林哲夫の文画な日々2
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ザボンとブンタン

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フランシスコ・デ・スルバラン


このところ「大日本レトロ図版研Q所」の所長氏がザボンとブンタンの定義を巡って文献調査を重ねておられる。これら柑橘類の名辞には、なんとも不可解な混線があるようだ。辞書類の記述のいい加減さに、驚かされるというか、呆れるを通り越して、感心すらしてしまう。

三続・「ざぼん」と「ぶんたん」改メ「ザボン」と「ブンタン」第四回
https://muuseo.com/lab-4-retroimage.jp/diaries/14

リンゴを描いた絵画は数え切れない、というか、描いたことのない画家を探す方が難しいだろう。だが、柑橘類となると、すぐに思い出す作品はそれほど多くない。とっさに浮かんだのは上図、フランシスコ・デ・スルバラン「PIATTO DI CEDRI, CESTO DI ARANCE E TEZZA CON ROSA」(リッツォーリ版『スルバラン』画集によるタイトル「皿のレモン、篭のオレンジ、薔薇とカップ」)。

レモンの絵はけっこうあるかもしれない。しかし、ザボン、ブンタンとなると、ボンタンアメの箱絵くらい(?)。他には、モチーフとしての柑橘類なら「仏手柑」が思い出される。日本画にはしばしば見られるようだ。例えば小倉遊亀(柑橘類をしばしばモチーフにしている)。下に引用した野島康三の「仏手柑」は写真、安藤緑山は象牙彫刻(戦前のスーパーリアリズム)。


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野島康三の「仏手柑」



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たしか、以前紹介した『遠西名物考』に柑橘類の記述があったと思って頁をめくってみた。まず「香椽[木偏ニ縁]」の項目に《即チ仏手柑ナリ》とあり、以下その薬用についておよそ二ページにわたって記されている。

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また「橙皮」のところには《此レ綱目ニ所謂ル臭橙皮ヲ用ユベシ》とある。臭橙はカボスのことだが、文中にはラテン語で「マリュスアウランチア」、オランダ語で「オランエボーム」と呼び、その果実をそれぞれ「マーラヤウランチヤ」「オランエアッペル」と云うとし、

《形圓ニシテ球ノ如ク黄金色ニシテ甚タ濃美ナリ其皮味苦ク然レドモ瓢ハ即チ甘シテ酸ヲ帯ヒタル汁液コレニ満ツ》

などとある。これはオレンジのことであろう。

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《「オランエ」ノ最モ甘キ者ヲ羅甸ニ「ポマ・アウランチヤ・シ子ンシア」ト云ヒ和蘭ニコレヲ「アッペルシナーブ」ト呼フ、然トモ未必シモ支那ニ産セス波ル杜尾ル人コレヲ印亜 印度ノ地ニシテ波ル杜尾ルニ属ス 及ヒ其近傍諸島ヨリ得来ル又同シ種類ニシテ大小爰ニ別ナル者アリ其最大ナル者ハ東方印度ノ地方「パターヒヤ」 瓜哇国中ニシテ和蘭府域ノ在ルトコロナリ ノ辺ヨリ出ス人コレヲ「テイチルリムー子ン」ト云其皮ノ主治「オランエアッヘル」ノ皮ト相同シ其肉ハ微利ヲ主リ自然ヲ強クシ元気ヲ壮ニシ腐敗ヲ療シ青腿下疳ヲ治ス》

オレンジの類が食品(薬品)としてさまざまな効用のあることを説いている。

by sumus2013 | 2018-10-29 20:38 | 雲遅空想美術館 | Comments(0)
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