林哲夫の文画な日々2
by sumus2013
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没後70年 松本竣介展

f0307792_17373933.jpg

ときの忘れもので開催中の「没後70年 松本竣介展」の図録を頂戴した。深謝です。《これまでほとんど展示されることのなかった作品8点を含むドローイング16点を紹介する》とのことで、近くならぜひ見たい展覧会である。16点とあるが、図録によれば、表裏にデッサンが描かれている作品が五点含まれている。

没後70年 松本竣介展

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おやっと思ったのはこちら。No.13、一九四二年の少女素描である。デッサンの線を鉄筆のようなものでなぞった跡が付いている。

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要するに、このデッサンは《裏面に木炭を塗って転写のために使ったとみられる「カルトン」》(大谷省吾「松本竣介の素描について」本書解説より)なのである。ついでだから絵の転写についてメモしておこう。

壁画などでは、下絵の輪郭線に添って小さな穴をズーッと開けて、そこに色粉をはたくと、下に輪郭が現れるという技法が用いられる。どこかの美術館で壁画の表面が剥がれて緑色(テールヴェルト)の点々で描かれた輪郭が見えているサンプルを見た記憶があるが、どこだったか失念。

または下絵にグリッド(格子)の線を引いて、キャンバス(や壁面)にも同じ数の線を引いて(拡大縮小は自由)、マス目ごとに線を目で見ながら移して行くという転写法もある(おおざっぱかつ極端に言えば、デジタルの画像コピーと原理としては同じです)。これだと下絵に格子模様が入ってしまうので、下絵がよくできていると、ちょっともったいない気もする。写真などを転写するときに向いているかも。

小さな画面ではトレーシングペーパーを用いる。美大生の頃、「ヤン・ファン・アイクはどうやって下絵をタブローに転写したのでしょうか?」と黒江光彦氏(当時、西洋画の技法書を執筆していた研究者)に直接尋ねたことがある。黒江氏は、薄い紙にロウをしみこませて半透明にしたトレーシングペーパーのようなものがすでにあった、という意味のことを教えてくださった。ヤン・ファン・アイクの絵は構図も厳格だし描写も非常に細かいのでそうとう精密な下絵を用意したことはまず間違いないが、トレペだったとは、当時は思いも寄らなかった。

竣介も、いつもこんなぶっつけな転写をしていたとは思えないけど(というのは下絵の素描が傷んでしまうから、できればやりたくない)、トレペの転写というのはちょっと面倒でもある。薄い紙をデッサンに重ねて線だけを引き写して、その輪郭を写し取った薄い紙(トレペでなくても、線が透ければいい)の裏面にカーボンを塗る(柔らかい鉛筆でも可)か、または下にカーボン紙を敷くかして、それをキャンバスの上に置く。それから、少し力をこめてボールペン程度の細さ・堅さのもので薄紙の線描をなぞる。そうするとキャンバスの上に輪郭線が写る。カーボンは絵具と混ざって少し濁ることもあるので、茶色の油絵具(バーンドアンバー)を薄く溶いてトレペの裏に塗り、しばらく乾かし(完全に乾かしては転写できなくなるので適当なところで)転写に用いるという方法もある。

いちばん簡単なのはキャンバスに直接描くことだが、これだと構図をイッパツで決めなくてはならない。構図が変更しにくい(できないわけではもちろんありません)。印象派が現れる前の画家たちは、おそらくそんな適当なぶっつけ本番はまずやらなかったろう(やっていないというわけではありません)。

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by sumus2013 | 2018-05-28 21:20 | 雲遅空想美術館 | Comments(0)
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