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アソシエ書店今回の収穫として第一に挙げなければならないのはシェ・レ・リブレール・ザソシエ(Chez les libraires associés)への訪問である。ミッテラン図書館でのトポール展についてはすでに報告した。その展示に同調する形で「ここでもトポール展が開かれているよ」とパリ在住の知人が教えてくれた。それは是非とも訪問しておきたいと、ホームページをチェックしてみたが、その時点でこれはなかなかの書店だと驚かされた。日本の絵本なども扱っている。 Chez les libraires associés 3 RUE PIERRE L'ERMITE 75018 PARIS FRANCE 十八区、地下鉄二号線ラ・シャペル下車。ラ・シャペルは北駅と東駅に挟まれた場所で、インド人街のような雰囲気の一角もあり、中東やアフリカの人達も数多く行き交っている。見たこともないような果物が八百屋に並んでいて目を射られたり、派手な民族衣裳で闊歩する女性たちに圧倒されて道を間違えてしまったり、それでもなんとか目的の通り番地に辿り着いた。 上の写真がそのピエール・レルミット通り。まあ、とりたてて変哲もない街路である。商店もほとんどなく住宅街と言っていいだろう。この写真の左手前に移っている建物の一階にリブレール・ザソシエはあるはずなのだが、看板も何も一切出ていない。3番地の両開きの扉(もうひとつ片開きの扉もあるので注意)の脇に付いているソヌリ(ボタンを押す式の呼出ベル)のひとつに「Librairie」と手書きのシールが挟んであるだけ。まあここしかない。とにかくボタンを押す。すると「カチッ」とかすかに鍵が開いた音がした(パリではどこの玄関でも鍵を開けると同じような小さな金属音がする)。扉を押して中に入る。 入ってビックリ。高い天井、壁際は一面の書棚、スーッと奥へ真直ぐ伸びた廊下は広々として何も置かれておらず、清潔な図書館を思わせる。入ってすぐ左手に一室、突き当たりに一室、その左奥に一室、さらに地下室もある。トポールの展示を見たいというとレジ机にいた男性は地下へ行けと階段を指さした。 地下室へ降りてまたまたビックリ。古本屋というよりアート・ギャラリーの雰囲気である。実際、地下室はおおむねギャラリーとして使われているようだ。手紙や自筆デッサン、書き入れや献辞またはイラストの入った書籍、版画やポスター、生写真、その他見た事もないようなトポール表紙の数々の本が並んでいた。十年かけて集めたのだそうだ。もちろん全て売り物、Bnfと違ってどれでも買い取っていいわけだ。いちおうこの展示は会期を区切っているから売約済みの赤丸が付いているものがかなりあった。 自筆モノが欲しかったが、むろんそれなりに高額である。なかなかうまい値付けになっている。じつはもうすでにそこそこ値の張るトポール関連品を他所の店で買ってしまっていた。もし、それがまだだったなら、小さな落書きのようなスケッチを買えたのだが……。まあ予算は決まっているのでどうしようもない。買える範囲内で何か欲しい。会場をうろうろすること小一時間。迷いに迷ってジャン・ジャック・ポヴェールから一九六八年に出た『TOPOR La vérité sur Max Lampin』に決定。ショーケースに入っていたので取り出してもらう。そこには同じ本が二冊並んでいて、一方は状態が悪く、もう一方はかなり綺麗な本。ただし値段は倍違う。いつもの小生ならゼッタイ安い方にするところだが、今回は高くて状態のいい方を選んだ(よし、よし)。「持って帰っても大丈夫ですか?」と尋ねたら「これは他にもう一冊ありますから、問題ありません」という答え。さすが……。 日本の本が並んでいるだけあって若い店主(の一人)は「ぱりニ、スンデイマスカ? カンコウデスカ?」などと日本語を操るのである! これにもちょっと驚いた。英語は珍しくないが、日本語を話す古書店主はまだ珍しいと思う(日本人店主は別です、勿論)。 その何日か後、別の古本屋さんにやや興奮気味にアソシエ書店の話をした。 「あそこは三人でやっていてね、もとはサントゥーアンにいたんだよ。うちの店にもよくやってきて何度もいい本を抜いて行った。あとで彼等の値付けを見て地団駄踏んだこともあったよ。今、パリでいちばん元気がいい店なんじゃないの」 サントゥーアンはクリニャンクールの蚤の市のことである。 そして、今、アソシエ書店を検索していてまたもやビックリ、な、なんと以前 daily-sumus でも取り上げたことのある新発見のランボーの写真、それを掘り出したのが、このアソシエ書店の経営者の一人ジャック・デッス(Jacques Desse)氏ではないか。ランボー売ってこの店を買ったのかなあ……!? ランボーの知られざる写真 Chez les libraires associés Ce blog est consacré à la photographie d'Arthur Rimbaud à l'Hôtel de l'Univers そして、京都に帰ってから、もう一度、アソシエ書店には驚かされた。なじみの古本屋さんに「パリに凄い本屋さんがあったよ〜」などとペラペラ話していると「あれ、その人たちうちの店に来たことあるよ」……。なるほどねえ、日本語しゃべるはずだよ。
by sumus2013
| 2017-07-16 21:07
| 巴里アンフェール
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