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林哲夫の文画な日々2
by sumus2013


モダン都市大阪の記憶

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大阪くらしの今昔館へ「モダン都市大阪の記憶」展を見に出かけた。初めての訪問なので、ビルの九階に昔の大阪の街並みが再現されているのにちょっと驚かされた。幕末〜明治ぐらいだろうかと思ったら、パンフレットには一八三〇年代=天保年間とあった。その街のなかを入館者は歩き回れるし、どの商家の中でも入っていいのだ(畳の部屋はダメです)。これが意外によくできている。外国人観光客が浴衣に着替えて(貸し浴衣、着替え部屋も用意されている)あちこちで記念撮影に余念がない。

八階にある「近代の大阪」展示室はジオラマと現物(昔の家電製品など)が並ぶ。こちらはさほどでもないかなとも思ったが、川口居留地のジオラマにはちょっと惹かれた。大阪最初のカフェは川口居留地にできたものが嚆矢とされているため。

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常設展示は撮影自由である。ただし企画展示の「モダン都市大阪の記憶」は撮影禁止ということで画像はない、あしからず。橋爪節也さんのコレクションの幅広さが良く分かるし、なにしろ、それぞれのクオリティが高い。大阪にも(というと怒られてしまうけど)こんな時代があったのだと実感させられるような、じつに楽しい展示だった。

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その企画展示室の入口の手前にあるショーケースに注目すべき展示があった。それは篆刻家であり大津絵研究家だった楠瀬日年(1888-1962)のコーナー。篆刻作品、大津絵、硯、書籍、雑誌。コンパクトに日年の世界をまとめてある。いずれ大掛かりな回顧展が見てみたい作家の一人。日年は著書も少なくない。その古書価はなかなか・・である。

今昔館のある天神橋筋六丁目から阪急の南方へ。海月文庫さんで開催中の「ガラス絵 椿崎和生作品展」(〜14日)を見る。

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ガラスや古いビーズをうまく使った立体コラージュというかオブジェ(すべて壁に掛けられる作品)の小品がずらりと並んでいて、ぐるぐる眺めても飽きない。作者自身が制作を楽しんでいる、その楽しさが伝わってくる。談論風発の先客あり、と思って芳名帳を見ると、昔『ARE』でお世話になった方だった。何十年ぶりかでご挨拶、こんなことってあるんだなあ、と再会を喜んだ。

古書コーナーでもちょっとした本を見つけた。海月文庫さん、いい。いずれ紹介します。


by sumus2013 | 2019-03-09 21:15 | 雲遅空想美術館 | Comments(0)
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