林哲夫の文画な日々2
by sumus2013
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串田孫一のABC

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『Coyote』No.63(スイッチ・パブリッシング、二〇一七年一一月二〇日)、特集・串田孫一のABC。面白く読む。

《串田孫一をABCで白地図を描くように等高線を曳いてみたい。
すべてのモノや心の周辺には多くの言葉がある。山をめぐる言葉もそれぞれ違った色彩を放っている。
「串田孫一のパンセ」をひも解く。この特集のABCはそれぞれの星の微笑みのようにある。
等高線は星と星を繋ぐ星座になる。
星を頼りに未来を描くために、さらに深く物語を探す人生の入口としてこの特集を置く。》

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串田孫一の手作り本棚


『アルプ』を発行していた創文社と印刷していた精興社を取材した記事もよかったが、やはり夫人や子供達の回想は興味深い。「串田美枝子 問われ語り」(訊手=串田明緒)より。

《一人で山に登るのが好きな孤高の人かと思ってしまうけど、お客さんがうちに来ることを拒まなかったんですね。

「うちは千客万来だったから。山や物書きに、音楽仲間ってのもいて。[中略]ほんと今考えると、変わった人ばかりだったな。時間もお金も何も気にしないっていうか。断トツに変わってたのは、やっぱり辻まことさんかな。まるで自分で育っちゃったような人。親がダダイストとアナーキストだから。見たところは普通なんだけどね。特に仲良しってわけでもないんだけど、孫一とはお互いによく解り合ってた。でもね、よく考えてみると誰でもみんな少し変わってるじゃない。ごくごく普通の人ってのは果たしているもんだろうか?」》

奥さんもかなり哲学者みたいな人である。長男和美と次男光弘の対談ではこう語られている。

光弘 親父さんの翻訳本はあまり多くないけど、『花の歴史』っていうクセジュ文庫のフランス語のものがあるんだけど、これお母さんが全部訳してるんだよね。
和美 お母さんはね、自分が表に出ることはあまり好きじゃないんだよね。
[中略]
光弘 [中略]例えばありとあらゆる植物の本の索引を作ってるわけ。それは日本だけじゃなくて中国語とアラビア語とメキシコ語の数十冊の本に書かれた内容をまとめていて、例えばアサガオはどの本に何が書いてあるっていうのをノートにまとめている。
和美 そんなことやってたんだ。
光弘 ずっとやってある。ある時、エジプト語の植物の本が古本屋にあって読みたいからちょっと勉強するって言って、二〜三週間勉強して、本を読んでるんだよ。
和美 二〜三週間でなんておかしいよ(笑)。》

エジプト語というのが古代エジプト語なら(十七世紀頃まで使われていたらしい)、ちょっと無理かもしれないが、現代語はアラビア語なので、すでにアラビア語を学んでいれば容易に読めるのではないかと思う。

辻まことについては長男串田和美氏も「断想『父孫一のこと』」で辻の逸話を披露したあと、こう書いておられる。

《小学校の頃、先生が「みなさんもっとも尊敬する人は誰ですか?」と聞く。みんなは「シュヴァイツァー博士です」とか「ガンジーです」とか答える。中には「自分の父です」などという者もいる。僕はどうしても答えられなかった。尊敬しているなんて、もし父に言ったら、きっと父は悲しくなるんじゃないかと思えたから。でも辻まことという人のことは尊敬していると言ってもいいような根拠のない考えが頭に浮かんだのは、それから何年か経ってからだ。》

辻まことって、いいよね。

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詩誌『アルビオレ』、広辞苑第二版の函が本箱に!


また、検印の思い出にも触れておられる。

《昔は本の後ろのページに印税のための切手みたいなシールが貼ってあって、そこに著者の印が一冊ずつ押されていたのだが、それに一つひとつ判を押していくのは結構労力のいることだったようだ。で、父孫一の本が出版されることになると、僕たち兄弟がそれをやった。ご褒美にお小遣いをもらえるものだから、急いでやると枠からはみ出したりして大騒ぎをしながら取り合ってそれをやった。自分の押したそれが貼ってある本がどこかの本屋におかれていると思うとちょっと嬉しいような変な気持ちがした。》

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串田孫一の小宇宙』より篆刻作品が掲載されている限定版。
戦後、判子屋になろうと本気で考えていたことが
日記』に見える。


串田孫一のオリジナル印のある奥付が、書架のどこかにないか……と探して見たら、一冊見つけた。串田孫一他訳『アラン 家族の感情』(風間書院、一九四六年八月一〇日)。

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「Kywh」となっているのは、串田孫一、八木〓[日の下に免]、渡邊一夫、平井正の共訳だから。これはさすがに子供達が捺したのではないかもしれない。

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by sumus2013 | 2018-02-06 20:57 | おすすめ本棚 | Comments(0)
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