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林哲夫の文画な日々2
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LOVE書店!

LOVE書店!_f0307792_19223845.jpg

フリーペーパー『LOVE書店! 24』(本屋大賞実行委員会、二〇一八年三月)というものをもらった。表紙の女子は乃木坂46の齋藤飛鳥さん。題字も。《本屋さんには、よく行きます。私はやっぱり"紙派"ですね。》と頼もしい言葉が。もっぱら「タイトル買い」だとか。

タブロイド判12頁でその12頁目の「LOVE! WINDOWS」に鹿島茂氏が「パリの本屋さん」を連載している。今号第二十三回は「フランスの中古書店の現状」。

近年フランス古書業界でも所得格差が著しくなっているそうだ。

《とくにひどいのが、絶対的に希少なアイテム、つまり、オークションにはせいぜい10年に1度くらいしか登場しないような超レアーなアイテムである。値上がりぶりは、かなり過激になっている。どれくらいかというと、最低で10年前の2倍、ひどいときには3、4倍ということもある。私がしゃかりきになって収集に打ち込んでいた30年前の相場と比べたら、10倍は軽いのではないか?》

そして、その一例としてルドゥテの『バラ図譜』が挙げられる。

《たとえば、これはもう3年前になるが、パリで一番高い古書店で売られていたルドゥテの『バラ図譜』3巻本は、なんと3億円! 30年前に3千万円と言われて仰天した記憶があるから、まさに10倍の値上がりである。もっとも、染みひとつない完璧なアイテムだったので、この値段でもしかたないかもしれないが。》

要するに、持ったもの勝ち、売り手の言い値市場になったわけだ。では何故こんなことになったのか? 鹿島氏によれば、それは不動産価格が激しく値上がりしたからだという。ヨーロッパでは不動産市場と高級古書市場は連動するのだとか。パリでは不動産価格もオークションで決定される。美術品もドゥルオー(オークション会場)での落札価格が基準になる。有価証券や不動産の市場が煮詰まってくると、投資家はまず美術品市場へ、次に高級古書市場へシフトする。昔どこかで聞いたようなバブリーな話ですな。

《現在、アメリカや日本でだぶついたマネーは、ヨーロッパの債券市場や不動産市場を席巻した後、数年前からついに高級古書市場にまで流れこんできている。だが、しかし、いかにも今日的だと思われるのは、それはあくまで"高級古書市場だけ"に限られる現象であるということだ。高級古書を除くと、古書一般は値上がりどころか、むしろ大きく値を下げている。まったく値が付かなくなって、廃棄処分に回される古書も増えてきている。》

ルドゥテ(Redouté, Pierre Joseph, 1759-1840)の『バラ図譜 Les Roses』(Firmin Didot, 1817-1824)がどんな本かというと、以下のようなものである。古書サイトには初版本の画像が見当たらなかったので(目下 AbeBooks.com には EUR 655 204,95:8583万円:US$ 750,000.00 で出品されているのが最高値)米国の議会図書館所蔵本のPDFにリンクしておく。

Les roses,

by sumus2013 | 2018-05-22 20:16 | 巴里アンフェール | Comments(0)
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