は初めオタさんのことを常連の「Kさん」だと思い込んでいた。小生は善行堂へ来る前に立ち寄ったヨゾラ舎という古本とCDの店で「今、オタさんとかわじさんがいらっしゃってました」と聞いており、要するに、かわじ氏の連れがオタさんだという情報を予め仕入れていたのだ。だからかろうじてオタさんだと認識できたのである。話の流れでKさんの正体(オタさんの正体)を知った善行堂主人の愕いた顔といったらなかった。

以下、ご興味を持たれた方は、ぜひ本書にてお読みいただきたく。

杉並けやき出版
http://www.s-keyaki.com

by sumus2013 | 2018-07-01 21:39 | 文筆=林哲夫 | Comments(0)

初校ゲラ

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昨秋、企画が持ち上がって、年明けからかかっていた著作、ようやく初校ゲラが出た。著作と言っても、共著書で、執筆者は小生を含めて五人になる。本についての本。まだタイトルが決定しないのだが、「本の虫」が入ることだけは動かないようだ。

また、もう少し進めば、具体的に発表します。刊行は秋前になるかと。

by sumus2013 | 2018-05-23 20:11 | 文筆=林哲夫 | Comments(0)