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妖怪[世界編]入門

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水木しげる『小学館入門百科シリーズ76妖怪 妖怪[世界編]入門』(小学館、一九八二年一一月二〇日十二刷)。水木しげるの漫画はあまり好きではなかったが、その緻密な描写には少年時代から舌を巻いていた。なかでは「悪魔くん」のマガジン連載(ウィキによれば一九六六年)が妙に記憶に残っている。魔法陣のシーンだったか。独特な不気味さがあった。ダークサイドのガロ系漫画は敬遠していた気弱な少年だったのだ。テレビドラマ化されたのも見たような気もするが、実写特撮では、幼稚というか、子供ごころにも感心できなかった。

この本は均一棚でその表紙が目立っていた。手に取ってみたら、昔のおぞけが蘇った。特別おどろおどろしい作風というわけではなく、のんきな雰囲気もあるのだが、やっぱりその点描にゾクッとする。密なところと妙にガランとした空白との対比も絶妙だ。

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世界の妖怪というので、ウクライナの妖怪はいないかな、と探してみたのだが、残念ながら見当たらず。ソ連の妖怪は4種類紹介されている。ブイイ、ピーテル、ピクラス、魔女サルカ。例えば「ブイイ」はこんな妖怪。

《いなかの森などにいて、ときどき人間に害をあたえる。
 昔、若い僧が死んだ娘の通夜にお経をあげていると、夜中に死んだはずの娘がおきあがって襲ってきたという。
 若い僧は、すぐさま魔よけの円を描き、そのなかに逃げこんだ。円のなかにいるとブイイからは姿が見えないのを知っていたからだ。
 するとブイイは、夜中に大勢の妖怪を呼びよせて、円をとり囲んだ。若い僧は恐ろしくなり、もうだめだとあきらめて円を出ようとしたとき、ちょうど夜が白じらと明けた。
 すると、大勢の妖怪たちもわれさきにと逃げだし、若い僧は一命をとりとめたという。》

妖怪も大勢で取り囲むのが得意とみえる。

by sumus2013 | 2022-08-06 21:04 | 古書日録 | Comments(0)
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