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林哲夫の文画な日々2
by sumus2013


松本竣介遺作展

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かなり貴重なのではないかと思われる生写真を某氏より頂戴した。印画紙のサイズはタテ4.5cmヨコ5.5cmと小さなもの。裏書きには次のようにある。

 松本竣介遺作展会場
 於北荘画廊
 二四年(?)夏

 90

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『生誕100年松本竣介展』図録(NHKプラネット東北/NHKプロモーション、二〇一二年)の年譜によれば、これは昭和二十四年七月十五日〜二十三日に日本橋の北荘画廊で開かれた「第3回松本竣介遺作展」会場で撮影されたものと考えられる。

写っている人物は、後列左から、鶴岡政男、船越保武、麻生三郎、前列の男性がこの写真の旧蔵者である関博。そして、女性は、松本竣介の未亡人禎子、かと初めは思ったのだが、少しふっくらしすぎている。いくつかの図録のアルバムを調べてみると、どうやら禎子の妹、栄子のようである。

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栄子


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栄子さん(松本禎子の妹)
松本竣介アトリエの時間』図録より



壁面の絵はどれも切れてしまってはっきり図柄が分るものが少ない。鶴岡政男の背後に見えるのは、先の図録に照らしてみると、どうやらD103「焼跡の橋」(1945年10月、個人蔵、第3回遺作展に「Y市の橋」として出品)であるらしい。右上隅の女性像らしき作品は第3回遺作展目録に見えるデッサン「女の顔」だろうか。

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「焼跡の橋」(1945年10月)


関博は関尚美堂・関長次郎の次男。平凡社に勤め、労働組合長として名を馳せたようで、嵐山光三郎の小説にも登場しているとのこと。今のところそれ以上の詳しいことは分らない。それにしても珍品である。深謝、多謝。

高村光太郎書簡 平凡社編集部関博



by sumus2013 | 2021-01-20 20:13 | 古書日録 | Comments(0)
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