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林哲夫の文画な日々2
by sumus2013


This land is your land

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『BOUND FOR GLORY』にはピート・シーガーの前書きがある。ざっと意訳してみる。

《ウッディの最後に作った曲のひとつは、彼が病院に入って一年後に書かれた。タイトルは「まあだだよ I Ain't Dead Yet」。医師は彼にハンチントン舞踏病だと告げた。神経システムの退化が進む病気で、治療法がない。十三年以上もわずらっていたが、彼はあきらめなかった。最後には歩くことも、しゃべることも、目の焦点を合わせることや食べることすらできなくなり、ついに彼の心臓は動きを止めた。

その知らせは私が日本にいるときに届いた。とっさに思った、「ウッディは決して死なない、彼の歌を好んで歌う人たちがいるかぎり」。ギター弾きたちの間で彼の曲はよく知られているし、なかでも非常に多くのアメリカ人に愛された曲はこれだ。

  This land is your land, this land is my land,
  From California to the New York island,
  From the redwood forest to the Gulf Stream waters,
  This land was made for you and me.

  [中略]

ある世代のソングライターたちは彼から多くを学んだ。ボブ・ディラン、トム・パスクトン、フィル・オックス、まだまだいるだろう。われわれが彼の遺灰を海に撒いたとき、私はウッディがわたしたちに向かって叫んでいるのを聞いた、「じゃあな、お前に会えてよかったよ So long, it's been good to know ya」そして「きらくにやれよ、でも本気でな! Take it easy - but take it!」》

最後のセリフは訳したような意味じゃないかもしれないが……。影響を受けた歌手にはもちろん高田渡も入れておこう。

上のCDは「THIS LAND IS YOUR LAND / THE ASCH RECORDINGS VOL.1」(Smithsonian Folkways Recordings, 1997)。二十七曲収録。高田渡の替え歌で聞き慣れたメロディもいくつかあるし、タイトル通り「THIS LAND IS YOUR LAND」のヴァージョンが三曲収められている。その解説を一部拙訳しておく。

《一九四〇年二月二三日に書かれた「ジス・ランド」はウッディのなかで最もよく知られた歌であり、合衆国で最も広く歌われた曲のひとつである。今もなお新しい賛美歌としてチャンピオンでありつづけている。》《ウッディは、ケイト・スミス Kate Smith には飽き飽きしたと言った。彼女は一九三〇年代のアメリカで最も人気の高かった歌い手で「God bless America」を歌っていた。そこでウッディはアメリカについての少し違った捉え方を試み、「God blessed America for me」という詞をそれぞれの歌の終りに付け加えたが、後に「This land was made for you and me」に置き替えた。メロディはゴスペル・ソング「When the World's on Fire」に似ており、これは「Little Darling, Pal of Mine」というポピュラー曲として知られていた。》

Kate Smith, God Bless America

The Carter Family- When The World's On Fire

The carter family - little darling pal of mine


by sumus2013 | 2016-07-17 20:56 | おととこゑ | Comments(0)
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