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林哲夫の文画な日々2
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ヴォルプスヴェーデふたたび

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種村季弘『ヴォルプスヴェーデふたたび』(筑摩書房、一九八〇年四月一〇日、装幀=草刈順)なんとか読了。ドイツの北方、ブレーメンにほど近いヴォルプスヴェーデ村に住んだ芸術家たちを、ハインリッヒ・フォーゲラーとパウラ・モーダーゾーン=ベッカーを中心に論じつつ、その村の滞在記ともなっている。ベッカーはたしか何年か前にその生涯を描いた映画(「Paula」2016)を見た覚えがある。

Künstlerkolonie Worpswede

種村がハンブルクからヴォルプスヴェーデのアトリエハウスに入ったのは一九七七年六月十八日だった。翌日、世話人のカウシェさん(ヴォルプスヴェーデ芸術家協会の幹事役)の家に招かれた。

《書斎に通される。三方の壁はぎっしりと本の詰まった書棚である。カウシェさんはそのなかから、クラブントの『支那小説集』を選び取って自己紹介をする。和綴じの体裁の、表題の書き文字も日本風に楷書を真似た筆蹟を凝らしたエキゾチックな造本装幀の書物である。戦前の青年時代に装幀した会心の作であるらしい。
 申し忘れたが、マルチン・カウシェ氏は高名なブック・デザイナーである。ちなみに、今私の手元にある、ヴォルプスヴェーデ在住の芸術家たちを総攬した『ヴォルプスヴェーデの伝記』という小冊子のなかには、「書物の世界で、グラフィック画家、挿絵画家として重要な名を得た、マルチン・カウシェ並びにエヴァ・カウシェ夫妻が(ここに)ずっと定住している」(エルンスト・フォン・ハイデ)と紹介されている。》(p32)

クラブント(Klabund, 本名 Alfred Henschke)はドイツの小説家・詩人(1890-1928)。かなり前に紹介したことがある。

クラブント詩集

クラブント 芸者おせん

Martin Kausche, Buchgrafiker, Maler

Eva Kausche – Büchern ein Gesicht gegeben 本に顔を与える

《書棚を眺め回していると、人隅に一九五一年版のフィッシャー版カフカ全集が目についた。戦中にアメリカで出版されたショッケン版に次ぐドイツ本国ではじめて出たカフカ全集だ。この版なら私も東京の家に持っている。洋書の輸入がようやく解禁されはじめた敗戦後の学生時代にはじめて注文した数冊のなかに入る本で、私にとっては非常になつかしい本である。
「それも私の装幀ですよ」
 と、カウシェさんが言う。カフカだけではない。トーマス・マンも、独訳のジャン・ジオノも、ハンス・ヘニー・ヤーンもある。こうしてみると、私は知らぬ間にずいぶんカウシェさんの装幀した本を読んできたようだ。たまたまお茶に招かれた低地ドイツの家で、青年期以来の自分の読書体験につながる一群の書物に出遭わすのは、やはり奇遇というほかはない。》(p32-33)

Gesammelte Werke フィッシャー版カフカ全集
Kafka, Franz, S. Fischer Verlag

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各巻のジャケット色が異なる


by sumus2013 | 2022-08-13 17:03 | 古書日録 | Comments(0)
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