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青空と古本まつり永遠にあり『秋の古本だより「青空」5号 古書研40周年記念記念号』(京都古書研究会、平成29年)を東京在住の某氏より頂戴した。最近、古書研のどの店とも懇意にしていないため(もちろん店頭均一でお買い物させていただく店はございます)百万遍の目録は誰も送ってくれない。だからこれは有り難かった。というのも四十周年記念号には二十八名の方々が古本まつりや古書研についてエッセイを寄稿しておられるからである。読み応えあり。 秋の古本だより「青空」5号が発行。 小生が古書研と関わったのは一九八一年に京都へ移り住んだときからだった。まず山崎書店の山崎さん(現在は古書研メンバーではないですが)と知合い、古本まつりのポスターを描いて欲しいと頼まれた。以後毎年春夏のポスターを十年くらいは手がけさせてもらったのである。古書研の機関誌『京古本や往来』にも何度か寄稿させてもらい、終刊号(100号)にも書かせてもらっている。古本修行は古書研とともにあったと言っても過言ではない。四十周年は慶賀なり。 寄稿されているエッセイには二〇一四年に亡くなられた松尾尊兊先生の追悼文もいくつか見られる(松尾先生については小生も短い追悼を以前ブログに書いた http://sumus2013.exblog.jp/23494758/)。 なかでは書砦梁山泊の島元健作氏が古書研三十周年記念のバッグについて書いておられるのが印象的だ。島元氏は松尾先生とは古書目録の客としては古くからの付き合いだったが、初めて会ったのは三十周年記念のパーティ会場だったという。 《この古本まつりには、先生を最年長に、他に小生を含めて五人ほどの初期のころからの熱心な常連がいて、長年古本を買い漁った功績によってか、その創立三十周年のパーティには全員招待を受けました。そしてその記念品として一澤帆布店のすてきなバッグを貰いました。バッグそのものより、松尾先生と同じものをいただけたことに感激したことを思い出します。》「(追悼 松尾尊兊先生)お別れのことば」告別式での弔辞) その一澤帆布店のすてきなバッグは小生も頂戴した。上の写真がそれである。十年経ってもビクともせず有り難く使わせてもらっている。(ちょうど信三郎帆布と分裂したころだったので、古書研は一澤帆布なんだと思った記憶がある) 京都古書研究会三十周年記念 《古本屋は学者ではありませんから、学問内容のことはほんとうはよく分かりません。ただ生意気なようですがその先生が本物かどうかは、不思議にそれとなく分かるものです。身銭の切り方、道の遠しをいとわぬ熱心さ、つまり文献や資料への情熱が自ずと伝わってくるのです。その点で松尾先生は古本屋から見て第一級の学者先生でした。しかも少しも偉そうにはされず、一介の古本屋にもゆっくりていねいに、そして熱くお話をして下さる。京都のまともな古本屋なら、みんないくつもの思い出を持っている筈です。》 《追記 告別式が終って出棺を待っていると、先生の娘さんが近づいてこられて「言ってられたバッグは柩の中におさめたんですよ。もう使いふるしてかなりオンボロになっていました」とおっしゃった。悲しみのうちにも何かとてもほのぼのとした気持ちにもさせられて、先生のお人柄に一層の親しみを覚えたものでした。》 さすが松尾先生、この帆布のバッグがボロボロになるまで使っておられたのか! あらためて松尾先生ともう少しお話する機会をもちたかったなあと残念でならない。 他にも顔見知りの古本猛者(いや古本修羅かな)の方々が執筆しておられる。びわこのなまず先生(川島昭夫氏)の五車堂・久保田さんの追悼記も懐かしかったが、ふと目がとまったのは蘇枕書さんの「京都の古本屋と私」。京都大学文学研究科・院生の肩書き。八年ほど前に来日され、京都大学周辺の古本屋を踏破しておられたころの回想に次のくだりがあった。 《善行堂もその頃オープンしたばかりであった。毎日通学の際、小さい書店が少しずつ完成していく様子を見守りながら、楽しみにしていた。ある日の夕方、細い格子から漏れた明かりから、静かなジャズが流れてきて、きれいに揃えた文庫本や単行本も見えた。近所にまたもう一軒本屋が増えることが嬉しかった。》 蘇さん、存じ上げないなあと思いつつ検索してみると、以前あるところで一抱えほども日本文学の研究書を買っておられた女性であった。
by sumus2013
| 2017-10-31 17:39
| 古書日録
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