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林哲夫の文画な日々2
by sumus2013


トポールの世界

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六月忘日、パリの国立フランソワ・ミッテラン図書館(BnF)で開催されている「Le monde selon Topor」(トポールの世界、2017年5月28日〜7月16日)を見た。トポール歿後二十年を記念する展覧会である。

1950年代のデビューから60年代前半あたりが第一期、60年代後半から70年代が最も脂ののった充実期、その後の80〜90年代はテレビなど多方面で活躍した最盛期。原画や版画だけでなく、本や雑誌、ポスターも多数展示され(何しろ図書館なのかなりのものは収蔵品から選ばれている)、それぞれの時代の映像(TVインタヴュー他)もモニターで視聴できるようになっており、また、それらのヴィデオとは別に「ファンタスティック・プラネット」やフェリーニの映画に登場した場面、TVアニメなども部分的に映写されていた。

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会場の一番最初に展示されていたのが『BIZZARE』だった。

『BIZARRE』第九号の表紙

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よくまとまった展示ではあった。ただし、ジャーナリズムにおいて大変な量の仕事をこなした男なので、全体像というにはやや物足りない感じがしないでもなかった(小生が架蔵していてここに展示されていないポスターや出版物も少なくなかった)。欲を言ってはきりはない。とにかく多数の貴重な原画を実際にこの目でとくと見られたのが何よりの収穫。

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エントランスの脇にミッテラン図書館の模型が飾ってある。四冊の本を開いて四隅に立てたというデザイン。この図書館はパリ市内ながら南東の端にあって周辺にもとてもパリとは思えないウルトラモダンな建物が並んでいる地域である。

ロンドンではテロが頻発し、パリでもノートルダム寺院の前で警官が襲われたり、シャンゼリゼ通りで武器を積んだ自家用車が警察車両に突入するなど、ラマダン・テロが頻発していた。公共の建物に入るには必ず手荷物チェックを受けなければならない。bnfもエントランス前に行列ができていた。空港ほど厳しくはないが、カバンなどはトレーに入れ、それを係員がチェック、本人は金属探知機のゲートをくぐる。さっと通りたかったのでカバンは持ってこなかったものの、ポケットの鍵またはベルトのバックルに反応してゲートのアラームがビーッと鳴った。ところがなぜか係員は気もかけず、そのまま行かせてくれた。このあたりの緩い感じもパリらしい。(すぐ前のおばさんはルーペのような形の携帯金属探知期で再チェックされていたが)。

入って正面やや右にチケット売り場がある。図書館には利用料が必要。展覧会も常時いくつか開催されており、トポール展は9ユーロ(ただし会期中何度でも見られる)。バーコードの付いたチケットを展覧会場(Galerie 1)のゲートにある丸い読み取り窓にかざすとメトロと同じように回転棒が動いて入場できる仕組み。平日だったせいもあろうか、観客は数人、それもトポールと同時代を生きたと思われる年代の人たちだった。

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カタログやトポール関連書籍・版画・絵葉書などは館内の書店で販売されている。大判で42ユーロ、お買い得感はある。カタログについては後日紹介したい。



by sumus2013 | 2017-06-28 04:47 | 巴里アンフェール | Comments(0)
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