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林哲夫の文画な日々2
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戦争

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『雲遊天下』128(ビレッジプレス、二〇一八年三月一五日、表紙イラスト=山川直人、デザイン・誌名&特集ロゴ=小沼宏之)。毎度ながら頑張った誌面作りになっている。大川渉さんの詰将棋小説「詰むや詰まざるや(七)」をまず読む。つづいて中川五郎「ジャック・プレヴェールの「戦争」」が目にとまる。

プレヴェールの『Spectacles 見世物』に収められた「La guerre 戦争」を取り上げ、Vous(ヴー、二人称単数・複数「あなた/あなたがた」、単数の場合は敬称)の和訳について、冒頭の五行を比較しておられる。

小笠原豊樹訳『プレヴェール詩集』岩波文庫。

 きみら木を伐る
 ばかものどもめ
 きみら木を伐る
 若木をすっかり古斧で
 かすめ盗る


嶋岡晨訳『プレヴェール 愛の詩集』飯塚書店、一九七七年

 おまえたちは木を伐り払う
 ばかな奴ら
 おまえたちは木を伐り払う
 すべての若木を古い斧で伐り倒し
 そいつをごっそり持っていく


大岡信訳『アラゴン エリュアール プレヴェール詩集』新潮社、一九六八年。

 きさまたちは木を伐る
 ばかものめ
 きさまたちは木を伐る
 老いぼれた斧で若木をぜんぶ
 きさまたちはさらっていく


《そんな"Vous"を二人称の言葉の選択肢がいっぱいある日本語でどう訳せばいいのか。ぼくは同じひとつの詩を小笠原豊樹さん、嶋岡晨さん、大岡信さんの三者三様の訳で何度も読み比べ、そういう「古い木」たちを日本語で呼ぶには「きさま」という二人称がいちばんぴったりくるのではないかという結論に達した。》

たまたま『Spectacles』(le point du jour nrf, Librairie Gallimard, 1951)はパリで求めていた。初版と同年発行だが、なんと七十二版である。当時のプレヴェール人気が想像できる。

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中川氏の引用していない平田文也訳(『プレヴェール詩集』彌生書房、一九七二年)はこうなっている。

 きさまらは木を伐り払う
 ばかなやつらめ
 きさまらは木を伐り払う
 若い木をみんな 古い斧で
 きさまらはかっぱらう

けっこう平田訳がいちばんいいのかな、と思ったりもするが、好き好きであろうか。なお小笠原豊樹訳はユリイカ版(一九六〇年)を架蔵するので、参照してみると、岩波文庫と同じ訳のようで、七五調にまとめたのが工夫と言えよう。ただ、ちょっとどうかなというところもある(今回の引用部分では「きみら」とか「かすめ盗る」とか)。

この『雲遊天下』には先日ライブを見させてもらったカニコーセン氏も執筆している。氏が発行しているフリーペーパー「さざなみ」を入手したので第九号(二〇一八年一月一日)を公開しておく。なかなかの文章家だ。イラストは加藤亮太郎。

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by sumus2013 | 2018-02-22 20:25 | 古書日録 | Comments(0)
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