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林哲夫の文画な日々2
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原弘と東京工房

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『原弘と造型』(武蔵野美大学美術館・図書館、2022年7月11日)は実に興味深い図録である。本展は十月二日までムサビで開催中。近くならぜひ見たいものだが・・・。

原弘と造型:1920年代の新興美術運動から

略年譜より、生誕から敗戦までの事項のなかから個人的に興味あるところだけを簡単に拾っておく。

原弘は一九〇三年六月二二日、長野県飯田町(現飯田市)生まれ。生家は印刷会社「発光堂」。一九一八年四月、飯田中学校第二学年終了後、上京して東京府立工芸学校(現東京都立工芸高等学校)に新設された印刷科へ入学する。二一年三月卒業、同科の助手に就任。石版実習と印刷図案の授業を担当。二三年九月、関東大震災により一時飯田に帰郷。二四年五月授業再開。二五年九月、三科会主催の「三科第二回展」に二点入選。

三科会はアクションの矢部友衛、神原泰、岡本唐貴、吉田謙吉、マヴォの村山知義、柳瀬正夢ら、他に玉村善之助、横井弘三、ブブノワらによって二四年一〇月に結成された。二五年一一月、矢部、岡本、神原、吉田、飛鳥哲雄らが「造型」を結成。

原弘は二七年六月の「造型第三回作品展覧会」にポスターを出品し、一一月に「造型」が改組した「造型美術家協会」にも参加した。二八年四月には「造型美術家協会」常任中央委員に選出される。五月同会第一回展にポスター、石刷印刷物を出品。一一月「第一回プロレタリア美術大展覧会」に早川久夫名義でポスター出品。二九年四月「プロレタリア美術家同盟」に参加、中央委員。三〇年七月「プロレタリア美術研究所第二回夏季講習」に参加《以後、プロレタリア美術運動と距離をおく》(p131)。

一九三一年三月東京府立工芸学校の助教諭に就任。三二年、同人組織「東京工房」を設立し商店設計や内装を手がける。三三年八月、名取洋之助の「日本工房」の結成に参加。三四年五月、日本工房を離脱した伊奈信男、木村伊兵衛、疋田三郎と「中央工房」を結成。同年八月「国際報道写真協会」創設に参加。三五年、対外宣伝雑誌『Travel in Japan』創刊、見出しの欧文レタリングを手がける。帝国美術学校図案工芸科の講師に就任(〜四〇)。三六年一〇月、江戸川アパートへ転居、生涯同地に住む。四〇年一一月「報道技術研究会」の結成に参加(〜四四)。四一年四月「東方社」の設立に参加し美術部長となる。四二年『FRONT』のデザインを担当。四五年六月東方社退職、九月、文化社(第一次)を設立。

見事な転身ぶりと言っていいと思う。このなかで一番興味を持ったのは「東京工房」について。府立工芸出身者によって結成されたデザイン集団である。店舗設計から広告まで幅広く請け負っていたようだ。

《神田駿河台の茶房エーホをはじめ、新橋茶房、銀座茶房、東京茶房など複数の店舗のプランニングを行い、その先進的な建築や内装は、原の手元に残されていた写真からうかがい知ることができる。
 東京工房に関する原自身の言及はほとんど残されていないが、木村伊兵衛は「原さんはそもそも日本の喫茶店をつくった草分けなんだ」と当時を振り返っている。具体的には、店内の壁画デザインを手がけたほか、喫茶店の照明器具をデザインしていた可能性が高い。》(p74)

なるほど戦後につづく喫茶店の内装イメージは東京工房(=原弘)が作ったという一面があったのかもしれない。東京工房については『喫茶店の時代』(ちくま文庫)にもごく手短にではあるが、言及している(p268)。本展に出品されている『エーホ』という雑誌(発行人は和田三郎)などを調べればもう少し詳しく分かりそうだ。

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by sumus2013 | 2022-08-10 17:14 | 喫茶店の時代 | Comments(0)
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