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カテゴリ:文筆=林哲夫( 57 )

総特集坪内祐三

総特集坪内祐三_f0307792_19455425.jpeg


『ユリイカ』総特集・坪内祐三、読了した。分厚いだけでなくしっかりした内容なのでさすがに時間がかかった。坪内祐三の仕事や興味の範囲をほぼカバーするように見える人選が素晴らしい。

少しだけ希望を言えば、写真に対して一家言のあった坪内のことを、写真家の誰か(例えば北島敬三氏だとか)が語っていればさらに良かった(断られたのかもしれないが)。古本に関しては岡崎武志氏が坪内の古本度のディープさを示してくれている。それでもやはり誰か古書店主にも書いてもらいたかった(これはむろん打診したのだろうが、内堀氏は『本の雑誌』に書いたからと断ったと聞いた)。

そんなささやかな希望は別として、収録されているどの文章もそれぞれ読み応えがあったというか、気持ちが入ったいい文章が多かった。一志治夫「九〇年代の暢気だった日々」、浅羽通明「SF嫌いの矜持と寂寥ーー坪内祐三の思想について」、高山宏「「古くさいぞ私は」で始まると、マニエリスムになるーー坪内祐三追善」、長谷正人「坪内祐三における「死にがい」の探求と連合赤軍」などは印象に残るし、坪内の髪を十七年カットしつづけた美容師・大和邦恭「素直な髪」や大場純子「たどり着いたと思ったらまた振り出しに戻っているーー大相撲のこと」なども得がたいもの。

平山周吉「坪内祐三の「文学」が気になって」によれば、『エンタクシー』第三三号の特集「マイ・リトルプレス、思い出の小出版社そして雑誌」のなかで一九八〇年代生まれの編集者と書店員を前にしての誌上坪内レクチャーがあった。それはゴールデン街の「しん亭」の三階で開かれたらしい。(引用は改行のところ一行アキとした)

《「明石 せりか書房のリストを見ると、今でも在庫の生きてる本が多いですね。『ロシア・フォルマリズム文学論集1・2』とか、カイヨワも、バシュラールも、スタイナーの本も生きてる」

 坪内講義を拝聴している若者は、と確認すると、「明石陽介(青土社『ユリイカ』編集部・一九八六年生まれ)とある。なんだか見覚えのある名前だなとしばらく考えて、追悼臨時増刊号の原稿依頼メールをくれた編集者と同一人物だと気づいた。二つめの驚きである。坪内さんは九年も前に、自分の追悼企画を仕込んでいたのか。まさかそこまでは織り込んではいないだろうが、ゴールデン街の青線くさい部屋でリレーのバトンが渡されていたといえるのではないか。」

 坪内祐三にとって「文学」とは、を考えようとしていたのに、一冊の『エンタクシー』のために脇道に入ってしまった。坪内祐三が「文学」といった時に(文学に限らないが)、作家や作品だけを論じることはなかった。その時代背景や出版状況や交友関係や編集者という存在も同時に視野に収めていた。》(p42-43)

小生も一か二度(それ以上はない)、そういう若い編集者たちに囲まれた坪内とカラオケまで行ったことがある。坪内が頭角を現わす前後には坪内好みのかなり年上のシブい編集者や作家たちとつるんでいたことは坪内の『東京』など読んでいるとよく分かる。だが文壇に地歩を固めた当時は、すでに坪内チャイルドと呼んでしかるべき若者たちをひきつけていた。基本的に大変面倒見がいい性格なのだろうし、若い人が好きなのだろうが、何かしら「さすがだな」と思わせるところがあった。

ひょっとして《そこまで織り込んで》いたのかもしれない、と明石氏の入魂の編集ぶりを見て思ったしだいである。


***


【以下は2020年4月16日に投稿】

『ユリイカ 詩と批評』5月臨時増刊号(青土社、令和2年4月20日)届く。ぶ、分厚い・・・ノンブルは453まである!「総特集」の名に恥じないヴォリュームだ。装幀は細野綾子さん(拙著『古本屋を怒らせる方法』の装幀もしてくださいました)。いい意味でユリイカらしくない。

ユリイカ2020年5月臨時増刊号 総特集=坪内祐三

三月のはじめにてんてこ舞いしていたときの追悼原稿は本誌のためだった。『ユリイカ』に執筆できるとはこれまで一度として予想したことがなかったので、正直うれしいというよりも、不思議な感じ。『暮しの手帖』に寄稿して以来かな、このとまどい(『暮しの手帖』にも一度だけ書かせてもらいました。そういえば『季刊銀花』にも一度だけ)

巻頭は小沢信男さん、そして山田稔さんとつづく。これでなんだが少し安心した。お二人はよく存じ上げている。小沢さんの御宅にお邪魔したこともあるのだ(自慢です)。岡崎武志氏はもちろん、涸沢純平、中尾務、元『彷書月刊』の皆川秀、元東京堂書店の佐野衛の各氏など顔見知りの方々が寄稿しているのも心強い。他に坪内氏が引き合わせてくれたことのある平山周吉、安藤善隆、橋本倫史の各氏も当然ながら執筆している。

