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京の雑煮

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わが家の雑煮(なぜか関東風)


林若樹『集古随筆』(大東出版社、昭和十七年十月二十日)から「京の雑煮」を紹介しよう。発表時期は大正二年のようだ。京都の小山巨杜の家で元日を迎えたときのようす。小山巨杜についてはつまびらかにしないが、大阪朝日新聞社の関係者か。

大晦日には、祇園のおけら参りをして小山宅に泊まった。元日は五時起床。六時には膳についた。

《床には蕪村筆福禄寿の三大字の大幅が掲げられて居る。》

《巨杜君夫妻子女数人竝に予共に席に就く。男子には朱塗の低き俗に云ふ男膳、女子には蝶足黒塗の女膳が配られる。膳の向うには牛蒡の胡麻よごし二本を枕にしてゴマメ二疋が縦につき、其傍に花鰹魚をかけた数ノ子を少しく盛りたる一皿がつく。手許には根来椀に似たる深く大きなる四ツ椀と称する椀に雑煮を盛られる。扨三方に三組の盃を出して屠蘇を酌むことは別に変りがない。》

《椀の中には小児の拳程ある芋頭を頭にして小芋鏡大根焼豆腐が這入つて居て汁はスマシではなく白味噌で煮たものである。餅は鏡餅の小さきもので、東京の如く切餅でないのと焼かないで煮込んだのが特色である。主人は自分の家の儀式は大分くづれて居て純粋な京都風とは行かぬ、併し灯火の下で雑煮を祝ふのは毎も替らぬ家例であるとの前置から、いろ〜〜の説明を聞きつゝ箸をとる。》

《ヤッと一椀を替へ了つて二椀目の終りには既に満腹して汁を乾すのも苦しい位である。主人はと見れば椀の中の大部分を領する芋頭には手をつけないで汁ばかりを替へて最後に芋頭を平げて居る。成程さうしなければ二椀三椀を重ぬることはむづかしい。熟々其四ツ椀と称するものを眺むれば、東京の吸物椀に較べると量に於て約二倍も這入らうと思ふ位である。爰に於てか私は端なく蕪村の、

  三椀の雑煮かゆるや長者ぶり

の句を想ひ浮べて、成程京に来て大きな京風の椀で雑煮を祝つて見なければ、其長者ぶりの趣は真に了解することは出来ぬと悟つた。》

現在の京風雑煮はどんなものか検索してみると、ほとんど変わらないようだ。人参が入っているくらい。

京風雑煮 E・レシピ

吉田健一 東京のおせち


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ついでながら、わが家の正月の掛物は松阪帰庵の「無一物」としてみた。昨秋某書店で求めたもの。

by sumus2013 | 2020-01-03 17:21 | 京洛さんぽ | Comments(0)
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