|
カテゴリ
全体古書日録 もよおしいろいろ おすすめ本棚 画家=林哲夫 装幀=林哲夫 文筆=林哲夫 喫茶店の時代 うどん県あれこれ 雲遅空想美術館 コレクション おととこゑ 京洛さんぽ 巴里アンフェール 関西の出版社 彷書月刊総目次 未分類 以前の記事
2022年 09月2022年 08月 2022年 07月 more... お気に入りブログ
NabeQuest(na...daily-sumus Madame100gの不... 最新のコメント
メモ帳
最新のトラックバック
検索
記事ランキング
ブログジャンル
画像一覧
|
マニエリスムの旅![]() 岡井隆『マニエリスムの旅』(書肆季節社、一九八〇年五月付梓、五三五部上梓)。名古屋時代の政田岑生が手がけた渾身の一冊。まずは何より書物に関係する歌を探し出してみた。[ ]内はルビ、原文どおり全て拾った。 かつかつと書[ふみ]噛むばかり半夏生[はんげしやう] 劇画の女[ひと]の、やよ仁王立 学問に流眄[ながしめ]くれて久しかり半日君と君が書庫に居る 葬りまで間ありて覗く天神町レヴィ=ストロース見出でよろこぶ いまだ視ぬもの欲しがりて夏の日の神保町を歩みゐたりき 覆刻版『馬酔木』を欲しと思ひつめまたあいまいになれば飯[いひ]食ふ 「伊勢」を読むあつき砂の上[へ]追はるるを常[つね]たのしみて女はあるを むし暑き地に影絵して遊べども人生といふ不可視の書物 のどかにてわれの想ひの透らざるかかる夜半の塚本邦雄 佐太郎の『天眼』をよむ二三日まへ出遭ひたる蛇[くちなは]思ひて 黄金のニーチエ全集一冊を久しく借りて読まず返しき 岡井隆の訃報を聞く、少し前、ある古書店の均一コーナーに岡井隆の歌集があって、買おうかどうしようか、かなり迷った。結局、迷った末に棚にもどした。だいたいが歌集などはほとんど見向きもしないのだが、このときは何故かその本が気になったのは、虫の知らせというか、古書の知らせなのか、そのあとしばらくして亡くなったというニュースが出た。 某氏にその話をしたところ本書を送ってくださった。署名本である。しばらく借覧させていただこう。ざっと読んだ感じでは、塚本邦雄よりはとっつきやすい。その塚本が長文の解説というか、跋文を執筆している。岡井は「あとがき」の末尾にこう書いている。 《塚本邦雄さんの解説は、辛辣な慰撫である。久しぶりに、(昔もらったような)長い手紙をもらった気分になった。塚本さん、ありがとう。 政田さんには、長い長い約束を、いまようやくはたした気持である。板付空港のロビイで会ったのは、八年前か。お礼の言葉を、こころから申しあげる。》 この「あとがき」が素直に読ませる好エッセイだ。塚本のヒネリが効きすぎた解説と対照的。 《この本は、私の第八歌集である。すなわち『斉唱』『土地よ痛みを負え』『朝狩』『眼底紀行』『天河庭園集』『鵞卵亭』『歳月の贈物』につづく、第八番目の単行歌集ということになる。 内容となる作品は、昭和五十二年(一九七七年)十二月より昭和五十四年(一九七九年)十一月までの約二年間の制作にかかわり、ほぼ、制作順にならべた。わたしの五十歳、五十一歳の折りの作品のあつまりである。》 と書き出され、《いぜんとして、感冒の嵐のなかにある。》と近況をつづって行くのだが、これだけでもっと岡井の随筆を読んでみたいと思わせる。ウィキを見るとかなりの数の著書がある。これから注意しておこう。 最後に珈琲の歌を一首。 珈琲の沼にしづかにとけながら花のかたちの糖あるらしも
by sumus2013
| 2020-08-02 19:56
| 古書日録
|
Comments(2)
「マニエリスムの旅」、興味深く拝読いたしました。
すでにお読みいただいているかもしれませんが、 私も岡井さんの訃報を受けて、吉岡実との関りを 「岡井隆氏が逝去(2020年7月12日脱稿)」にまとめました。 吉岡実はそこで「数年後、岡井隆は歌の世界に復帰し、 それからは意欲的に、『鵞卵亭』をはじめ、数冊の歌集を公刊しつづけた。 そして『マニエリスムの旅』、『禁忌と好色』へと、一つの頂点をかたち造っている。 どちらかと言えば、私は、『マニエリスムの旅』を偏愛している。」 と書いて、三首、引用しています。(林さんの引用歌との重複はありません) 吉岡さんは塚本邦雄(の人間性)よりも岡井隆の方に親しみを感じていたようです。
0
吉岡実が偏愛していたとは! これまた驚き、そして納得です。「日録ふうのエッセイの書法を確立したのは、岡井ではなかっただろうか」・・・そうなんですね、なるほど。
|



