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書庫

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小泉苳三『歌集くさふぢ ポトナム叢書第二編』(立命館出版武、昭和八年四月二〇日、装幀=川端龍子)。京都の出版物ばかりを集めた段ボール箱を整理しているときに手に触れた。本の歌がありそうだな、とめくってみるとぴったりの「書庫」という題詠が収められていた。改行は本文通り。


あつき日を学校に来て朝より書物[しよもつ]書き写すし
たなげきつつ

いまだ写し終らぬ書物多くあるを惜しみつつ
わが去りゆかむとす

書庫のうちに入り来て我は嘆かへり写し終ら
ざる書物に別るる

支出予算に無理しつつわが蒐[あつ]めたる書物を措[お]
きて行かねばならぬか

身にかへて学生の前途をうれひこしわがここ
ろをば知る人はなし

佐山君を送りしときにわれは泣きし今日わが
ために同僚[とも]はなかず

激しくる感情[こころ]をおそれいふべき挨拶をだにい
はずわかれぬ




by sumus2013 | 2022-07-20 16:14 | 古書日録 | Comments(0)
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