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林哲夫の文画な日々2
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曜変天目と破草鞋

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『大燈国師語録』(元和元年;1621)


「大徳寺龍光院 国宝曜変天目と破草鞋」(だいとくじ りょうこういん こくほう ようへんてんもく と はそうあい」展(MIHO MUSEUM、2019年3月21日〜5月19日)のプレビューへ。信楽の山中も春近しの陽気で気持ちが良かった。

大徳寺龍光院は黒田長政が父・黒田如水の菩提のために建立した。慶長十一年(1606)のことである。初祖は春屋宗園(しゅんおくそうえん)、それを継いだのが江月宗玩(こうげつそうがん)。宗玩は堺の豪商・津田宗及(つだそうぎゅう)の二男だったということもあり、唐物名物(中国から輸入されたブランド品)が龍光院に集まった・・・とカタログの受け売り。

日本に(世界に)三箇しかない(?)という曜変天目が今春、三つ同時に公開されるそうだ。その口切がミホの大徳寺龍光院蔵のもので、来月四月十三日から静嘉堂文庫美術館(同館蔵)と奈良国立博物館(藤田美術館蔵)も公開される。かなり前になるが、後者のどちらかの(たぶん静嘉堂文庫蔵)曜変天目は見た記憶がある。ふつうに博物館の明るいショーケースの中にあるのを間近から見たと思う。しかし、今回、ミホでは真っ暗な部屋に四面がガラス張りの大きな箱の中にポツンと置かれて、スポットライトが当たっていた。暗闇のなかに観客がワサワサうごめいている。ときおり誰かがフラッシュを光らせると警備員が「ダメですよ」と警告。そのときだけお碗の周囲が明るくなって、また別の見え方をする。

色々なお宝を拝見して江月宗玩の寛永文化サロンのレベルの高さがよくわかった。しかしやっぱり小生の目を引いたのは書物、写本や版本であった。例えば江月宗玩が応仁の乱で焼失した原本を復刊したという『大燈国師語録』(元和元年;1621)。この版面、余白の取り方は尋常ではない。

しゃれたことを、と思って続きの展示へ移って行くと、少し先に『臨済録 美濃正法寺版』(延徳三年;1491)が出ていた。これはまた古格のにじむ刷りである。宋版『臨済録』(1120)の和刻(永享九年版;1437)を再刊したものというが、特芳禅傑(1419-1506)による注釈がビッシリ。なるほど、そうだったか、余白を広く取る理由は書き入れをするためなのだ(実際、後でカタログを見ると『大燈国師語録』の余白に江月和尚の書き入れのあるページが出ていた)。

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『臨済録 美濃正法寺版』


なお「破草鞋」とは『臨済録』に出ている言葉で、破れた草履、すなわち無用物という意味だとのこと。曜変天目=破草鞋をわざわざ見物に出かけるのは愚の骨頂・・・・そういう禅的なアイロニイ?

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そうそう、唐物茶壺(十四〜十六世紀)も展示されていた。先月、触れた狂言に出てくる「茶壺」がこういう種類のものだったか、どうだか。大金をつぎ込んだのだから、あるいはこのくらいの茶壺を使っていたかもしれない。

茶壺

by sumus2013 | 2019-03-20 21:20 | 雲遅空想美術館 | Comments(0)
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