林哲夫の文画な日々2
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茶話抄

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薄田泣菫『茶話抄』(創元社、一九二八年一一月三日)。大正五年の春から長きにわたって大坂毎日新聞その他の媒体に連載された「茶話」は大正十三年に『随筆茶話』上下(大坂毎日新聞社)として刊行された他にも数多くの版が出ている。全八百十一篇。大正昭和にかけてきわめて人気の高かったエッセイだ。

本書は『随筆茶話』上下四百四十七篇(本書では『茶話全集』としている)から一百五十四篇を選んで著者みずから校正したもの(後書きおよびウィキによる)。かなり前に創元文庫で読んだ記憶があるが、和・英・米(本書には中国の話は少ない)の人物伝から逸話のようなこぼれ話のような内容を博捜してウィットの効いたサゲをつけている。それぞれの一篇も短く、ちょいと読めてクスリとかニヤリとかできる仕掛けである。出典も記されていないしどこまで本当なのか眉唾なところがまたいいのかもしれない。

青空文庫でも読めるので引用は最小限にしておく。水戸藩士・藤田東湖の酒好きなどについて語った「食べ方」。

《藤田東湖は貧乏だつたから、酒の好いのが何よりも好物であつた。(内證で言つておくが、すべて富豪といふものは、貧乏人とは反対に、酒のよくないのを好くものなのだ。)で、その良い酒を飲みたいばかりに、頼まれると、蕎麦屋の看板だの石塔だのを平気で書いた。書の相場は酒を標準に、一本一升といふ事に極めていた。
 東湖は酒徳利を座敷の本箱の中へこつそり忍ばせておいて、箱の蓋には生真面目に李白集と書いておいた。実際李白集があつたら、質に入れて酒に替へ兼ねない男だつた。》

泣菫の皮肉な口調がよく分る文章だと思う。蛇足ながら昔の本箱は縦長の木箱で前面に蓋が付いていた。よって徳利が入っていても外見では分らない。それにしても李白集とはさすが東湖。しゃれている。李白は稀代の酒飲みだった。

《年二十五、出遊して大江を下り、金陵(南京)揚州あたりを飲み歩き、一年とたたぬ中に三十余万金を散じて郷里に帰つた。後十年、再び出でて山西山東を遊歴し、任城(今の山東省済寧県)に家を寓し、孔巣父等六人と徂徠山に会して酒に耽り、竹渓六逸と称せられた》(青木正児『中華飲酒詩選』「李太白詩鈔」より)

これに一言も触れないのは泣菫の上手の手から酒がもれたかな……。

本書の組で「おやッ」と思ったのはノンブルの位置。天のノドに集めてある。そしてもうひとつ中黒の大きさ。下の頁ではベンヂヤミン・フランクリンの「・」が妙にでかい。

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こういうのを見ると古本て面白いと思うのである。

by sumus2013 | 2017-01-06 21:10 | 古書日録 | Comments(0)
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