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DON'T TRY

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ブコウスキー『詩人と女たち』(河出文庫、二〇〇五年九月三〇日6刷)。少し前に求めて楽しく読んでいるが、これまた分厚い本なのでまだまだ先は長い。

昨年くらいからだったろうか、つい近所にお住まいのSさんが個人通信を毎月送ってくださる。B4片面二枚くらいの量である。元タクシー運転手ということで、車屋稼業の裏話がすこぶる面白い。また、たいへんな読書家で、しかも難しくて長々しい本をやすやすと読んでおられ、その感想文もある。サックス奏者として老人施設の慰問もやっておられる。トム・ウェイツとブコウスキーの大ファン。今月号の通信に「再録:ブコウスキー関連」という記事があってブコウスキーの墓碑銘について書かれていた(再録というだけに2002年8月の記事)。それによれば、

《突っ張るな!》

これが墓碑銘だというのだ。へえ〜、と思って検索してみると原文は「DON'T TRY」といういたってシンプルな二語。《突っ張るな!》って、これ中川五郎の訳なのかな(通信には明記されていない)。

墓石の写真はそれこそたくさん出てきた。そのなかに「DON'T TRY」の意味について考察しているちょうど手頃なブログがあったのでリンクしておく。ついでに急いで翻訳してみる(あらびやくなのでご容赦を)。

“Don’t Try”: Charles Bukowski’s Concise Philosophy of Art and Life

《「ドン・トライ」チャールズ・ブコウスキーの芸術と人生の簡潔な哲学

1994年、チャールズ・ブコウスキーはロサンジェルス墓地に埋葬された、あっさりした墓石の下に。墓石には詩人の名前が記録されている。生まれた日と死んだ日を並べ、それらの数字の間にボクサーを表した単純な絵が彫られているが、それは彼の人生が闘いだったことを物語るようだ。そして短い碑文「DON'T TRYドン・トライ」が加えられている。

ここにブコウスキーの、二語に煎じつめた芸術と人生の哲学があるようだ。けれども、これはどういう意味だろう? 少しばかり彼の手紙を見直して探し当ててみよう。

1963年10月、ブコウスキーはジョン・ウィリアム・コリントンへの手紙の中で次のように語っている。「お前はどうやるんだ? どうやって書く、創作するんだ?」と質問する奴に対して、こう答えたことがある。「トライしちゃだめなんだ。それがとっても大事なことだ。トライ、しない、キャデラックが、創作物や名声が欲しくても。待つんだ、もし何も起こらないなら、もっと待つんだ。壁の高いところにいる虫みたいなもんだ。こっちに飛んでくるのを待つんだよ。手が届くくらい近くまでそいつがやってきたら、ピシャリと殺しちまえ。もしか、そいつらの見かけが良かったら可愛がってやりなよ」

ということは、人生と芸術の鍵は、しつこさ? 我慢? タイミング? その瞬間を待つこと? それらがすべてということ。そうだ、けれどもそれだけだろうか。

1990年にジャンプすると、ブコウスキーが友人のウィリアム・パッカードに送った手紙でこう語っている。「猛烈に仕事をした。猛烈にトライしすぎた。トライしちゃだめだ。仕事してはいかん。そいつはそこにある。すぐそばでおれたちを見つめ、閉じた子宮から飛び出るためにズキズキしている。行き先があまりにも多すぎる。好き放題だ、さしずはいらない。優劣? 優劣なんてくそくらえ。詩を書くっていうのは肉をパクついたりビールをグビッとやるくらい簡単なもんさ。

良い生活を送るための鍵、偉大な作品を生み出すための・・・それは考え過ぎたものについてではなく、無理やり腕ずくで進むものでもない。それはわれわれの才能を明るみに出すこと、まるでスターウォーズのジェダイのやり方だ。そうじゃないか?

2005年、マイク・ワッツ(ベーシスト)がブコウスキーの妻のリンダ・ブコウスキーにインタビューして、このことをズバリ尋ねている。こんなやりとりだ。

ワ:「ドン・トライ」にはどういう意味があるの? 彼の作品から?

リ:みてよここにあるデッカイ本を? 『アメリカ紳士年鑑』っていうんですって。誰でものっている、アーティスト、科学者、なんとかかんとか。だからあの人がそこに入ったとき、あの人が書いた本についてちょっとしたことをしてほしいってお願いされたの、ごちゃごちゃごちゃごちゃ。それで、最後に「何か言いたいことはありませんか、えーと、人生哲学みたいなもの」って言うのよ。誰かさんはものすごく長いのを書いたらしいわ。学位論文みたいなの、他の人もずっとそんなふうで。そしたらハンクはポツリと「ドン・トライ」って。どう、あなた、どういう意味だと思う?

ワ:そうね、俺には、いつも自然なふうにしてろっていう意味かな。

リ:ええ、そうそう。

ワ:ふうに、じゃなくて、なまけてろ!

リ:そうね、みんなどういう意味かわからないからいろんなことを言ってくるわ。じゃあ、「ドン・トライって? さぼる? 放っておく?」。いいえ、ドン・トライ、しなさい。あなたが何かしようと時間を使おうとしているとしたら、そうしちゃいけないの・・・「ドン・トライ」よ。

月曜だ。出かけなきゃ。そうしよう。でも辛抱強く。そして無理をせずに。》

この長ったらしい本も無理して読んじゃだめだね。ドントライ。読もうとしなければいずれ読める・・・のかな。



by sumus2013 | 2020-08-31 21:12 | 古書日録 | Comments(0)
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