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林哲夫の文画な日々2
by sumus2013


納涼古本まつりふたたび

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初日があまりに落ち着かない感じだったので、もう一度、ゆっくり眺めたいと思って再訪。人出はまずまず。ちょうど見やすいくらいの混みぐあい。初日と較べると、やはり荒れた雰囲気が漂ってはいるものの、まだまだいい本が隠れていそうで、気を抜けないな、とは思いつつも、暑さもあってできるだけ立ち止まらないように務める。古本よりも古本ガールの方に気を取られるというのも、下鴨ならでは。

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結局、やっぱり、ここ。百円均一テント。初日はオープンしておらず残念だった(二日目から)。三日目ともなるとスカスカかと思いきや、いい本、二冊ほど確保。

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そのうちの一冊を紹介しておく。『本邦やきもの盃臺小誌』(陶磁器研究会=京都市伏見区深草正覚町、商工省陶磁器試験所、一九三六年五月二五日)。京都の出版物でもあり、また盃台のコレクションというのもちょっと珍しい(と思ったが、やはり「日本の古本屋」ではそれなりの値段がついていた)。

商工省陶磁器試験所の前身は京都市が明治二十九年に設立した日本初の陶磁器試験所である。大正八年に商工省の所管となった。

《余は数年前或る動機にて本邦焼物盃台を蒐集し見んと志し、爾来骨董店、古道具屋等をあさり成る可く形状、模様の異りたるものを撰び其数約三百点に達したり、之れを見るに其形状は種々異りたる様式あり又其模様図案も多種多様にて誠に面白く、盃台として古く支那、朝鮮には我が国にて天目台と称する如き形状のものありて或は主として茶盞の台に使用したるとも云ひ又酒盃の台なりとの説あるも本邦盃台としては已に唐津を始め各地に作られ、独自の発達をなしたるが如く殊に磁製(染付)としては有田、瀬戸に於いて徳川末期及明治初年に盛に産出せられ、新年用、祝事用、日常用として用いられ其形状は往古より酒盃又は茶盞の台として使用せられたるもの其他各種の器物より取入れられ変遷と需用の盛衰はありしも尚ほ今日に於いて普通配膳に供し使用せられつゝあり、[……まだまだ続くがこのへんで]》

なかなか文が終らない蓮實重彦もびっくりの文体である。陶磁器研究会長・平野耕輔の「はしがき」より。平野は東京工業学校を出てドイツ、ベルギーで窯業を学び、満鉄に勤めた後、昭和五年に商工省陶磁器試験所長(〜昭和十二年、その後、東京工業大学教授)。盃台(カップ&ソーサーのソーサーである)はたしかに、小生の田舎でもお盆や法事のときなど僧侶が読経に来たときにだけ茶を出すのに使っていたように記憶している。こんなにヴァラエティがあるとは思わなかった。めっけもの。

by sumus2013 | 2016-08-13 19:18 | 古書日録 | Comments(2)
Commented by こがね丸 at 2016-08-13 22:42 x
古本女子・・・、糺の杜にそんな見どころがあるとは気が付きませんでした。
Commented by sumus2013 at 2016-08-14 08:08
SMG48……くらい結成できそうです。
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