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林哲夫の文画な日々2
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美というもの

美というもの_f0307792_19501463.jpg
『太陽』No.382「瀧口修造のミクロコスモス」(1993)より


土渕信彦氏によるギャラリートーク「瀧口修造講演「美というもの」」に参加した。目玉は瀧口修造が一九六二年一〇月八日に富山高等学校講堂で行った講演「美というもの」の音源公開。加えて土渕氏による瀧口の小伝およびその講演の経緯などについての解説があった。

一九五八年、欧州旅行から戻った頃から瀧口は執筆活動を止め作品制作に専念するようになっていた。元来がアーティスト志望だったようなところもあり、六十を前にして自分がもっともやりたいことをやる、というふうに人生を変えたかのようだ。一九七九年に歿するまでおよそ二十年間、作品制作やオブジェの蒐集などに熱中したと言っていいだろう。

富山高等学校は母校(旧制富山県立富山中学校)である。そのころ講演はすべて断っていたにもかかわらず、これは引き受けた(同日、富山市で行われた全国造型教育連盟でも講演している)。四十年ぶりの母校訪問ということに大きな意味があったらしい。その後暫くしてかの自筆年譜をしたためたのだという。

講演の内容も青春時代を語る半自伝のようなものであった。話し振りがすこぶる自然で、講演に慣れない感じが出ていたが、その人柄の素晴らしさも同時に感じさせるものだった。高校生を前にしてということもあるのだろう。非常に分りやすい口調で「美というもの」などという大げさな題名をつけたが、それはどんな小さなものでもいい、自分が気持ちを動かされたものが美につながるというようなことを話した。ただ、それも最後の方にごく短い時間それに触れたたけで、けっして押し付けがましいものではなく、先輩として進路を摸索する時期にある後輩たちに送る言葉、というようなかっこうであった。

途中で、自分の詩集についてごく軽く触れ、本にするため自作詩の切抜きなどを渡した「若い本屋さんがそれを失くしてしまって」実現しなかった、と。若い本屋さん、すなわちボン書店の鳥羽茂である。肉声を聞いて改めて瀧口ファンになったしだい。

次の土曜日にも土渕氏によるギャラリートーク「瀧口修造とマルセル・デュシャン」が予定されているので、ご興味のある方はぜひ。


マルセル・デュシャン生誕130年記念「瀧口修造・岡崎和郎二人展」
2017年1月7日(土)~2月12日(日)

ART OFFICE OZASA INC.
ozasa_kyoto
http://www.ozasahayashi.com

by sumus2013 | 2017-01-28 20:18 | もよおしいろいろ | Comments(0)
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