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林哲夫の文画な日々2
by sumus2013


ビーズ

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このビーズのブレスレットはパリのアフリカ・オセアニア美術館(musée national des Arts d'Afrique et d' Océanie)のミュージアム・ショップで求めたもの。一九九八年春のことだからもう十九年前になる。アフリカのどこだったか、今ちょっと忘れてしまったが、このシブ派手にすっかりまいってしまったことを思い出す。

この美術館はパリ市内の東の端、十二区、ポルト・ドレーにあった。一九三一年の植民地博覧会の会場として建てられ、その後、植民地博物館(musée des colonies)、海外フランス領博物館(musée de la France d'outre-mer)そしてアフリカ・オセアニア美術館として二〇〇三年まで使われていた。その後、ケ・ブランリ美術館(musée du quai Branly、二〇〇六年開館)ができることになったためアフリカ・オセアニア美術館の収蔵品もそちらに移された。二〇〇七年から移民歴史博物館として再開しているそうだ。

そのときちょうど閉館時間が迫っていて(時間を勘違いして遅れた)三十分くらいしか残っていなかった。小走りにその豊穣なアフリカおよびオセアニア美術の展示を見て回ったため息があがってしまったほどだった。しかし見ておいて良かった。ケ・ブランリの方がもちろんずっと規模も大きく収蔵数も桁違いなのだが(アンドレ・ブルトンのコレクションも一部はここに収まっている)、とくにアフリカ美術のまとまった展示を見たのは初めてだったので印象はずっと深いものがある。

ミュージアム・ショップも品揃えのセンスが良かった。この点でもお土産屋然としたケ・ブランリより上等だったような気がする。そこで、あれかこれか目移りしながらこのブレスレットに惹きつけられたというわけだ。直径は五センチ。なんとか小生の腕にもはまる。

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国立民族学博物館の『月刊みんぱく』四七四号(二〇一七年三月一日)ビーズ特集。だから上のブレスレットを取り出してみた。六月六日までやっているビーズの展覧会、これは見ておきたい。

開館40周年記念特別展「ビーズ―つなぐ・かざる・みせる」

《かつて、ダチョウの卵殻からできたビーズは人類が最初に作ったビーズであるといわれていた。四万年も前のことである。現在では、貝の方が古くて、一〇万年も前のことになっているが、いずれにしても、わたしたち人類が誕生してから現在まで、ビーズは存在し続けてきた。》

《世界中のビーズをみていると、人類によるものともののつなぎ方には、普遍的な特性がありそうだ。一列にして円状にするのが、どこでも基本のようである。しかし、その形は類似していても人びとはそれぞれ独自の意味づけをおこなってきた。古代エジプトでは、青緑色のファイアンスビーズが使われており、死からの再生のための祈りが込められている。チベットでは、石でできたビーズは魔除けである。数珠[じゅず]は、仏教では一〇八個をつなげることに意味をもったりするほか、イスラーム教、キリスト教のカトリックでも共通にみられ、人びとの祈りの場面には欠かせないものだ。》(池谷和信「世界はビーズでつながっている」より)

by sumus2013 | 2017-03-07 21:25 | 雲遅空想美術館 | Comments(0)
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