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林哲夫の文画な日々2
by sumus2013


イッツ・ア・スモールワールド

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架蔵の写真(イッツ・ア・スモールワールドとは関係ありません)


みやこめっせ地下一階、京都伝統産業ミュージアム企画展示室で開催されている「イッツ・ア・スモールワールド:帝国の祭典と人間の展示」を見た。初期の博覧会における「人間の展示」をテーマとして、内外の各種雑誌およびそのカットアウト、絵葉書、生写真、関連書籍などの資料が多数(1000点)陳列されていた。

《19世紀末から20世紀初頭の欧米では、博覧会が隆盛期を迎え、人々がモノの展示場を通じて新たな世界認識を得る空間が作り出されていた。初期の万博は、産業製品の先進性にしのぎを削る「産業の祭典」という側面が強かったが、やがて植民地拡大にまい進する帝国主義国がその国威をアピールするショーケースのような空間になっていく。日本でも1903年の第五回内国勧業博覧会で植民地・台湾のパビリオンが建設され、そのほかにも余興施設として「内地」周辺の「異民族」を展示する「学術人類館」と呼ばれる施設も登場した。》(『KYOTO EXPERIMENT 京都国際舞台芸術祭 2021 SPRING』パンフレット)

《本展では、日本初の「人間の展示」施設となった「学術人類館」の新発見写真とともに世界各国で行なわれた同様の展示に焦点を当てながら、この時代の他者表象の方法や人々の欲望の所在、「見られる身体」の歴史を探ります。そしてそれは、万博が幻視させてきた明るい未来像の陰で見えにくくなっていた、現代社会と地続きの諸問題を浮かび上がらせる試みにもなるでしょう。》(キュレーター・小原真史、会場配布ちらし)

正直な感想としては、焦点が絞り切れていないというのが第一印象。第五回内国勧業博覧会なら、それに絞ってクローズアップするほうが効果的だったように思う(会場のみやこめっせは第四回内国勧業博覧会開催地)。むろん、この展示は、初めから起承転結のような解釈を意図せず、ピンタレストふうの画像集合における散文性を狙ったに違いないのだが、もの珍しくはあっても、それ以上に思考が深まる感がない、少なくとも小生にとってはそうだった。ただ、展示方法、雑誌や絵葉書、写真の見せ方という点では様々に工夫がなされており、参考になるところも多々あったのは収穫。

by sumus2013 | 2021-02-27 20:40 | もよおしいろいろ | Comments(0)
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