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林哲夫の文画な日々2
by sumus2013


荷亭秋點

荷亭秋點_f0307792_19021941.jpg


菊池五山は以前掲げた掛軸の他にこの色紙があった。

凋傷何必恨春

これがまた小生にとっては難物で容易には読めない。epokheさんかどなたかに御教示いただきたいと思う。


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[小釣雪]
荷亭点若湧  荷亭の点(鐘声)は湧くがごとし     
秋気已堪餐  秋気已(すで)に餐に堪ふ
氷簟就眠易  氷簟は就眠に易し
風荷書字難  風箋は書字すること難し
紅衣軽百冷  紅衣は百冷に軽し
雪羽照波寒  雪羽は波を照らし寒し
破困昧盃酌  困昧を破り盃酌す
碧簫也足歓  碧簫也(また)歓ぶに足る

荷亭秋点 五山 [池桐孫印] [池無弦父]

度々の御教示に深謝です。

ひとまずこれで解読できたように思う。餐に堪ふ……検索すると「秋色餐」という使われ方があった。その説明にいわく

堪:可;餐:吃。形容女子容貌秀丽动人或景色非常美

すなわち、文字通りの意味なら「食べられる」(可吃と同じ)だが、美人や美しい景色を形容する表現だとのこと。五山の「秋気已堪餐」は、秋の空気はすでに澄んで美しい、くらいの意味になろうか。


by sumus2013 | 2018-01-30 15:05 | うどん県あれこれ | Comments(6)
Commented by epokhe at 2018-01-29 01:28 x
五言律詩らしいのは分かったのですが、例によって読めません。読めるところだけ書いてみました。林さんの読めたところと合わせたら完成するかと。ご批正をお待ちします。

[小鈴雪]
荷亭○若湧
秋気已○餐
氷簟就眠易
風○書字難
紅衣軽百冷
雪羽照波寒
破困昧盃酌
碧簫也足欲

荷亭秋○ 五山[池桐孫印] [池無弦父]

氷簟…氷簟(ひょうてん):涼しげな竹で編んだ茣蓙(ござ)。
紅衣…荷花(蓮の花)の別称。
雪羽 …白い鳥
碧簫…碧玉で作られた簫(しょう)

「餐難寒」と韻を踏んでるんですかね。「欲」はどうでしょうか。菊池五山くらいのビッグネームなのに、全部の漢詩を集めた本が出てないようなのが不思議です。
Commented by sumus2013 at 2018-01-29 20:23
有り難うございます。なるほど! 風の次は「箋」でしょうか。欲のところ、崩し方はピッタリしませんが「歓」はどうでしょう。韻は寒と同じです。それ以外は・・・分かりません。
Commented by epokhe at 2018-01-29 21:35 x
なるほど!「欲」は「歓(歡)」にすると脚韻になり合点がいきます。
荷亭は蓮を愛でる亭でしょうか。鴎外の伊沢蘭軒に、「荷亭月淨浴清涼」という五山の漢詩の一節があるようです。
鴎外全集に註釈で「荷亭」について触れているかもしれません。
荷亭秋・の不明字は、二回も出てくるのに判読が難しいですね。ここでは「点(點)」としてみました。ネット情報で「秋點は、秋漏(時計)。時を告げる鐘聲。」とあったので、「点」は時を告げる鐘の音と解釈しています。
風の次は「箋」で当たってみたのですが、「風箋」という語が見当たらないので「風荷」としてみました。風が蓮の香りを運んでくるという意味で古くから使われているようです。「荷」だと草冠なのに、これは竹冠ですが、通用する例があるらしいので。
引首印の小鈴雪は「小”釣”雪」に修正しました。

[小釣雪]
荷亭点若湧  荷亭の点(鐘声)は湧くがごとし     
秋気已襲餐  秋気已(すで)に餐を襲う
氷簟就眠易  氷簟は就眠に易し
風荷書字難  風荷は書字すること難し
紅衣軽百冷  紅衣は百冷に軽し
雪羽照波寒  雪羽は波を照らし寒し
破困昧盃酌  困昧を破り盃酌す
碧簫也足歓  碧簫也(また)歓ぶに足る

荷亭秋点 五山 [池桐孫印] [池無弦父]

氷簟(ひょうてん)…涼しげな竹で編んだ茣蓙(ござ)。
風荷…風が運ぶ蓮の花の香り
紅衣…荷花(蓮の花)の別称。
雪羽 …白い鳥
碧簫…碧玉で作られた簫(しょう)

漢文を知らない者が適当に読んでみたので穴だらけと思います。識者のご批判を乞います。

Commented by sumus2013 at 2018-01-30 21:50
御礼申し上げます。もう少し考えてみます。
Commented by epokhe at 2018-01-31 08:56 x
こちらこそお蔭様で良い勉強になっています。御礼申し上げます。
ご添削ありがとうございます。いくつかの難読文字は、我ながら強引な読み方をしてしまいました。そこで、機械の力を借りようと、奈良文化財研究所と史料編纂所の崩し字解読システム・MOJIZOを使って難読文字を検索してみました。「点」とした字は、候補文字が色々あったのですが、結局ふさわしい漢字に辿り着けませんでした。今年は、もっと漢文に親しみたいものです。

「風荷」のところ、「荷」だとやっぱり無理がありますね。撤回して「箋」に変えさせて下さい。「氷簟」「風箋」と対に・・・なるほどです。次の「紅衣」「雪羽」の対も素晴らしい。
「襲餐」も間違いで、「”堪”餐」だと思います。「秋菊堪餐」、「秀色堪餐」のように典故がありますし、字形も「堪」で良いようです。

秋気已堪餐 秋気已(すで)に餐に堪ふ

「餐に堪ふ」、うーん、どう意訳したら良いでしょうか。
五山の詩は中々魅力的で、取り組み甲斐があります。
Commented by sumus2013 at 2018-01-31 16:46
有り難うございました。五山はちょっと軽い感じですが、なかなかテクニシャンだと思います。
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