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林哲夫の文画な日々2
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常盤樹

常盤樹_f0307792_16503251.jpg

大政翼賛会文化部編『朗読詩集 常盤樹』(翼賛図書刊行会、昭和十七年十月五日修正再版)。これも善行堂にて。百円均一の箱より。『花森安治装釘集成』では本書および本書と同じシリーズ『大招奉戴』の二種を、参考として掲載している。花森でなければ考えつかないような四角だけの(バウハウス風の)デザインだし、花森が編集した松江の校友会雑誌に同じような表紙がすでに存在するところから、まずは花森の意匠であろうと思われる。

作品が選ばれているのは、高村光太郎、島崎藤村、伊波南哲、河井酔茗、北原白秋、蔵原伸二郎、野口米次郎、長島三芳、山本和夫、萩原朔太郎、風木雲太郎、宮沢賢治、田中清司の十三人。直接的な戦争讃歌や銃後をテーマとした作品が主だが、例外は北原白秋の「お祭」(わつしょい、わつしょい。/わつしょい、わつしょい。/祭りだ、祭りだ。)と宮沢賢治の「雨ニモマケズ」である。解説者(無記名)は白秋の「お祭」をゲーテ『ファウスト』のワルプルギスの夜に比較したりなどして(ゲーテはドイツ人だからいいのだろう)学のあるところを見せている。

常盤樹_f0307792_16502967.jpg

「雨ニモマケズ」の解説を引いておく。

《この詩が發見されたのはこの詩人の死んだ後であつた。圖らずも令弟が詩人の小さな手帳を見つけ出されたところ、手ずれた汚い、普通のポケツト用手帳の中のいろいろな覺書などにまじつて、この詩が鉛筆で書きしるされてあつたのである。詩人はこの詩をまつたく人に見せる氣はなく、純粋に自分の心構のためにひそかに書きしるした。この詩を讀むと第一にさういふ、心を一途に内に傾けてゐる純粋さがわれわれを打つ。この平凡なやうな、へりくだつた、最低の願のやうに見える「サウイフモノニワタシハナリタイ」といふ聲をよくきいてゐると、それが實に大きな願であることにわれわれは氣づいてくる。》

緑色の「50銭/取引高税印紙」は、写真の通り、このページに挟まれていた。栞として使われたものに相違ない。それにしても「ツマラナイカラヤメロ」と言う人間はいなかったのか・・・

by sumus2013 | 2019-01-21 20:37 | 古書日録 | Comments(0)
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