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林哲夫の文画な日々2
by sumus2013


風塵第二集

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『風塵 第二集』(山王書房、一九六九年二月)。限定七十部の俳句集。製作は東京都世田谷区太子堂の学書房。風塵同人は斎藤好光、関口銀杏子、萩原杜哉、佐久間茂高、山本游魚、宮沢良豪、古川巧。銀杏子こと山王書房主・関口良雄は「侘助」と題して九句を出している。『第121回五反田遊古会古書販売目録』(二〇一六年七月)より、月の輪書林の出品。この目録の月の輪さんのページでは他に八木福次郎旧蔵本がかなりの数出品されており、それがまた古書目録を中心としてさすが八木さん旧蔵という渋い本ばかりだった。


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 枯蓮もベンチの人も動かざる

 芒野に長子と馳けしことなども

 侘助や犀星亡き後も庭に咲き

 断崖の梅は斜めに咲きにけり

 北風に尻もちあげてペタル踏む

 北風やとびこびざまにコップ酒

 熱燗に饒舌の悔残しけり

 極まるや東西南北風邪に伏す

 階下より妻の声する風邪の床



《とびこびざま》はママ。『銀杏子句集』(三茶書房、一九八一年)にはこれらの句は採られていないようである。銀杏子は「ぎんなんし」と読ませるようだが、小生はいつも「いちょうし」と読む。ほろ酔い加減で「いい調子」というのが関口良雄に似つかわしいと思うからだ。

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『Rewind 1969-2004 東京古書組合南部支部創立35周年記念写真帖』
(二〇〇四年)より、昭和四十年代の関口良雄


山王書房店主関口良雄



by sumus2013 | 2016-07-31 20:36 | 古書日録 | Comments(0)
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