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林哲夫の文画な日々2
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狂詩しやべり志題

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百万遍で求めた珍本のひとつ『狂詩〓志題』。小本(タテ18cm)。〓のところは言偏に「多」(おそらく……言葉が多い?)で「しやべり」とルビあり。萬千笑蔵で元治二年(一八六五)乙丑孟春新刻、編輯人は連名になっている。

宋 蚊文々
倭 面徳斎琴成 

また「序」の末尾には市門舎安居誌と署名あり。丸善から二〇〇四年に覆刻版が出ている。東京大学経済学図書館が一冊所蔵するようだ。また浅川征一郎編『未翻刻狂詩十一種』(近世風俗研究会、一九七〇年)では本書の版元を出雲寺萬次郎等としている(萬千笑は萬次郎の萬か)。出雲寺は幕府の御用達町人(書物師)であり書物方に属し紅葉山文庫(将軍の文庫)の運営や昌平坂学問所の編纂物の出版にも携わったという。いかにもお固い版元なのだが、じつはこんなヘンテコな狂詩集も発行していた、ということだろうか。とすれば著者もそれなりに名前の通った学者先生なのかもしれない。

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目次に見られるテーマの一部を挙げてみると……

囲女(かこゐもの)
腐儒廓通(ふじゆ くるわがよひ)
自貧晩炭団(じしんばんのたどん)
比丘尼安産祈所(びくにのあんざんをいのるところ)
怒場白痴席敷(どバ はくちのむしろをしく)
戯場見物如雲霞(しバゐけんぶつ うんかのごとし)
令極茶見世匂乗愛敬(れうごくのちやみせ にほひあいけうにじやうず)
蚊芸者文々(かげいしや ぶんぶん)
大点偶上俳諧山(だいてんぐ はいかいざんにのぼる)
偶居(ゐさうらふ)
勤番士覗女湯(きんばんし おんなゆをのぞく)
質屋嘆(しちやのなきごと)
湯屋二階(ゆやのにかい)
裏店御亭主(うらだなのごていしゆ)

本文はそれぞれの主題に関する言葉遊びになっている。見かけは漢詩のようでありながら、総ルビで読むともうこれは和文でしかない。一例として短い作品の全文を引いてみるが、ダジャレの面白さはあるにしても内容はさほど辛辣というわけでもない。

   かみがたざいろく
   上形在録

 とゝもいかんともさかひのちやうにん
 魚裳如何堺長人 

 しばらくきやうとにあしをとめてくだらんとほつす
 暫京都止足欲下

 なにハともあれかねハおほさか
 難波在友金大坂

 えどにきたつてかねがたざいろく
 枝門来金方在録


本書もフルホンシバンムシにかなり蝕まれてはいるが、テキストは辛うじて読める(一部食われてしまったところもあり)。状態が良ければ(あるいはちゃんと裏打ち補修すれば)そこそこにお値打ちものだと思う。

銅脈先生『太平樂府』


by sumus2013 | 2016-11-18 20:33 | 古書日録 | Comments(0)
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