林哲夫の文画な日々2
by sumus2013
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ホックニーとエヴァンス

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六月中旬のパリは連日30度を越える暑さだった。38度の日も二日ほど続き、例年のパリでは想像もつかない異常気象だった(38度の日は24時間の気温としては1945年以来の最高記録だったそうだ)。あまりに暑いのでどうにかしのぐ方法はないかと考えた。できるだけお金を消費せずに。午前中は公園の木蔭で涼むというのもあるのだが、午後になると木蔭でも汗が吹き出るくらいムッとしていた。結局、冷房の効いた百貨店でぶらぶらするか(しかしこれにも限度がある、日本と違って百貨店には休憩用の椅子がわずかしかないのだ)、ポンピドゥーセンターの一階、無料ゾーンのソファーで長居するか、そのくらいしか方策を思いつかなかった(すぐ隣のブランクーシ・アトリエにも空調があってベンチもあって入場無料である、ただし午後二時から)。

ところがポンピドゥーのカフェが悪くないことをこの暑さのおかげで知ることになった。かなり広くて、セルフサービスなので、コーヒー一杯で何時間でも粘れる。ブラック・アメリカン・コーヒーが2.5ユーロ。パリのカフェで「アン・キャフェ」(コーヒー一杯)と注文するとエスプレッソが出てくる。パリでコーヒーと言えばエスプレッソのこと。日本のようなコーヒーはカフェ・アロンジェ(薄めたコーヒー)と言うようだが、それは文字通りエスプレッソを薄めただけである。しかしポンピドゥーのカフェは、外国人観光客が多いせいもあるのか、アメリカン・コーヒーを用意している。涼みがてら、何時間もずっと座って周囲の人間を観察していると、席だけ占領して何も注文せず、しばらく休憩して去る人たちも少なくない。ジュース一杯でズーッとPCを使っている男女だとか、オフィス代わりに利用しているらしい人もいた。

しかし、せっかくだから展示も見ようということで、どうしても見たかったというわけではないが、ちょうど二十一日に始まったデヴィッド・ホックニー展と四月からやっているウォーカー・エヴァンス展を見た(特別展のチケットは14ユーロで全ての展示が見られる)。

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これが意外にどちらも見応えがあった。ホックニーは八十歳。最近は野原にキャンヴァスを立てて写生をやっているらしい(そんなDVDを見た)。まさに回顧展とはこういうものだろう。ホックニーの生きてきた軌跡が部屋ごとに作品として訴えて来る。初期の英国時代、ニューヨーク時代、西海岸の時代……。特別に絵がうまいというのではないのだが、センスというのか、絵のツボを押さえている。細い線描のデッサンなんか最高に良かった。しかし強く思ったのは、最初の部屋、一九五四年から五六年に描かれたかなり写実的な四点が並べられていた、が全てだな、ということ。街景と川沿いの風景、父の肖像と自画像。とくに父の像は何とも言えずいい作品だった。マイナーポエットの感じだが、この回顧展でどれか一枚もらっていいのなら、小生は迷わずこの父の絵を選ぶ。

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ウォーカー・エヴァンスといえば農夫とか田舎の建物がまず目に浮かぶ。しかしこの大回顧展ではその全体像を見られることで彼がまさにモダニストとして生きたことがはっきり分る。その被写体の選び方からしてシュルレアリストの一員だと断定してもいいだろう。とにかくこれには驚かされた。また、このカタログがいい出来なのだ。そんなに高くはない(たしか49.5? ユーロだったか)、ただし分厚い。すでに買ったトポールのカタログも分厚い。残念だが諦めた。

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ポンピドゥーは開館四十周年になるという。早いものだ。小生は一九七六年に初めてパリの土を踏んだのだが、そのときここはまだ巨大な工事現場だった。元はレアールという築地のような市場だった。それが移転した跡地の一角に建ったのである。まだ工事中のような珍妙な外観も話題になった。ポンピドゥー以後、美術館の建物は奇抜さを競うようになったような気がする。もう四十年とは早いものだ。

そうそうチケットのもぎり(実際はQRコードを確認するだけですが)に日本人の男性がいた。数年前にルシアン・フロイド展を見たときにも日本人スタッフを見かけたが、同じ人なのかどうか。日本人が働いているのはレストランやブーランジュリーやパティスリーだけではないようである。けっこうなことだ。

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こちらはポンピドゥーの南側にあるビルの壁。ダリ?


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by sumus2013 | 2017-07-10 21:24 | 巴里アンフェール | Comments(0)
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