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岸上大作/堀紫山『手帖姫路文学館』Vol.119(姫路文学館、二〇二一年四月一日)をある方が送ってくださった。三月二一日まで開催されていた岸上大作展の報告が載っている。竹廣裕子「「岸上大作展」初公開資料」が古本的にもっとも興味深い。まずは岸上旧蔵の寺山修司歌集『空には本』(一九五八・六、的場書房)について。 《この寺山の第一歌集を、岸上は出版の翌年一月一四日に古書店で入手した。「四百円を二百円也」と日記にも記している。》(p5) 《岸上旧蔵の『空には本』には、奥付前頁の「1959.1.14 渋谷宮益坂上中村書店 DAISAKU」という購入記録の他に、いくつかの書込みがある。じつは、この本は岸上が生前に仲間の歌人・故田島邦彦氏に譲ったものであったため、二人分の書き込みが混在しているが、丁寧な鉛筆の文字が岸上によるものである。》(p5) 中村書店登場! 寺山より四歳年下の岸上は寺山に対する羨望と嫉妬の入り交じった複雑な想いを抱いていたようだ。岸上は一九六〇年六月、講演依頼のために寺山に直接会った。このときの岸上の態度は虚勢を張った反抗的なものだったと寺山が書き残しているそうだ。 さらに、今回初公開となったのが、岸上が沢口芙美(旧姓・角口芳子)氏に贈った二冊の本である。 《一冊は、一九六〇年七月七日、九州に帰省する沢口氏を品川駅まで見送った岸上が別れ際に手渡したという矢内原伊作著『抵抗詩人アラゴン』(一九五一 弘文堂)の文庫本。もう一冊は、岸上が最も敬愛した詩人吉本隆明の『吉本隆明詩集』(一九五八 書肆ユリイカ)であった。どちらにも岸上による傍線や書き込みが散見できた。岸上が書いたメッセージ部分は破り取られていたが、『吉本隆明詩集』には、「1960.10.21」という日付とともに「ぼくの拒絶された思想としてその意味のために生きよう」という吉本の詩の一節が記されていたという。岸上は二一歳の誕生日に、おそらく最も大切な一冊を沢口氏に贈ったのだ。》(p5) これら二冊は福島泰樹氏による沢口氏への熱心な慫慂によって発見されたとのこと。岸上はこのわずか後、十二月五日に自裁したのだった。 *** 『第148回五反田遊古会古書販売目録』(二〇二一年五月一四日、一五日)が届いた。緊急事態がつづけば即売展は中止もあり得るとか。ご確認を。 月の輪さんがいよいよ『堀紫山伝』目録を完成させたようだ。本書にその【予告篇】が出ている。堀紫山を中心として、その周辺を取り巻く、大杉栄、堺利彦をはじめ明治の文人やジャーナリストの自筆葉書などが多数掲載されるようだ。これは楽しみだ。
by sumus2013
| 2021-05-06 19:50
| 古書日録
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