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林哲夫の文画な日々2
by sumus2013


しのび笑い ふらんす

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『ふらんす 臨時増刊 しのび笑い sous-rire』第三十二巻第三号(白水社、一九五七年二月一〇日)を頂戴した。エロチックな小話集である。訳註は田辺貞之助。表紙と挿絵はトバ・ショオ。本名は大田耕士(1909-1998)。検索してみると、太陽美術協会会員、日本教育版画教会を恩師の恩地孝四郎や平塚運一らとともに創立した版画家。宮崎駿監督の妻・宮崎朱美の父らしいということが分った。

そんなに感心するような小咄はないにしても、それぞれにフランス人の生活が反映されているのは間違いない。ひとつだけ引用しておく。

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Les langues vivantes

Papa surprit son fils, collégien de quatorze ans, en train d'embrasser la petite bonne: Il se fâche:
ーーTu aurais bien mieux d'étudier ton grec et ton latin.
ーーEst-ce ma faute, répond le fils, si j'aime mieux les langues vivantes que les langues mortes?


生きているラング

十四になる中学生の倅が小さい女中に接吻しているところをパパがみつけた. 彼はおこって,
ーーお前はギリシャ語やラテン語を勉強してた方がいいんだ.
 すると, 伜が答えた.
ーーけれど, 僕が死んだラングより生きているラングの方が好きでも, 僕がわるいんじゃないよ.


・・・とこれは日本語で読んでもピンとこない。ラング(les langues)には「舌」と「言語」というふたつの意味があるからシャレになる。これを翻訳するのは難しい。似たような駄洒落で切り抜けられればいいのだが、ちょっと無理そう。ま、この雑誌の読者はフランス語を学ぶ人たちだろうから「ラング」でもいいという判断か。

女中ネタはいくつもあって必ず主人や息子と仲良くなる。女中は「bonne ボンヌ」。挿絵の女中は以前紹介したベカシーヌと同じような恰好をしているが、それは相当に古風であろう。

フランスの漫画『ベカシーヌ』

by sumus2013 | 2018-09-10 20:58 | 古書日録 | Comments(0)
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