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今宵はなんという夢見る夜

今宵はなんという夢見る夜_f0307792_19361567.jpg

柏倉康夫『今宵はなんという夢見る夜 金子光晴と森三千代』(左右社、二〇一八年六月三〇日)。柏倉氏の新著である。以前、プレヴェールの評伝を装幀させていただいた。

『思い出しておくれ、幸せだった日々を 評伝ジャック・プレヴェール』

『今宵は〜』も非常な労作評伝である。金子光晴と森三千代の関係を、その出会いから敗戦まで、詳細にたどっている。金子の自虐的な恋愛観、新しい女としての三千代の成長、それらをしつように追いかけて、筆は日本はもちろん中国、東南アジア、ベルギー、フランスへと走って行く。金子ってこんな男だったのか、森三千代の作品をもっと読んでみたい……と自然に思わされてしまう。折りに触れ詩などの引用もふんだんに盛り込まれているので金子を知らない人には入門書として役立つだろう。

金子光晴の三部作『どくろ杯』『ねむれ巴里』『西ひがし』(いずれも中公文庫)はかつて愛読したものだ。表現も巧みだが、とりわけ、こんなに率直な自伝ってあるのかなと感心した。しかし本書を読むと、少し見方が変わる。いくら率直でも金子も人並みはずれて自分勝手な人間だ、描写には歪曲された部分も少なからずあるのだ。本書と照らしながら三部作をもう一度読み返してみたいような気になった。

それはそうとして、戦前の最も「いやな時代」を「うしろむきのオットセイ」の態度で通した金子の生き方を、若い人たちにもっと知ってもらいたい、というのが読後感の第一である。現代もまた戦前とは多少違うとしても(しかし通じるところのある)「いやな」時代になっているから。

今宵はなんという夢見る夜 金子光晴と森三千代


今宵はなんという夢見る夜_f0307792_19361779.jpg
【用紙】
本 文 b7ナチュラル 四六Y71.5kg
カバー MTA+-FS 四六判Y目 135kg
表 紙 気包紙-FS(U) ディープラフ L判Y目215.5kg/K判T・Y目147.5kg
見返し ハンマートーンGA ダークグレー 四六判Y目 130kg
別丁扉 ハンマートーンGA スノーホワイト 四六判Y目 100kg
帯   ハンマートーンGA スノーホワイト 四六判Y目 100kg

by sumus2013 | 2018-05-29 20:08 | 装幀=林哲夫 | Comments(0)
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