林哲夫の文画な日々2
by sumus2013
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フランス文学風物誌

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大塚幸男『フランス文学風物誌』(白水社、一九五八年八月二〇日)。奥付頁の著者略歴は以下の通り。

《一九〇九年生
 一九三三年九大卒
仏文学専攻
福岡大教授
主要著書
 「仏文学入門」「フランス文学随攷」「知性と感性」
主要訳書
 コンスタン「アドルフ」
 ロチ「死と憐れみの書」
 ボナール「友情論」
 ヴァグネル「簡素な生活」》

一九九二年歿(ウィキによる)。一九五七年の滞仏の思い出などをつづっている。巻頭口絵にはセーヌ河岸の古本屋、蚤の市の古本屋などの写真が出ている。このセーヌ河岸の古本屋はよく知られた絵葉書の一枚。左下の写真は《シャ-キ-ペーシュ街(パリで最も狭く、小さな町の一つ)》とあるが、この通りはサン・ミッシェル橋の南詰すぐにあって、たしかに狭くて短い。

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古本屋についてかなりのページが割かれている。河岸の古本屋についてもいろいろ観察があるが、今は省略。セギという古書店について書かれた部分を抜き書きしておく。

《国立劇場サル・リュクサンブールの裏手、リュクサンブール公園のメディシスの泉のはす向かい、プラタナスの並木がいつも蔭を落としているメディシス町の一番地に、セギという本屋がある。この本屋こそはパリに遊んた日本人の忘れることのできない本屋であろう。それほど主人は日本人びいきで、数々の日本の学者に親しい本屋なのである。
 主人のマルセル・セギさんは一八八七年三月、ヴェルダンに生まれた。ことし七十歳である。父はイスパニア系のフランス領カタロニア人、母もロレーヌ人。》

《初めて日本人を知ったのは、今から三十一年前である。その日本人というのは台湾[二文字傍点]大学の矢野教授といった。峰人博士のことであろう。矢野教授はフランス語が話せないので、フランス語で筆談をした。そしてロマン派の本をしきりに買った、といってセギさんはいかにもなつかしげであった。》

《セギ老は三十一年来の日本人の客の名刺を小さな箱に入れて保存している。一日、私は特に乞うてそられの名刺を見せてもらった。次のような人々の名が見えた。ーー目黒三郎、須川弥作、成瀬正一、渡辺一夫、岩田豊雄、永田清、太宰施門、井汲清治、林原耕三、小島亮一、桶谷繁雄、岡田真吉、宮本正清、吉川逸治、等々。》

《三十年以上も前からの異国の客の名刺を大切に保存している本屋さんはそうざらにあるものではない。書物の都、パリの本屋気質の手がたさがうかがえるではないか。いいおくれたが、セギは新本屋を兼ねた古本屋で、頼めば大ていどんな古本でも、どこからか探して来てくれる。》

セギは現存しないと思われるが、これ以外の回想記がないものだろうか。他にジョセフ・ジベールとジベール・ジューヌ、そしてニゼルについても書かれている。ジョセフ・ジベールは《新本は少ないが、古本は圧倒的に多く》とあって現在と全く違った店作りだったことが分る。

《すべての本のカードが出来ていて、われわれがある本を抜いて店員にさし出すと、店員は係りのところへ行く。すると係りは一々カードを抜き出して、そのカードと照合してから、売ることである。

《第二に感心するのは、あらゆる大きさの包装紙を用意していて、本の判型にしたがって、ぴったり合う包装紙でカバーしてくれることである。そしてその包装紙も実に強靭なものを使っている。》

こういうことが目新しい時代だった。

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もう一枚、口絵写真で目にとまったのがこちら、「Collection QUE SAIS-JE?」(クセジュ文庫)と書かれた小型車が駐車するプレス・ユニヴェルシテール・ド・フランス(les Presses universitaires de France)社の建物。一九二一年に大学教授の団体によって設立された出版社。PUF。日本では白水社がクセジュ文庫として翻訳発行している。本国では経営が行き詰まり、二〇一四年に Scor という保険会社が資金投入して再出発したようだ。

Puf Que sais-je ?

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by sumus2013 | 2018-09-17 20:47 | 巴里アンフェール | Comments(0)
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