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彼女を追つて

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目録で注文した雑誌が届いた。タイトルに惹かれたというそれだけだったが、喫茶店資料としては当たりだった。まだ代金振り込んでいないが紹介してしまおう。『銀座 - トオキヨウ』第一巻第一号(新銀座社、昭和二十一年十月一日)。発行編輯兼印刷人=織田完。版元住所は東京都銀座七丁目一番地。印刷所は新日本印刷株式会社(東京都板橋区練馬南町一ノ三五三二)。表紙画・挿絵・レタリングは木村佳光。菊岡久利、北条誠、灰田勝彦、幾野道子らの執筆あり。

なかに「彼女を追つて」という見開き二ページの写真付き記事がある。女優の逢初夢子が銀ブラを楽しむのを記者とカメラマンが追いかけるというストーリー。尾張町交差点(銀座四丁目交差点)で逢初を見かけ、彼女が八丁目へ向かって歩き、露店の扇屋を冷やかして七丁目の南風電気で「銀座トーキー」という電気スタンド(150円)を買うのをずっと追いかける。そしてそれをぶらさげてコロンバンへ入る逢初の後について行く

《彼氏[カメラマン]曰く、ここはヒヤカシは駄目だぜ、きつと高いよ、と眼を白黒、ぼくが、今は全部三円均一心配なし、二人喜んでこんな素的な店でコーヒーのんでも三円、露店のコーヒーも三円それならこゝで毎日のもうと大張切り、逢初さんは二階へそして注文はコーヒーとケーキ、二人も彼女に負けず、コーヒーとケーキを注文した。
「昔のコーヒーと変わらないね、気分はいゝし美しい店だし、コーヒーは、コロンバンに決めたよ」女店員に「あすこに居る逢初さんいつもこゝに来るの」と聞けば「えゝ逢初さんよくお出になりますわ、本当におきれいな方」との返事。》(p11)

昭和二十一年にコーヒーが三円に統制されていたというのは初耳だ。まだこの時点では、コーヒー豆の輸入は再開されていないから、どういうルートで入手したものか。コーヒーとケーキで六円を支払ったそうだからケーキも三円。コロンバンを出て逢初さんは資生堂へ入り化粧品を買う。そして新橋へ向かったというところで追跡ルポはおしまい。

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コロンバンの逢初夢子



他にも喫茶店関連の記述があるが、それらは略して、神田の敗戦直後の様子が分かる短い記述を引用しておく。執筆は鳴滝宏。

《学生街神田、こゝも焼けたところと、焼けないところは、雲泥の相違で、神保町の古本屋が無事であつたのは、大きなヨロコビである。スゞラン通りと、神田日活館、共立講堂は無事。しかし、駿河台から明治大学まで見透しで、ガランとしてゐる 昔の学生街・神田として活発な息吹きを感ずるのは、いつの日か。》(p18)

駿河台から明治大学まで見透しで、ガランとしてゐる・・・想像できない。

by sumus2013 | 2022-06-29 20:01 | 喫茶店の時代 | Comments(0)
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