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林哲夫の文画な日々2
by sumus2013


チ-ポ-ハ-のポスター展

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フランチシェク・スタロヴィエイスキイ 映画「聖ペーテルの傘」
ハンガリー、チェコスロヴァキア 1965頃


所用あって北山通方面へ出かけた。長めの待ち時間ができた。ふと思い出して、京都工芸繊維大学美術工芸資料館で開催されている「チェコ ポーランド ハンガリーのポスター展」(〜8月11日)を見た。

ポスターというのはひと目見れば分る……はずなのだが、ここに並んでいるポスターの多くはいったい何が言いたいのか、文字が読めればまた別の感想もあるのだろうが、とにかくパッと見ても意味が解らない。しかしそれらのデザインというか絵柄そのものはどれも非常に刺激的でいいなあと思うものが多かった。(ここに掲げたのはちらしから引用したので、実際にはもっと気に入った作品が他にたくさんありました)

ちらしの説明文によるとソ連の影響下にある社会主義体制では自由に芸術活動が行えなかった。そのため芸術家たちは

表現の場を求め、あるいは生活の糧を得る手段として、絵本やエディトリアルデザイン、演劇や映画、展覧会、コンサートなどの催しを告知する文化ポスターなどのグラフィックデザインの分野で活躍しました。社会主義体制下の国々では、資本主義国に見られる商業ポスターが存在せず、このような文化的なポスターなどの広告が著しく発達を遂げました。

ということである。文化ポスターなので意味不明でも不都合ではなかったのだ。いや、あるいは意味不明の方が都合がよかったのかもしれない。


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シラス・ジョーゾー 映画「ドン・ガブリエル」
ポーランド 1967


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コヴァーチ・ヴィルモシュ 映画「裸の羊飼い」
チェコスロヴァキア 1967


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マーテー・アンドラーシュ 映画「未亡人の花嫁たち」
ハンガリー 1964



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バログ・イシュトバーン 「バルトーク・ベラ記念コンサート」
ハンガリー 1966




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工芸資料館のちらしテーブル(各地の美術館その他で開催される催しのチラシをまとめて並べてある)で『ART FOR ALL 17』(トーキョー カルチャート by ビームス、二〇一七年六月三日)というフリーペーパーを手に取った。A4の紙をタテに半分に折り、それを四つに折って、裏表十六ページになるようにレイアウトしてある。裏面は開いて見る形で、デザイナー・映画監督のマイク・ミルズのインタビューおよび東京を撮った写真作品(すべて iPhone で撮影)を掲載。表面は表紙(イラスト=マイク・ミルズ)、ディスクガイド二頁、奥付一頁、そして「どうして人はアートを買うのか」第十七回というインタビューが四頁。

「どうして人はアートを買うのか」は渡紀子という人(深川にあるショップ『watari』店主)が無名の作家の絵を買うことについて語っている。文中2枚とあるのは「佐藤正實」および「Seiji F.」とサインの入っている二枚の油絵のこと。

ーー普通は誰が描いたかってわりと大事に思いますよね?
 ああ、でも感じがいいなと思って買っただけなので。有名な人の絵や版画も買ってはいるんです。柚木沙弥郎さんとか畦地梅太郎さんとか。あとセリーナ・ミトニク=ミラー。
ーーこの2枚は、いまどこに飾っていますか?
 ふたつとも自宅に。わりと静かな感じのものが好きなので、畦地さんとかもずいぶん前に買ったし、値段はぜんぜん違うけど、自分の中では同じような感じですね。家にあるものはだいたいそういう感じです。
ーーちなみにおいくらだったんですか?
 2枚で3千円でした。思ったより安かったです。でも、おまけしてくれたのかもしれません。
ーー誰のかわからないけど、調べる気もないというところをもう少しうかがいたいな。どんな人だったんだろうとか、ぜんぜん気にならない?
 気にならないです。もともと有名だから買いたいというのはないんです。

では柚木や畦地の絵を買う時はどうですか? と問われてこう渡さんは答えている。

畦地さんの絵がすごくいいなと思って買うのって、畦地さんという名前も知っているから、それを欲しいなというのがある。そうじゃなきゃ、高い値段を出して買わないですし。ただ、買う時の動機はちょっと違うかもしれないけれど、絵が自分の家に来ると同列というか、いや同列とは言えないか、まあ同じような感じになります。

小生も最近は無名人の絵を買うことがしばしばあるので(とにかく無名というだけでむやみに安い、だから贋作があふれるのだ、有名作家のサインさえあればそれなりの値段を付けられる)渡さんの意見には素直にうなずける。絵を買うって楽しいよ。

by sumus2013 | 2017-07-31 21:16 | 雲遅空想美術館 | Comments(0)
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