人気ブログランキング | 話題のタグを見る

林哲夫の文画な日々2
by sumus2013


追悼三輪正道

『大和通信』108号(海坊主社、二〇一八年三月二五日)が中尾務さんより届く。封を切って喫驚する。「追悼三輪正道」となっているではないか。三輪さん亡くなられた……小生と同い年なのだが。そういえば、以前の『大和通信』にも放射線治療を受けていると書かれていた。それにしても、言葉を失った。

葬送の記 涸沢純平
さよなら 当銘広子
独酌のひとーー追悼三輪正道 たなかよしゆき
酔夢・考 平井奇散人
三輪さんの死 中野朗
三輪正道散文、再読 中尾務

《三輪正道さんが亡くなった。一月十二日のことだという。大阪の中尾務さんが知らせてくれた。信じられない思いで何度も聞きなおしたが、返ってくる言葉は同じだった。
 え〜っ、そりゃあ、ないよ! だって、昨年十一月に「大和通信」の原稿を送ったばかりなんだよ。
 混乱しまくって、電話を切った。昨年十二月初めに、体調に異常を感じ病院へ行き、検査の結果、即入院を言い渡されたという。いくら激発性の癌だったからといっても、わずか一月余りで亡くなるなんて、いまの医療体制でそんなことがあるのだろうか。》(中野朗「三輪さんの死」より)

三輪さんとは、富士正晴記念館での講演会の後の飲み会で何度か(たぶん三度か)ご一緒して、斜め向いに座ったときに軽く会話を交わしただけだが(元来が口数の少ない方だったようである)、その立ち居振る舞いに、あまり良い読者ではないが、氏の手堅い散文に、どこか共感するところがあった。もっと何度でもご一緒したかった。ご冥福をお祈りします。

◉三輪正道の本 いずれも編集工房ノア刊
『泰山木の花』 一九九六
『酔夢行』   二〇〇一
『酒中記   二〇〇五
残影の記  二〇一一
定年記   二〇一六


by sumus2013 | 2018-03-21 21:03 | 古書日録 | Comments(0)
<< 風花帖 詩集雲表 >>