それら以外には、福田和也氏を初めてとして、当然書くべき人がそれぞれ工夫を凝らして、突然の訃報から時間が経った分、坪内祐三とはいかなる存在だったか、というところを掘り下げているように思われた。そこが『本の雑誌』の追悼号とは多少違うところだろう(人選もむろん異なるし)。とにかくも書誌や年譜を備えた『本の雑誌』と、じっくり論じるところまで迫った『ユリイカ』はちょうど相互補完の感じであろうか。今後、坪内祐三研究が進行するとしたら、基本文献になるに違いない。

まだ全部読んだわけではないが、武藤康史「そんじょそこらの研究者より……」は興味深い。筆致も書かれている内容も。坪内氏の紅野敏郎嫌いは知っていたが、どうしてなのか、わかったようで、わからない。その辺のツッコミがいい。

小生は「目利きの条件 「坪内祐三の美術批評 眼は行動する」を読む」と題して『週刊ポスト』の美術記事連載について書かせてもらった。このテーマは編集部からの指定だったので、その点に苦心したと言えば、苦心したが、資料協力してくださった方もあり(八年分の『週刊ポスト』バックイシューをチェックするというのが、案外たいへんな作業だった)、なんとか書き上げられた。いまはホッとしてます。

ぜひ読んでいたければと思います。


by sumus2013 | 2020-04-29 20:08 | 文筆=林哲夫 | Comments(0)

ちくま 2020年5月号

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『ちくま』2020年5月号(ちくま書房、令和二年五月一日)に「『喫茶店の時代』ちくま文庫版について、および「青木堂」新資料」を寄稿しました。久しぶりのちくま原稿です。拙著の宣伝、および書中に収めることができなかった「青木堂」について書かれた文章を引用しています。その文章の載っている資料のコピーは初版の頃から持っていたのですが、この記述をうっかり見過ごしており、収録できませんでした。うかつにもほどがあります。

さて、久しぶりに『ちくま』の目次をながめると、小生が表紙を担当していた十年前から続いている連載は、岸本佐知子「ネにもつタイプ」と穂村弘「絶叫委員会」だけのようである。また、当時は佐野眞一氏が毎号巻頭にデンと存在を示しておられたが(この巻頭随筆は『ちくま』の伝統のようなものだった。たしか、かつては、なだいなだ、堀田善衛らが担当していたはず)、今は、そういう重しのような重鎮の言葉はいらないということか。バックナンバーの目次をみると、二〇一九年二月号までの橋下治が最後で(死去のため終了)、それ以降「巻頭随筆」は掲載されていないようだ。それはそれでいいと思う。ただ、やっぱりガンコジジイ(ババアでもけっこうです)の巻頭言を読みたいな、という気がしないでもない。

PR誌ちくま

by sumus2013 | 2020-04-23 20:17 | 文筆=林哲夫 | Comments(0)

ほんまに20 本を売る

ほんまに20 本を売る_f0307792_17075577.jpg

『ほんまに』20(くとうてん、2020年4月20日)が届いていました。紹介が少し遅くなりましたが、神戸の書店さんたちの今のようすがよく分かる特集になっています。

雑誌「ほんまに」vol.20

連載陣も本好きにはたまらないものばかり。小生は『喫茶店の時代』の宣伝をさせてもらっている。初版の感想というか、読者校正の手紙を十通ほどもくださった方について。

平野昌義さんの連載「もっと、奥まで〜」は俵万智『牧水の恋』を取り上げている。そこにこんな引用があって、なるほどなあと思った。

こよひまた死ぬべきわれかぬれ髪のかげなる眸[まみ]の満干る海に
〈フランス語ではオーガズムを「小さな死」と表す。そういう意味を含んだ「死ぬべきわれか」ではないかと思う。〉

「小さな死 petite mort」をフランス語のウィキで調べると、いろいろな用例があるようだが、ここでいう場合はたぶんバタイユの「マダム・エドワルダ」からの影響かもしれない。

Locution utilisée en 1937 par Georges Bataille dans Madame Edwarda pour désigner l’orgasme.


by sumus2013 | 2020-04-20 17:21 | 文筆=林哲夫 | Comments(0)

APIED VOL.35 チェーホフ

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『APIED』VOL.35(アピエ、2020年4月5日)THEME:チェーホフ『桜の園』『三姉妹』他。本日到着。小生も「ヴォルガはカスピ海にそそぐ チェーホフ古本日記抄」を寄稿している。いつもながら執筆者それぞれのチェーホフ観、というか体験が語られていて、どの文章も興味深い。大正時代からよく読まれており、舞台はもちろん映画にもなっている。しかし意外とチェーホフの印象は薄いようだ。

