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林哲夫の文画な日々2
by sumus2013


紙魚 No.70

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『紙魚』No.70(書物屋、二〇一八年六月五日)を頂戴した。この号をもって完結とのこと。詩誌『新年』が特集されている。発行人鈴木良一氏のことばを引用しておく。

《詩誌目録「紙魚」を創刊したのは、一九九六年四月二十日だった。二十二年間で七十号に至った。時間がかかり過ぎているなぁとの思いはする。「紙魚」創刊の経緯は創刊号の「あとがき」で記した通りで、詩誌「唄」第三号との出会いからだった。》

《創刊号の目録は一九九五年で、この年は「戦後五十年」という言い方で日本の戦後の歩みを総括するというか、回顧する論陣がメディアを賑わしていた。そんな雰囲気から私は新潟県の詩集詩誌を集めて、自分なりの「新潟県戦後五十年詩史」を構想した。最初の目標は一九四六年までの五十号だった。》

《創刊号には「準備三年、調査十年」と言っている。集る詩誌を頼りに、さらに次の詩人へと確かに三年間は新潟県内を隈なく巡り、各市町村の図書館等も訪ねた。そうして集る資料を整理していて分って来たのが、新潟県の戦前戦後の断絶というか、近代詩から現代詩への詩史的記録が全くといって無いのである。》

《一九二六年から一九四五年までの時代の資料はなかなか見つけ出せなかった。新潟県の近代詩を読み解くためには、新潟県の近代詩の勃興期を探る必要を感じ、「新潟新聞」「北越新報」の調査を始めた。
 今号での新潟新聞の記事からも分るように、「新年」以前にも「黒潮」という協力な詩誌があった。しかし「新年」以外は、今もいまだ見つかっていない。こうした経過から一九二六年を最終目標にしたのだった。》

《多くの詩集詩誌はいまだ休眠仮眠中である。書き続けることに依って、眠っている詩集詩誌を揺り起さなければならない。そういう思いも「紙魚」を刊行し続けた動機ではある。詩史を通じて、歴史を映しだすためにも。》

《今後はこの「紙魚」を基礎資料とし、『新潟県戦後五十年詩史』の完成と『新潟県の近代詩成立過程』の完結を目指します。》

こういう方がいないといけません。

by sumus2013 | 2018-06-19 19:26 | おすすめ本棚 | Comments(0)
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