林哲夫の文画な日々2
by sumus2013
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書肆季節社本

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松林尚志『詩集 木魂集』(書肆季節社、一九八三年九月、装訂=政田岑生)を頂戴した。深謝です。松林氏は下記のような略歴。俳人であり著書も多い。

1930年、長野県生まれ。慶応義塾大学経済学部卒業。現代俳句協会、現代詩人会、日中文化交流協会の各会員。俳誌「澪」及び「木魂」代表、「海程」同人

文人碁会2015の優勝者は松林尚志氏

松林尚志「汗冷める老人に席譲られて」(「木魂」第254号)・・

政田岑生らしいキッチリとした作り。《本書は政田岑生氏の熱心なお薦めがなかったらいつ日の目をみるかわからないところであった。》と「後記」にある。

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巻頭のあそび紙に自筆句入り。本文組みも美しい。

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政田岑生の出版物をもうひとつ紹介しておく。『詩集かるそん』復刻版(書肆季節社、一九九三年一月一日)。元版は昭和三十八年一月一日発行、発行者は金田弘・羊歯三郎となっている。発行所は姫路市本町FLORA植物園。

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栞に掲載された鈴木漠「菫色のカルソン 水精[ニンフ]と羊飼は再び踊らず」によれば、一九五〇年代も半ばの頃、播州には西脇順三郎に親炙する詩人たちがいた。金田弘(かなだひろし)、羊歯三郎(しださぶろう)、羊歯の実兄・皆光茂(かいこうしげる)。時代は革新の機運にあふれていたという。

《一九四〇年代の終り、金田弘と、皆光茂、羊歯三郎兄弟はそれぞれに、西脇順三郎詩集『旅人かへらず』(一九四七年刊)と運命的な出会いをする。以後、西脇順三郎の懇ろな知遇を得る一方、同人誌『天蓋』や『Galant』等を順次刊行し、わけても『天蓋』七号(一九五三年)では他誌にさきがけて西脇順三郎特集を組み、『旅人かへらず』以後の西脇詩を逸早く世に紹介している。

《詩集『かるそん』は、そのような背景のもとに上梓されている。著者「ハーフ&ハーフ」とは、形の上では金田弘と羊歯三郎の二人を意味するのであろうが、実質はそれ以上のもの、西脇詩との交感による相乗効果と相まって別人格にまで昇華されているというべきであろう。さらにまた、これらの詩篇はすべて、連句に似た手法でもって共同制作されていたのである。

ところが羊歯三郎は突如として詩作をなげうった。「死亡通知」を各方面に発送したために『詩学』誌上に追悼記事が出たという。

《詩集『かるそん』は、詩を断念したかに見えるそのような羊歯三郎を鼓舞するために、心友金田弘が仕掛けたシュールな「対話篇」なのであった。

《風の噂によると「ハーフ&ハーフ」の一人羊歯三郎は、その後市井に隠れ棲み、植物の女神(フローラ)達と戯れる毎日だという。

発行所「FLORA植物園」は羊歯の店(?)なのだろうか。検索すると羊歯三郎のサイトが見つかった。経歴などについてあまり詳しい記載はないが、写真アルバムが大変貴重。『詩集かるそん』の刊行記念パーティの様子もよく分る。

羊歯三郎の世界

金田弘は西脇の評伝『旅人つひにかへらず』(筑摩書房、一九八七年)を上梓し、西脇から離れて仏門に入った皆光茂は東京にあって水墨画と漢詩の世界に遊んだ。

《ちなみに、西脇順三郎余技の絵はつとに有名だが、その画風はむしろ皆光茂の影響いちじるしいといわれている。

これは少々気になる発言である。検索してみると(何でも検索するもんです)皆光茂は蘭の栽培家としても知られていたようで以下のような短い評伝を見つけることができた。

東洋蘭やエビネ関連の書物で一寸難解な随想などを書かれており、只者ではない人に感じて興味が湧き、その人物像を探ってみました。本名は田中茂、皆光の雅号は母親の実家の寺名「皆光寺」に因んだ異能の文人で、生涯を野人で貫き通し、それを矜持とした人でした。

昭和27年の上京後は後にノーベル賞候補にもなった偉大な詩人「西脇順三郎」に帥事、西脇も氏の資質に共鳴、頻繁に練馬のあばら家に出向いては、「皆光寺の坊主」と呼んで、まるで寒山拾得のように笑いこけながら水墨画を描き合い、芭蕉論に興じたと言います。

蘭と人の話(2)

西脇の絵については下記を。

小千谷市立図書館 西脇記念画廊



by sumus2013 | 2018-08-23 20:37 | 古書日録 | Comments(0)
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