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黄葉夕陽村舎詩二冊知恩寺で買った『黄葉夕陽村舎詩』の端本二冊。左が「後篇三」、右は題簽が失われたためか、肉筆で「村舎詩 三」と書かれ、右上隅に「菅茶山 黄葉夕村舎詩」(陽が抜けているのはママ)の貼紙がある。下はそれぞれの開巻第一丁目を比べたところ。「黄葉夕陽村舎詩巻之五」という内題・巻数は同じだが、見ての通り版面すなわちその内容は違っており、左は《○○○元日同志摩北條景陽》云々の前書きのある「賦 甲戌」(一八一四)で始まっている。右は「題畫 戌午」(一七九八)から。判型も右が少し小さい(25×17cm)。【紛らわしい書き方をしてしまいましたが、左は「後篇」なのですから違って当たり前です】。 これらはさほど珍しいとも思えないし、すでに一揃い架蔵している(黄葉夕陽村舎詩)。それでも惹かれた理由のひとつは、蔵印がベタベタ捺されていたこと。よく読めないけど・・・左の本には四種。「宮▪️松田氏図書印」「水竹▪️堂」「長▪️」「子▪️」。 右の本にも四種捺されている。七山氏蔵書で蔵書印検索をかけると七山順道の印が二件ヒットするが、どうも同じ七山氏とは思えない。珍しい姓なので、親族あるいは一族かもしれない・・・? 「七山氏蔵書印」の脇は「春豊」? 以下の二顆は見返しに捺されていて「通義/▪️一」、「煙波釣徒」かとも思うが、どうだろう? 「煙波釣徒」で検索すると清の画人・鄭培(生歿年不詳)が浮かんできた。享保十六年(一七三一)に来航、同十九年にも長崎に滞在していたことが知られるという(神戸市立博物館HPより)。「舊雲閒煙波釣徒鄭培」(国文研)、「煙波釣叟」(早稲田大学図書館)の二印も見つかった。しかし年代が合わないなあ、惜しいことに。 これら『黄葉夕陽村舎詩』に蔵書印が多いということは、大切に所蔵されていた証拠になるだろう。次の写真が以前紹介した四冊揃の『黄葉夕陽村舎詩』。この「三」に「黄葉夕陽村舎詩巻之五」が収められており(ただし一丁目は巻之四で、五は中程から始まる)版面は上の右の本とまったく同じである。多少刷りムラはあるが、同じ板から摺られたように見える。ただし紙質からして四冊の方がぐっと新しい(明治刷りだろう)。 もうひとつ、左の本の巻末の見返しに旧蔵者の書き入れがある。見事な筆致で頼山陽の論詩を引き写している。末尾に「恒写」とあり巻頭と同じ「長▪️」「子▪️」印が捺されている(ただしサイズはこちらの方が一回り小さい)。 これを見るにつけても菅茶山の詩集がたいそう大事にされていたことが分かる。それが、どうしたわけか、今では散り散りバラバラとなり、その断片がわが机辺にたどり着いた。そう長くはないかもしれないが、この出会いを尊いものとして、ひとときお預かりしておきたいと思うしだい。
by sumus2013
| 2018-11-02 20:16
| 古書日録
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Comments(1)
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