林哲夫の文画な日々2
by sumus2013
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ジャコメッティについて

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矢内原伊作+宇佐見英治『ジャコメッティについて』(用美社、一九八三年一〇月二六日)。つい先日ミドリ文庫さんで求めた。矢内原がジャコメッティの絵画のモデルになったときの回顧談が面白い。

《そして、午後の一時或は二時ごろから仕事が始まって、延々とそれが続いて、夕方の四時、五時になる。パリは暮れるのが早いから、四時ごろになると薄暗くなるけれども、薄暗くなってもやめない。もう少しやれば真実に近づく、真実に到達できないまでも、真実に少しでも近づくと思うからやめられない。》

パリ、夏はなかなか暮れないが、冬は早い。

《けれども、本当に暗くなれば何もできないからやむを得ず筆をおく。そして近所のカフェーに行ってコーヒーを一杯飲み、一休みして、またアトリエへ戻って、今度は電灯をつけて同じ仕事を続けるのです。
 しかし、昼間のタブローをそのまま続けるわけにはいかないから、別のタブローでするのですが、今度は夜の電灯の光で、しかし同じ距離、同じポーズで、同じ仕事を続ける。そして夜の十時になり、十一時になり、十二時になってもなかなか彼は筆をおかない。つまり、もう少しやれば、「目に見えるものを見える通りに」という年来の宿願、これまで誰もできなかったことができるかもしれないという期待があるから、「もう少し、あと五分」と言いながら、その五分が十五分になり、三十分になり、一時間になるという調子で、なかなかやめない。》

これは油絵の描き方としては素人同然である。油彩画というのは、続けて何時間もなでまわす材料ではないのだ。すくなくとも伝統的な(合理的な)技法としては。要するに、ジャコメッティにとってはそんなことはどうでもいい、不可能への挑戦を続ける、それだけである。

もうひとつ矢内原の観察で興味を引かれたのはジャコメッティがモノの置き方にこだわる性格だったこと。

《例えば、テーブルに座って、コーヒー茶碗をどこに置けばいいかということが彼には気になる。空間に於ける物の配置を考えるわけで、この灰皿に対してどの辺の距離にあるのが正しいかと考える。それは一種の偏執狂的な癖でしょう。
 若いときはもっとこれがひどかったらしい。例えば、紙屑籠に紙屑を捨てるときに、ただ捨てれば何でもないことだけれども、その紙屑籠の中のどの辺に落とせばいいかがわからなくてとても困ったといった話がある。夜寝るときに脱いだ上着をどこに置いていいかわからない。正しい位置にきちんと置くとはどういうことかということが気になる。》

ジャコメッティは「正しい」とか「真実」へのこだわりが人一倍強かったようである。それにしてもクズのクズカゴにおける「正しい」場所とは……恐るべし。

これも矢内原の発言、ジャコメッティの印象深い言葉。

《ひとつだけあげるとしたら、ジャコメッティが死の直前に書いた言葉「彫刻とか絵画とか、そんなものはたいしたものではない、試みること、それだけがすべてだ」という言葉をあげたいと思います。

やはりこれは実存主義的な発言かなと思ったりもするが、まあ、そんなことはさらにどうでもいいことだ。

この対談、元は、一九八〇年、表参道の Galerie 412 で開催されたジャコメッティ展会場で行われたそうだが、それを書籍にするにあたって改めて対談し直したという。聞き手を同ギャラリーのオーナー村越美津子が務めている。



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挟み込みの用美社出版のしおり。四つ折りのなっている紙の片面だけ。『京都画壇周辺』がでている。それにしても加藤一雄の本の話はどうなったのかなあ……。

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by sumus2013 | 2018-03-12 20:40 | 雲遅空想美術館 | Comments(0)
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