林哲夫の文画な日々2
by sumus2013
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荒海や

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北陸自動車道のSAやPAには芭蕉の句碑が建っている。上の写真は米山サービスエリア(新潟県柏崎市)の下り線。あまりに有名なこの句が、日本海を背景に設置されていると、やはり写真を撮りたくなる。

 荒海や佐渡に横たふ天の川

元禄二年(1689)六月から七月にかけて芭蕉は

《象潟から酒田に帰つて、又こゝに数日の泊を重ね、二十五日に越後路をさして出発した。羽前と越後との境である鼠の関を二十七日に越え、七月二日に新潟着、三日は弥彦泊、四日は寺泊を経て出雲崎泊。五日は鉢崎泊、六日・七日は今町(直江津)泊、八日・九日・十日は高田泊、十一日は能生[のふ]泊、十二日は市振[いちぶり]泊と宿を重ねた。》(「芭蕉講話」『潁原退蔵全集』第九巻、中央公論社、一九七九年

新潟は素通りしていたのか。それにしても昔の人はよく歩く。

《この間に出雲崎で、
  荒海や佐渡に横たふ天の川
の吟があった。紀行には句だけしか記していないが、別に次のやうな詞書のついたものもある。

 越後の国出雲崎といふ処より沖の方十八里に佐渡が島見ゆ。東西三十余里に横折りふしたり。昔よりこの島は黄金多く湧き出でて世にめでたき島に侍るを、重罪朝敵の人々を遠流[おんる]の地にて、いと恐しき名に立てり。折節初秋七日の夜、宵月入果てて波の音とう〓[繰返し記号]と物凄かりければ、

 句は眼前に日本海の荒波を望み、空には銀河が遠く佐渡が島まで横たはつて居る雄大な景色をのべたのであるが、右の詞書によつても分る通り、この荒海の果に幾多の哀史を秘めた佐渡が島に対して、悲愁の情を籠めて居る事を見のがしてはならない。》(同前)

詞書の文中に七日とあるのは(実際は四日)天の川にひっかけたかという(潁原説)。悲愁の情かどうか……。当然ながら佐渡は見えない、見えないのを見えるかのように詠んだところがポイントだろう。

とりあえずこの日は曇天にて佐渡島は見えず。句碑の説明文にこうあった。

《当時、芭蕉は、北陸路において、新潟、富山、石川、福井と日本海沿岸を行脚し、岐阜、大垣を「奥の細道」の結びの地とした訳ですが、この行程は、北陸自動車道とほぼ同じ道をたどっているところから、これを記念し、芭蕉、北陸路ゆかりの地の近くの当米山サービスエリアに碑を建立いたしました。
(句碑の建立には、柏崎市の御協力を得又碑の書体は書道家、白倉南寉先生による)
   東日本高速道路株式会社》

句碑めぐりなど考えも及ばなかったのだが、休むところどころに芭蕉の句碑があったので写真だけは撮っておいた(芭蕉以外は略す)。

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ふるき名の角鹿[つぬが]や恋し秋の月
(杉津PA下り線)



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むざんやな兜の下のきりぎりす
(尼御前SA下り線)



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早稲の香やわけ入る右は有磯海
(有磯海SA上り線)



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庭掃いて出ばや寺に散る柳
(賤ヶ岳SA上り線)


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by sumus2013 | 2018-04-23 21:16 | 古書日録 | Comments(0)
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