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おうこくさん

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渡月橋



嵐山まで木島桜谷(このしま・おうこく)究めて魅せた「おうこくさん」展を見に出かけた。駅周辺はかなりの人出のように思えたが、通りすがりに土産物店の店員さんの会話を耳にすると、緊急事態が解除されてすぐに人が増えたものの、ここにきて減り気味だということだった。紅葉の見頃はまだまだ先である(十一月末あたり?)。

福田美術館は二〇一九年にオープン。知ってはいたのだが、これまで来そびれていた。拙宅からは嵐電嵐山線で一本。片道220円(全線同一料金)。美術館の規模としてはそう広くはない。ただ二階からは大堰川を眺められる好立地。料亭を数軒はさんで西側にある嵯峨嵐山文華館と二館で共同開催中である。

久しぶりに(一九八七年に京都市美で開催された没後五十年展以来)木島桜谷の画境を確かめる。若き日(明治時代)は文展で受賞を重ねて華やかな活躍だったらしいが、絵はまだまだ自分のものになりきっていない感じだ。大正に入って「駅路之春」(一九一三)、三十歳代も終わりごろから絵作りが完成されて行く。「秋草図」(一九二三)、「群芳之図」あたりが琳派スタイルの頂点かと思われる。昭和になるとリアリズムが勝つようになってややバランスを欠いているか。鳥獣の軽い軸物がしゃれている。とくに犬(自宅で飼っていた)の絵が好きだった。

桜谷は漢詩も作るらしく漢詩軸も出ていた。さらに村上素道編の『蓮月尼歌集』(一九二六)と『蓮月尼全集』(一九二七)の表紙画や見返しの図を揮毫しており、これがなかなかいい感じで欲しくなった。前者は珍しい本のようだ(目下、日本の古本屋では大正七年の二冊本しか見当たらない)、後者の方がまだ手に入りやすいか。

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嵐電嵯峨駅まで歩いて(一駅バック)、駅そばのロンドン・ブックスへ。昨年二月以来。相変わらず風通しのいい棚で見やすい。ここにも欲しくなる本が何冊もあって困った。選びに選んで三冊ほど。なかで『Izis fotografeert Chagall, De schepping van een wereld』(Waanders Uitgevers, Zwolle Joods Historisch Museum, Amsterdam, 1993)は嬉しい。シャガールがオペラ座の天井画を制作するプロセスをイジスが撮影した写真展(オランダで開催、オランダ語と英語)の図録で、一九五〇年代のパリのアトリエの様子やシャガールを取り巻く人々が陰影の美しい写真で描き出されている。レイアウトもスマート。

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by sumus2013 | 2021-10-27 19:53 | 京洛さんぽ | Comments(0)
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