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林哲夫の文画な日々2
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これくしょん

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『これくしょん』三冊頂戴した。もらってばかりです。深謝。67号(小林ドンゲ・叢書票、一九七七年八月五日)、71号(富士山 堀口大學・米寿記念詩集、一九七八年一一月三〇日)、75号(堀口大學先生受章記念・秋黄昏、一九八〇年四月一四日)。71号から堀口大學「僕と書物」の一部を引用してみる。

《無数と言ってもおかしくないくらい数多いこれまでの自著中、いま思い出して一番なつかしいのはやはり、大正七年の四月に、籾山書店に発売を依頼し、自分で世話した二百部限定の自費出版、訳詩集『昨日の花』だという事になりそうだ。これが自分の最初の著作物だというだけではなく、印刷所の選定、本文用紙の表紙のクロースの選択、購入、装幀を引き受けてくれた長谷川潔君の装画の彫師、金版[かなばん]の彫金師を探し出したり、依頼に廻り歩いたり、神田の鎌倉河岸にあった製本所へは、何度催促に足を運んだかわからない。内容は、サマン、グールモンを軸に、四五年前から親しみ始めたフランスの近代詩人、十八家の六十八篇を収めている。》

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『昨日の花』函


また75号で大學は「表題あれこれ」というエッセイを書いている。自著のなかでは『昨日の花』がもっとも気に入っているタイトルだと書いてこう続ける。

《さて次に語るこれも訳詩集の表題ですが、今日から逆に数えて五十五年以前、それまでも詩集の表題に、やれ『月光とピエロ』だの、やれ『月夜の園』だのと、やたらにお月さまが好きで、お世話になって来ていたが、この度もやはり、この集を月かげのさやけさで包んで、読書の机上に送り届けたいの一念から、収録の詩人六十六家、作品三百四十篇という大群なので、思案のあげく辿りついた表題が『月下の一群』と相成ったという次第。その当時、まだ若く発足早々の無産の出版者、第一書房の長谷川巳之吉君が、あの時分としては未曽有の豪華本、大版、天金、背皮、七百四十九頁、定価四円八十銭という金色燦爛たる大冊に仕立て、社運をこの一冊に賭けるほど惚れこんだこの訳詩集の魅力の一半は、実に『月下の一群』というこの五文字にあったのではなかろうか。僕は今でもそんな気がしている。

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『月下の一群』函


『月下の一群』……どうして月下なのか、いまひとつ不明ながら、象徴詩を中心とした内容にはたしかに似つかわしいようにも思える。タイトルは大事である、これは間違いない。

とにかく長い書名ってあるもんだ


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そうそう「「これくしょん誌」終刊について」という刷物も同梱されていた。終刊の百号は増頁したので誌代が割り増しになるためその計算書きが付いている。日付は昭和六十一年十一月。「これくしょん」の名称は吾八書房の古書目録として引き継がれている。



by sumus2013 | 2016-11-21 20:16 | 古書日録 | Comments(0)
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