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mal" 02『mal" 02』(隣町珈琲、二〇二一年四月二〇日、デザイン=酒井丈)。特集エッセイとして山本善行「『古書善行堂』は「街の灯」になれるのか」が掲載されているのだが、そこに本誌からご指名いただいて、夜の善行堂の写真を撮り下ろしで提供させてもらった(p39)。いい感じで収まっている。 隣町珈琲の本 mal" 02 それはそれとして巻頭特集が山王書房・関口良雄なのだ! これは嬉しい。そして隣町鼎談と題して関口直人(関口良雄の子息)+島田潤一郎(夏葉社)+平川克美(本誌主宰)の楽しげな会話が掲載されている。夏葉社版『昔日の客』ができるまでの経緯が語られており、今どういう本をどういうふうに出版するべきか、という意味においても非常に興味深い内容になっている。 さらに岡崎武志と荻原魚雷の対談「安い古本と"高円寺"がオレたちの青春ダ!!」。こちらは何度も聞いた話だが何度聞いてもほのぼのするなあ。この対談は本誌未収録部分を含め隣町珈琲から発売中の動画コンテンツとして視聴できるそうだ。ご興味ある方は隣町珈琲のホームページより。 他にも書店や図書館、書物に関するクオリティの高いエッセイが並んでいて、思わず読み耽った。内田樹「自戒の仕掛け」では書斎や図書館の蔵書について内田先生らしいうがった見方が示されている。サワリだけ引用させていただくと、こんな感じ。 《図書館の本質的機能は、書棚の間を遊弋する人たちが「自分が読んだことのない本、読むはずもない本」に圧倒されるという経験をもたらすことに存すると私は思う。図書館を訪れる度に私たちは自分がこれほどものを知らないのかということに愕然とする。それが図書館に通うことの甲斐なのだと思う。》(p50) 無知の自覚ということだそうだ。図書館へ出かけるまでもなく、わが身辺でも充分たたきのめされる日々ではあるけれど(こんな本持っていたのかと毎日発見があったり、ほとんど九割方読めていなかったり)、たしかに、そういう側面もあるかもしれない。ただ、ある道を極めると、よほどの図書館でも何の役に立たない場合の方がずっと多いわけだが。それはそれで無知の自覚と言えないことはない。
by sumus2013
| 2021-04-27 17:56
| 画家=林哲夫
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