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装幀:浜田稔善行堂の表の均一(100〜200円)を物色していたとき、おやっと惹かれる表紙を見つけた。ハヤカワのポケミス。今さらこういう本を集めてもなあ・・・などとも思ったのだが、何か捨てがたい味わいのある絵である。結局買って帰ることにした。左:エラリー・クイーン『災厄の町』妹尾アキ夫訳(早川書房、昭和30年7月15日)、右:スタンリー・ガードナー『放浪処女事件』文村潤訳(早川書房、昭和29年7月30日)。 《装幀 浜田稔》。検索してみるとポケミス・ファンの間では評価の高い画家のようだ。 《ポケミス装幀の傑作!浜田稔の「殴られたブロンド」 もう随分たったがポケミスの装幀が変わった。そのほとんどの装幀を描き続けてきた勝呂 忠氏の死去に伴い仕方ないが、このリニューアル、なかなか馴染めないものがある。 ポケミスの表紙は当初はこの浜田氏も含めて何人かの画家さんが描いていた。勝呂氏も最初から抽象画であったわけではない。具象画も時々古本屋で見かけることができる。 新刊書店でポケミスの棚を見たら、1700番台ぐらいはまだ、勝呂忠だった。それにしても凄い発行点数である。 そのすべての装幀画を見たわけではないので、断定はしないが、この「殴られた眼の隈のある顔」を大写しにした浜田稔の手際は見事なもので、ベスト・テンには入る作品だろう。》 また、東京文化財研究所の「美術界年史(彙報)」1958年07月にくだりにこうあった。 《古沢岩美、浜田稔、佐久間阿佐緒ら7名は、新たに美術団体新超現実派を結成した。》 古沢岩美(一九一二〜二〇〇〇)は日本のダリと言われた前衛画家。佐久間阿佐緒は一九二八年生まれとのことで、一九六〇年に東京国立近代美術館で開催された「超現実主義の展開」展にも古沢岩美とともに選ばれている。石仏に関する著書があるようだ。美術団体新超現実派というのはよく分からないが、おそらくその名の通りのグループだったのであろう。 そこに浜田稔も参加していたのだからポケミスの表紙を担当していたとしても不思議ではない。ここに掲げた絵はシュルレアリスムというのとも少し違うかもしれないが、大きな流れで言えば、そこに棹差すと考えていいのだろう。『図画と略画』(金園社、一九六五年)という著書がある。 これまで知らなかった、お気に入りの画家や作家を見つけるのはうれしいものだ。
by sumus2013
| 2020-04-05 17:36
| 古書日録
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