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林哲夫の文画な日々2
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眩暈祈禱書

眩暈祈禱書_f0307792_20193308.jpeg


塚本邦雄『眩暈祈禱書』(審美社、昭和四十八年七月十一日)。審美社発行ではあるが、編纂装釘は政田岑生。なるほど政田好みの艶っぽいところと厳密なところが渾然とした意匠になっている。本体はコーネル装でヒラの綾織が眩く光る。

《「水葬物語」より「星餐圖」までの七歌集から、イエスもしくはキリスト、さらにはキリスト教的世界を主題とした作品二百五十首を年順に選出綜合して、ここに「眩暈祈禱書[げんうんきたうしよ]」と題する選集を編んだ。》(跋)

《私の座右にある數冊の聖書の中、幼い頃から片時も離したことのない一册は、その奥附に昭和四年六月第二十三版刷とあり、初版は大正八年六月の英國聖書協會刊、神戸市江戸町F・パロット發行と記されてゐる。朧な記憶をたどると、その二十三版を何らかの記念に牧師であつた叔父から贈られたものと覺しい。摩耗破損した表紙をみづから格子ギンガムの布装に補修し、ルオーの筆になる聖家族の複製畫で再装釘してゐるが、それも既に手垢に汚れ、愛誦頻りであつたルカ傳のあたりは汚點[しみ]いちじるしい。ほとんど完璧と思はれる邦譯韻文體のバイブルは、私にとつてこの上なくうつくしい異國の繪巻物であつた。》(麥芽昏睡あるひは受肉の倫理について)

聖書のとくに旧約「雅歌」に魅せられながらも、徹底して瀆聖のモチーフでつらぬかれている。目についたものをいくつか引いておく。原文はすべて旧漢字。


 聖母像ばかりならべてある美術館の出口につづく火薬庫

 鳥貝やチーズが好きな僧正のソファのねぢくぎたびたび弛み

 蚤の市に黒き両脚ひらきたる釘抜き得たり はや聖四月

 母は知らねども地獄より熱烈にわれ誘ふ聖土耳古温泉

 神聖受胎悼むごとしも少年がドーナッツの孔指もてまはし

 天に墜ちゆく揚雲雀わがたましいひは日もすがら肉のうちにうかぶ

 憑かるる前に憑け繪のマリア青桃[せいたう]のかたち乳房をイエスに乞[あた]ふ


眩暈祈禱書_f0307792_20192727.jpeg

毎ページ、天使の画像が薄く印刷されている(同じ絵の繰り返し)。それなりの効果が出ているように思う。写真に写っていないが、薄い紫色の帯がある。

書肆季節社本

政田岑生から竹村晃太郎に宛てた葉書

by sumus2013 | 2019-12-05 21:14 | 古書日録 | Comments(0)
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