小生もチェーホフはもうずいぶん前に、それこそ「桜の園」や「かもめ」を読んだことは読んでいたが、特段、強い印象はないまま記憶の中で風化していた。昨年までそうだった。この原稿依頼を受けてから古本屋でチェーホフを探しつつ、読み返してみると、これが十九世紀文学とは思えないくらい新鮮に感じられた。登場人物の名前(通称、愛称、正式名など)が覚えられないのがけっこう大きな障碍なのだけれども、その峠を越えさえすれば、やすやすとチェーホフ特有のいつのまにか人間関係が崩壊してしまう(というか元々幻だった)物語に入っていける。

街の草の加納さんが「ひとそろいのチェホフ全集」という題で坂東古書店の坂東芳郎氏について書いている。小生も一二度、加納さんや大安さんといっしょに坂東さんと話した覚えがあるが、八年前に亡くなった。五十代半ばだったという。坂東さんのあれこれを大正八年刊の『チェホフ全集』にからめて加納さんらしくつづっている。加納成治のエッセイ集つくりたいなあ・・・書肆よろず屋さん、どう?

APIED

by sumus2013 | 2020-04-12 17:00 | 文筆=林哲夫 | Comments(6)

喫茶店の時代見本到着

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数日前に見本が到着しました。ちくま文庫には、これまで『誤植読本』(共著・表紙絵)や『書斎の宇宙』(表紙絵)、『書斎のポ・ト・フ』(表紙絵)でお世話になりましたが、単著で出してもらうのは初めてです。編集工房ノアから初版が出たのが二〇〇二年ですから、時間の経つのはなんと速いことでしょう。初版には不備も多く、もう少し早い時期に改訂したかったのですが、思うようにはなかなか進まないものです。その意味でも有難いことです。

元本の構成はそのままに(目次は全く同じです)、かなり情報量を増やしました。三割り増しくらいでしょうか。骨格を変えなかった分、註にくり込んだ追記の分量が多くなりました。誤植や間違いの訂正も気づいた限り行いました。図版の点数は元本よりも少ないですが、その後発見した貴重な写真(さまざまな方々に御協力いただきました)を精選して配しています。このブログでも紹介した『ニコニコ』の中澤安五郎や、まだ紹介していない道頓堀のカフエーパウリスタ絵葉書、ブラジレイロの京都店(店頭と店内)写真、昭和九年の新宿喫茶店地図など、ちょっと珍しいと思います。

書店に並ぶのは今週末頃からでしょう。ネット上でも十日前後から購入できるようです。新型コロナ謹慎中にぜひご一読を、どうぞよろしくお願いいたします。

by sumus2013 | 2020-04-08 17:31 | 文筆=林哲夫 | Comments(2)

喫茶店の時代校了

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なんとか『喫茶店の時代』(ちくま文庫)の校正と索引取りを終えました。問題なく進めば、見本の出来が四月三日、書店に出るのは四月十一日頃だろうということです。上はカバーの色校です(デザイン=著者)。写真は編集工房ノア版と同じ、大田雅一さんの作品を使わせてもらいました。解説は内堀弘さん。400頁、1000円+税。

筑摩書房 これから出る本

by sumus2013 | 2020-03-30 10:15 | 文筆=林哲夫 | Comments(1)

じんぶん堂

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朝日新聞社と出版社が運営する「じんぶん堂」サイトに『本の虫の本』ができるまでの流れについて著者代表として執筆しました。どういう経緯で本になったか、本はどうやって作られるのかをわかり易く書いたつもりです。ご一読いただければ幸いです。

『本の虫の本』はどのようにして本になったか? 著者が語る制作裏話


by sumus2013 | 2020-03-16 17:07 | 文筆=林哲夫 | Comments(0)

喫茶店の時代・三校

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『喫茶店の時代』の三校が届いた。これをチェックして索引取りの手伝いをしたら、あとは本になるのを待つだけ。カバー・帯の校正も同時に届いた。帯文にビックリな誤植があってヒヤリ。気を引き締めて仕上げます。

解説は石神井書林・内堀弘さんにお願いした。「解説日記」。さすがです。

by sumus2013 | 2020-03-06 19:36 | 文筆=林哲夫 | Comments(0)

本の虫の本の内貴さん

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締め切り間近の原稿のひとつは『本の虫の本』(創元社、二〇一八年)の続編というか姉妹編です。小生以外は新たなメンバー五人で一冊つくります。編集者は同じく内貴さんです。その内貴さんがこんなところに登場してました!

内貴麻美さん、京都・浄土寺の「古書善行堂」に連れてって

by sumus2013 | 2020-02-25 19:50 | 文筆=林哲夫 | Comments(0)

生活考察 VOL.7

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『生活考察』VOL.7(タバブックス、2019年11月27日)。発行所がタバブックスとなってから二号目。今回も中堅作家たちが「生活」を中心に中身の濃い話し合いをし、また執筆している。どのページから読んでも面白い。岸本佐知子「もにょもにょ日記」には笑い転げました。小生も「好きなことだけして暮らしたい」連載第7回「ニセモノは厚化粧 美術品の真贋について」を執筆させてもらっている。ぜひご一読を。

『生活考察』VOL.7

by sumus2013 | 2019-12-01 17:16 | 文筆=林哲夫 | Comments(0)