林哲夫の文画な日々2
by sumus2013
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哀れな男の独り言

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本の整理中という某氏より仏蘭西書を四冊ほど頂戴した。深謝です。なかでもこの一冊は嬉しかった。ジャン・リクテュス(1867-1933)『哀れな男の独り言』。

Jehan-Rictus『Les Soliloques du pauvre』(Eugène REY, libraire éditeur, 1934)

これは歿後刊行の後版だが、それでもフランスで買えば、そこそこの値打ちもの。初版は一九〇三年(Sevin et Rey, 1903)で、そちらは状態が良ければ1000ユーロ以上。ジャン・リクテュスの代表作とされる詩集である。

表紙と挿絵はスタンラン(Théophile-Alexandre Steinlen, 1859-1923)、十九世紀末から二十世紀初頭のパリのシーンを描いて活躍した画家、イラストレーター。キャバレー「シャノワール(黒猫)」のポスターがよく知られる。本書でも哀れな男(「貧しい男」とも)が夜のパリをほっつき歩く、その様子がうまくとらえられている。

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貴重なのは、このカバー。出版社が付けたのではなく、書店が汚れ防止のために被せている。英語で言うところの「ダスト・ジャケット」。リブレリー・ジベールの名前入り(現在のジベール・ジョセフ書店の前身だろう)。そして本体のタイトルが手書きで背と裏表紙に書き込まれている。ジャケットの背にはタイトルを書き入れるための空欄がある。この手のカバーはパリの古本漁りでも見かけたことがなかった。裏表紙(表4)は保険会社の広告。

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以下、ざっとページをめくる感じで紹介するが、多数のイラストがまるで劇画のように展開するのが、非常に興味深い。絵本と言ってもいいくらいだ。

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フランス語のウィキに「Jehan-Rictus」は不完全な「Jésus-Christ」のアナグラムだと書いてあった。そう言われれば、たしかに。本名は Gabriel Randon de Saint-Amand。最晩年の彼はペンネーム「Jehan-Rictus」のハイフンを必ず付けるようにうるさく言っていたようだ。多くの編集者がそれを無視するのを嫌ったと言う。残念ながら本書でも省略されているが…。


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by sumus2013 | 2018-03-09 20:48 | 古書日録 | Comments(0)
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